金曜日の日経平均は大引けで伸びそうで伸びずに40,000円手前で引けました。もっとも、海外では先物が40,000円台に乗っているので、東京も月曜日には4万円台の大台に乗ってくると思います。


 にしても、金曜日は指数が急伸する一方で中小型系株式は冴えないどころか下がっていました。上昇している大型株半導体のど真ん中銘柄と言える東京エレクトロンは高値更新です。新規の買いも当然入っているのでしょうが、指数もそうですが空売りの買戻しを巻き込んでいるんだろうと思います。なかなか高値のめどが立てにくいところです。218日の当欄で、大型株の買いがいったん出尽くしたか、と書きましたが、その見立ては当たっていたように思います。しかし、金曜日の上昇で、9日間の調整終了で上抜け、という形となりました。


 指数的には、東証再編後にどれだけ注目されているのかよくわかりませんが、スタンダード指数でも大型株よりのものはパフォーマンスが好調、一方、グロース指数はさえません。チャート的にはいぜんとして横ばい期間の節を上に抜けていない感じで、指数のチャート的には中小型株の需給の節目はまだ抜けていなさそう、あきらめて売る人が多そうな価格帯での推移となっています。ここが難しいところで、では大型株の上昇が一巡したら中小型株が上がるかというと必ずしもそういうわけではありません。往々にして、大型株が調整するとマーケットの地合いが弱い、ということになって、中小型株はますます売られる、ということになりかねません。ここはやはりマクロ経済環境との関係はあるのだろうと思います。米国の金融緩和が実際に始まったところから、あるいは、それをリアルに織り込むところから中小型株の上昇は始まるのだろうと思います。ちょっと金融緩和期待は先行しすぎたと思いますので、冷やすのにもう少しかかる、ということだろうと思いますが、そんなに先ではないように思います。4月あたりに指数あたりも含めて調整が入り、5月の連休前には動き出すかなというイメージは変わっていません。


 株価の適正水準がいくら、というのは難しいのですが、TOPIX予想PER14.7倍程度となっています。これも使うデータによってまちまちかとは思いますが、2010年以降の変に高いところを除けばだいたい平均並み、という水準ということでいいと思います。予想利益が変わらず、PER15倍から16.5倍に上がれば、株価は1割上がるわけで、ということは、TOPIXと日経平均の倍率が変わらなければ日経平均は44,000円になります。ということなのでPERを持ち出して株価を語るのは本当は乱暴な話ではありますが、気持ちの上での目安にはなります。日本のPERは米国を除く他の先進国なみ、ということですが、日本だけで考えた場合、デフレ時代のPERとデフレ脱却後のPERが同じわけはないと思います。要するに、もっと高くなるはずだと思います。ですので、過去10年、20年の平均と比べて高いだの低いだのという論調がほとんどのように思いますが、比べるのならば、過去平均より高くて当たり前、という比べ方をしないといけないのではないかと思います。逆に言えば、過去平均並みならば、まだ上がる余地は十分にあるということです。


 もっとも、デフレ脱却でPERが上がるという理屈は、マクロで言えば名目GDP成長率が高まるはずという期待があります。ミクロで言えば、企業の増益率が高まるはず。人口が日本より少ないドイツにGDPが抜かれたそうですが、逆に言えば、理論的には日本の人口が減ってもGDPは伸ばせるということですね。まずは身の回りの、自分が勤めている会社も含めて、多くの国内系企業はデフレ時代のようにコストカットばかり考えていないで、売上と利益を前向きに伸ばしていく気概を持って、業績を伸ばしていくことが重要だと切実に思います。