しかし、周りにいる大半を占める若手社員は特に感慨はないようで、何か感想はないのかと聞くと、ああ抜いたなあ、というくらいっすね、と。念のため、89年って生まれてた?と聞くと、生まれて無い、とか、1歳っすね、という答え。これでは無理もないですね。こうやって時代が塗り替わっていくのだな、という感じです。
祭日金曜日の日経新聞朝刊は、「日経平均 最高値」の大見出し。久しぶりに株価欄を眺めてみたら、値嵩株の株価の居所がとんでもないことになっていて、いつの間に、と思いましたね。ちなみに、今度情報部に戻ったら、あるいは引退後は個別銘柄をよく見るつもりでいます。
木曜日夜に見ていたのはテレ朝のニュース番組ですが、史上最高値更新の理由とか背景的なことを経済部記者のコメントとして流していましたが、さすが朝日ですね。89年と今を比較して、企業利益がこんなに増えているのに平均所得は1割しか増えていない、と。いかにも資本家は儲けるばかりで労働者には還元されていない、と社会主義者が言いそうな切り口です。
いいのか、それで。経済部記者のアウトプットがそのレベルなのか、報道の姿勢でそうなっているのか、お粗末にもほどがあるなあ、と。普通の人はこれをみてそうなんだあ、と思うだろうな、と。
細かい突っ込みは置いておいて、報道でも他社レポートでも、「今回はバブルではない」というコメントが多くみられたのはちょっと嫌な感じがしました。上昇している株価が正当化されるのは、ちょっと気持ち悪いですね。おそらく89年の高値の時も同じようなコメントになっていたはずです。来年は4万円になるとか5万円になるとか。ところが新春から大幅安となったわけです。もっとも、個人的には名目GDPの伸びが継続する限り、株価は大きく下げることはないように思う、という見方に変わりはありません。バリュエーションもデフレ時代とは違ったものになるはずで、そういう点で割高感はないように思います。ただ、割高、割安は相対的なものなので、そもそも今の米国株が高すぎる、となると、日経平均も割安ではない、ということになります。このあたりはあまり決め打ち的なコメントはプロとしては避けておきたいところです。
個別銘柄はいろいろありますが、機械受注の前年比のグラフは割と数年単位で上昇、下降を繰り返しています。機械の代表的な銘柄としてSMCの株価を見ると、その波動と同じような動きをしているように見えます(上昇下降のタイミングが一致しているということではありません)。機械受注がある程度の循環性を持つ、といってもいいと思いますが、そういう意味ではSMCの株価はここ数年(2~3年)は上昇基調が続くように思います。機械受注自体はまだ好調とはいえず、間もなく反転してくるかな、というタイミングなので、足元の景気が強いということではありませんが、マクロ経済は方向としてこの先回復してくるということでいいのかな、と思っています。ただし、機械受注とマクロ景気指標を厳密に見比べてはいないので、あくまでもイメージです。米国は景気減速からの金融緩和が年内にも行われる可能性が高いことを考えても、こうした見方は妥当なように思います。景気が悪いのに株だけ上がっている、というコメントが見られますが、素人発言なので無視していいでしょう。この先景気は一段と悪化する見込みなのに株価が上がっているのはおかしい、であればわかりますけれども。見方としての正解は、足元の景気はまだ回復に至っていないが、間もなく回復に転じることを見越して株価は上昇している、ということだろうと思います。この見方がこの先正解になるかどうかはまた別の話です。