日経平均はチャートの上限で張り付いたかたちが続いています。やはり、逆張り派は売るところなので、需給面でなかなか上には抜けにくいところのようです。逆に言うと、ここを抜けると結構上昇が期待できると思うので、そんなに大きく上がるわけがない、という前提で考えると、ここは売るところ、と考える人が多くてもおかしくないように思います。


 米国景気はインフレ率が落ち着きつつあり、景気の減速も見え始めてきたように思います。結果、米国10年債利回りが低下しています。当欄1119日号では、米国長期債利回りは4.34.8%のレンジ相場になるとの予想を書きましたが、足元で4.3%まで低下してきました。インフレ率の低下とともに利回りの上値は低下することが予想されるものの、当面の絶対水準としては少々低すぎるように思いますので、4.8%かあるいは4.6%程度までの上昇はあると思います。そういう意味では、このあたりのレンジ相場になるという予想は変わっていません。おそらく、ここから利回りが上昇すれば、株価は弱含むだろうと思います。その流れで、日経平均は上値を抜き切らずに下落に転じ、レンジ相場を見越した勢力の売りがかさんでそれなりに下がる、というのはいかにもありそうな予想だろうと思います。


 NYダウが年初来高値を更新した一方で日経平均が上に抜き切れないというのは、時間差で今に日経平均も上がるという見方と、連れ高しないということは弱い、という見方の2つの見方ができると思いますが、私は後者と見ます。為替が円高に振れていることが、日本のデフレへの逆戻りを連想させているかもしれません。また、米国景気減速、金利上昇下の米国株の買いを見送っていた勢力が、これはまずいと米国株買いに回帰し、その結果日本株買いの勢力がそがれている、という見方もできると思います。


 しかし、日本のデフレ脱却の流れは本物であり、来年の賃金上昇の確度はかなり高いと見ています。長く続いたデフレ時代は経費削減が前面に出ており、つまり、売上増加よりもコスト削減が優先されるような流れがあったように思います。しかし、デフレ脱却で、値上げや数量増で売上を増やさなければ、という流れは出ていると思います。これは株価にはプラス材料となります。もっとマクロで言えば、日本の名目GDP成長率は高まってきているといえるので、やはり日本株の先行きは明るいと考えていいと思います。


 ということでまとめると、足元の高値は年内は大きく抜けないと予想。米国長期債利回りはほどなく反転、上昇し、株価は弱含む。NYダウで言えば、上値を抜く前の水準あたりまでのあや戻し、という感じでしょうか。しかし、12月後半、あるいは1月には日経平均はレンジ上限を突破して上昇すると見ます。そういう意味では、今は株価の上昇を楽しみに待っているところ、という風に予想しています。


 個別では、米国景気の影響も大きいリクルートが上がってきています。こういった銘柄は中期的な上昇波動に入っていると見ています。