日経平均は112日から6営業日横ばい。このように高値を更新して横ばいの動きとなると、上値めどやらリズムやらはちょっと予測が難しくなります。私は1990年入社ですが、指数に関しては基本的には下げに対してどれだけ戻すか、という相場の中でやってきたこともあり、チャート分析もそういう系に偏りがちなのです。個別銘柄であれば、業績見通しからのバリュエーション予想でこじつけることもできるのですが。

 各方面の情報を総合して考えると、日経平均は今年いっぱいは強気継続で、45月あたりと、9月あたりにちょっと調整があるかなという感じです。そこで弱気にならないことが肝心かな、と。

 で、日経新聞あたりでも海外投資家の日本株に対する見方を紹介するようになりましたが、これだけ指数が上昇するとなると、海外投資家もさすがに日本株を無視できなくなってきていると思います。おそらく多くの海外投資家は、保有ポートフォリオにおいてもう何十年も、日本株は世界の時価総額シェアに対してアンダーウェイトで来たと思いますが、2013年あたりのアベノミクスの頃から気の利いた海外投資家はスタンスを変えていたとは思いますが、足元の上昇ではいよいよ多くの投資家が看過できない状況になっているはずです。日本株をアンダーウェイトにしていると、インデックスに負けることになるだろうと思います。


 と、そんな状況下で、モーニングスターの米国のホームページで、117日、「日本株のサプライズ上昇が続く10の理由」という記事が掲載されました(日本語ホームページにも掲載されているかどうかは未確認)。そこであげている「日本の株式市場をけん引する10の要因」をご紹介します。


・安定した成長・・・高齢化にもかかわらず成長している。デフレが過去のものとなることを期待。


・利益の伸び・・・税前の利益率は、日経平均が天井をつけた198912月時点では1%以下だったが、今は7%弱まで上昇している。また、向こう5年間の収益成長率予想は10.3%


・割安な株価・・・日本株のPER14.4倍で米国の19.9倍、MSCI all country world index16.4倍と比べて割安である。日本は期待されていなかったのでずっと割安に放置されてきた。


・自社株買いや配当の増加が見込まれる・・・日本企業のネットキャッシュポジションは欧米企業と比べて高い。TOPIXのネットキャッシュは時価総額の19.2%で、欧州は6.8%SPX3.6%


・投資家のアクティビズム・・・株主提案が増加傾向にあり、大手企業がアクティビストの提案を受けて自社株買いやリストラに踏み切るケースが出てきた。


・日本の規制当局と投資家は株主価値を求めている・・・取引所はPBR1倍割れ企業へ説明等を求めている。


・個人投資家は多くの支援を得ている・・・新NISAのスタートなど。日本の個人投資家の有価証券保有比率は家計総資産の13%と低い。米国は40%近くが株式。


・円はまだ安い・・・円安だと輸出企業に有利。また、円高になればドル建ての投資家に有利。


・外国人が強気に転じている・・・ブラックロック等が日本株に対して強気見通しに転じている。


・古い秩序は変わりつつある・・・米国はウクライナに派兵しないといった。それに伴い、日本では防衛費を大幅に増やすべきとの声が高まった。その1年後に安倍晋三首相が暗殺された。すべてがうまくいくふりをするのはやめなければならないと気付かされた


 

以上、10個です。為替の部分は都合よすぎだろ、と思わなくもないですが、他の海外金融機関のレポートを見ても、取引所のPBR1倍割れ企業に対する働きかけの件と、デフレ脱却、企業の株主重視の姿勢への転換、といったところはあげられています。あとは、実際に利益が伸びるかどうか、というところが肝心だろうと思います。個別銘柄の具体的な投資対象に対してはいろいろある印象で、高齢化の国内は期待できないので、米国等で活躍している企業がいいだろう、というものもあれば、逆に、デフレ脱却で国内景気は堅調に推移する、バリュエーションが低位で出遅れている優良中小型銘柄がチャンス、という真逆の意見もあります。


 個人的には、やはりデフレ脱却が定着するかが最も重要なポイントと見ていますが、この春の賃金は上昇が見込まれると楽観的に見ていますし、インフレ率の低下により、実質賃金も間もなくプラスに転じるだろうと思います。日経平均は戻り高値となっていますが、指数ばかりで、中小型株を中心とした個別銘柄の上昇が置いてきぼり、という状況は続かないだろうと思います。