株価の予測をするために、マクロ経済やら個別銘柄の業績やら需給やらチャートやらの現状把握とその予測をするわけですが、日本のマクロ経済的にはインフレ率は緩やかに低下するもののデフレには逆戻りしない、米国景気はコロナ時の給付金効果+コロナ明けのリベンジ消費による景気過熱を金融引き締めが冷やすものの景気後退には至らず、インフレ率は緩やかに低下して景気のソフトランディングに成功する、という、言ってみれば都合のいい予想を立てているわけですが、まあだいたいその通りの感じで来ています。


今回は米国では株価より債券市場の方が感情的になっていた印象ですね。債券の投資家は景気が悪い方がお好みで(なぜなら景気が悪いと金利低下=債券価格上昇なので)、足元はインフレ加熱という、本当は債券価格が下落するストーリーではありますが、持ち前の悲観主義がそっちに行っちゃったというか、そういうストーリで来ていた感じです。しかし、インフレは債券投資家が予想するほど長期化しなかった。また、債券投資家はインフレや金融引き締めで景気は悪化する、よって金融緩和(=債券価格上昇)と騒いでいたわけですが、言うほど景気も悪化せず、というところです。


ざまあみろですね。債券投資家は嫌いではありませんし、普段は株式投資家より見方がまともであるとすら思いますが、ここ12年はちょっとヒステリック過ぎたようにみます。おそらく、現場の人間の多くが低インフレ、低金利、長期的金融緩和しか知らないからではないかと思います。なので、ちょっとインフレが上がっただけでヒステリックな反応をしてしまう。人間ですから仕方がない、と思いますね。


 日本株の需給面で言いますと、信用残ですね。これ、線グラフで見ると昨年の6月と9月あたりが信用売り残のピークになっています。日経平均はそのあたりで天井を打って下がっていますので、信用の売り方は相場観が素晴らしい!と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これは結果論ですね。というのは、株価の上昇にともなって売り残が増えるところまではいいとして、その後の株価下落で買戻しが入るので、結果的に信用売り残が減少するわけです。もし下がらなければ、おそらく信用売り残は増え続けたはずです。


 足元で信用売り残は急速に増加しています。あまり水準を比較するのは意味がないように思いますが、昨年12月末から株価上昇とともに急増し、信用売り残は昨年の9月あたりの水準まで積みあがってきました。残高で言うとそういうことになりますが、個々の売り買いで言うと、売り建てたものの株価が上昇して損切りの買い戻しを入れている投資家も多いと思います。昨日は日経平均はいくらか下がりましたが、33,000円台から36,000円あたりまでに売っている投資家は、言ってみれば全員損しているわけですね。今のところ。個別銘柄で、割高と言われながらじりじりと上がり続ける銘柄というか相場があったしますが、えてして、割高だからと空売りをしている投資家の買戻しで上げ続ける、ということがあります。言ってみれば、株価上昇で空売り投資家の死体の山が積みあがっていく、という感じです。


 ざっくりしたところでは、14日の32,693円から123日の36,984円の上昇幅4,291円の38.2%押し水準である35,344円あたりは意識する人が多いように思います。111日から12日の窓開けとほぼ一致しますし。チャート的には、そこまで調整したら次はいよいよ史上最高値狙いかな、ということかと思います。