日経平均は調整しております。ほんとに、経済関係の週刊誌が買える株の特集をすると相場が調整するというのは一番当たるように思います。


 さて、本日の日経新聞朝刊で、意図的と思われるリーク記事で、1819日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利を解除する見込みと報道されました。春闘の集中回答日の結果や、大手企業の回答を見ても昨年を上回る水準となっていることが、マイナス金利解除に向けた理由として後押しになるものと思われます。また、記事では、イールドカーブコントロールの終了、ETFREITの買い入れも了する方針、と踏み込んでいます。


 世界の金融政策の流れという点では、今回の日銀の動きは世界に先駆けるものではなく、また、事前に十分すぎるほど予想されていたことです。しかし、予想されるのと実際に動くのとは違います。ここ数年の相場を見ていると、もちろん案件によりけりですが、とっくに市場は織り込んでいるだろう、と思われるようなことが、案外織り込まれておらず、ニュースが出てから反応するケースが多いように感じています。その理由として、特に日本市場においては、そもそもそこまで本気で普段から日本をウォッチしている海外投資家は多くないであろうこと、流動性が米国市場ほどないので短期資金の流入が限定的とみられること、そのため、長期資金の影響が大きいとなると、思惑でいちいち機敏に反応するというよりは、マクロ経済や金融政策の方向性を見極めてから動く投資家が多そう、つまり、相場材料に対して投資行動に出るのが遅れがち、ということがあるように思います。


 日銀の金融政策の変更の予想は先走り組も含めてそれなりに言われてきたことではありますし、その判断材料として春闘の結果を注視するという投資家も多かったように思います。しかし、春闘の集中回答日の好結果を見て株買いに動く、というのはちょっと歯切れが悪いというか、ファンダメンタルズの堅調さが確認できる大きなニュースではあるものの、だから日本株のポジションを増やします、というには単品ではちょっと迫力に欠けるところではあると思います。実際、株価も反応していません。


 そういう意味で、実際に記事の通りの動きとなると、そこから動く投資家はいるだろうと思います。また、すでに仕込んでいた短期筋が、そうした動きに合わせて逆のポジションを取る(あるいはポジションを解消する)という動きも出るだろうと思います。目先的にはその綱引きでどちらが勝つか、ということだろうと思います。


 日銀の金融政策の変更は、日米金利差の縮小(何度も書いているように、緩和策が変更されたからと言っても、国内景気はどんどん金利を上げていくほどの需要増加にはなっておらず、金融引き締め(政策金利の上昇余地)は極めて限定的と予想しています)の思惑からの円安修正とか、そういうわかりやすい話はあると思います。しかし、中長期的に重要なのは、投資家の内心不安な日本のデフレ脱却や経済成長への見立てが、日銀によってお墨付きが与えられるという点だろうと思います。これは、市場における投資家心理への影響のみならず、デフレ脱却に懐疑的で経営戦略が出遅れていた国内の経営者層にも響くのではないかと思います。


 日銀のお墨付き効果が国内景気にポジティブな影響を与える、と考えるほど日本経済を見ている海外投資家はそうはいないと思いますが、単純に日銀がデフレ脱却にお墨付きを与えることになる、という状況を見越して株価が上がってきたとも言えますが、ここまではまだバリュエーションの修正(割安の修正)で解説できるレベルだろうと思います。輸入物価がすでに低下しているので、今年後半にかけては国内物価は軟化する可能性があり、プラスの金利環境に国内景気が耐えられるか、という不安はありますが、そういう点でも、にもかかわらず日銀がゼロ金利を解除するのだからまあ大丈夫かな、と思います。史上最高値を越えた現段階では、短期的な波動はいったんおいておいて、中長期上昇波動がこの先継続するかどうか、が大いに気になるところです。もちろん、継続すると予想しています。