私が個人的に大好きな海外の俳優の一人に、マーロン・ブランドが居ます。

テネシー・ウィリアムズの戯曲を映画化した作品『欲望という名の電車』(1951年公開)で主演し、一躍人気俳優となった方です。
美貌はもちろんのこと、高い演技力で人気を博し、公民権運動など人種差別問題にも積極的に取り組みました。

有名なのは『ゴッドファーザー』(1972)でのイメージですが。

↓『欲望という名の電車』のブランド


1951年当時、かなりの美青年です(笑)。
今回はそのブランドを通じて、親と自尊心の関係について自分なりに書いてみます。


ブランドは、アルコール中毒の両親のもとで育ち、泥酔した父母を探しに、何軒も酒場を回ったこともあったそうです。

ブランドの父は、暴力的で、息子であるブランドに何の関心も示さす、

彼に対して「お前は何一つ満足にできやしない」と頻繁に言い、「どうせこいつは将来ろくなものにならないぞ」が口癖だったそうです。

ブランドはそのような家庭環境のストレスから、吃音症を患った時期もありました。


やがて父の言いつけで陸軍学校の寮に入ったブランドは、学校の勉強に全くついていけないのにもかかわらず、

両親の愛情を得たいために、充実した学校生活を書き綴った嘘の手紙を、寮から何通も送ったそうです。

ブランドの両親は、そのような彼の手紙を受けても、返事を返すでもなく、面会に来ることもなかったそうです。



「両親に認めてもらいたがり、そのためにはどんなことでもした。いつも両親に愛を訴えては、お返しに愛してやるよと言ってもらうことを期待した。」

「当時の私は自信の欠如やその他の問題に関し、もっぱら自分を責めていた。まだ私は、親の言動が子供にとって凶器となり得ること、子供には屈辱ではなくて自尊心を与えることこそ親の義務であることを理解していなかった。」
(引用・『マーロン・ブランド自伝  母が教えてくれた歌』より)


この記述を見ると、当時の若いブランドが抱いていた無力感と、親から愛情を得ることが難しいと分かっていながら、まだ愛情を求めてしまう、そのもどかしさがよく分かると思います。


↓陸軍学校時代のブランド。くどいようですがイケメン(笑)。


『ゴッドファーザー』のブランド↓