日経平均の日足チャートで、27,500円どころは節目ということを指摘しておりましたが、なかなかしぶとい節目となっています。一方、昨年8171124高値を結んだ上値抵抗ラインは、今日段階でまだ約28,000円どころとなっており、27,600円程度まで下がってくるのは3月から4月頃になります。言い方を変えると、ここからすぐに上昇したら28,000円で上値抵抗ラインに当たるということです。で、ここを突破すると、強気派が優勢、ということになると思います。


 先週だったかな、ヘッジファンドは引き続き日本株に対して売りポジションが優勢、という記事を見ました。そもそもヘッジファンドのポジションに関するニュースはあてにならないと思いますが、投資家の多くがその情報を見てそうなんだ、と思えばそれはそれでひとつの情報となります。


何年か前に、実際にポジションを持っているヘッジファンドの人に話を聞きましたが、当時じりじりと上昇を続けている中小型優良銘柄は、ヘッジファンドの空売りの買戻しで上がっていると言っていました。実際その人もポジションを持っていたわけですが、優良銘柄でもバリュエーションが高いと見て売っているわけで、ではその一方で何を買っているか、というのが肝心なわけですが、バリュエーション面にだけ注目して売りと買いのポジションを取っていたとしたら、目も当てられない状況となっていたと思います。要するに、好業績銘柄が高バリュエーションのまま株価がさらに上がり、低バリュエーション銘柄はいつまでも上がらず放置されたまま、ということは時々あるからです。


 話を戻しますと、足元でヘッジファンドが本当に日本株を売り持ちしているとして、何を理由に売っているのかわかりませんが、当欄では景気の見通しから日本株は強気でよいという見方を維持しております。マクロ見通しは今のところはずしていないように思います。ただ、米国の長期金利はもう少し高いところ(4%前後)で粘ると思っていたので、そこは予想外に下がったな、と思っています。それだけ景気の先行きに弱気な投資家が多いとも言えますし、その結果、信用リスクに敏感になって米国債に資金が集まるという需給面での影響もあるのではないかと思います。債券はプロではないので、もっと複雑な理由があるかもしれませんけれども。で、為替も思ったよりも円高になっています。このあたりが予想とちょっと違うところではありますが、どんどん円安になるとも、どんどん米長期金利が上がるとも予想はしておりませんでしたので、大きな見通しという点では変更するほどではありません。


 ただ、状況は常に少しづつ変化しているわけで、インフレに関しては供給が増えることで落ち着いてくるという見立てで、実際落ち着きつつあるわけですが、今日の日経新聞の記事を見ると、国内ではホテルの単価が上がっている、と。また、これは構造的問題があるかもしれませんが、酪農家の廃業が高水準である、と。それぞれ別の要因もあるのですが、共通するのは人手不足です。酪農家の問題は人手不足というか後継者難、の方が正確ですが、ある意味、人が足りないのは同じことです。


 モノの物価はデフレ時代に上がらず、横ばいからむしろ下がったりしましたが、国内サービス物価は実は下がっていません。モノの物価は、日本では輸入品が多いことを考えると、為替や海外経済、資源価格の影響を受けやすいといえますが、国内サービスの物価は、消費の好不調と、サービスを供給する人の需給が影響します。そういう意味で、以前から言われていたことではありますが、日本は高齢化でいよいよ人手が不足する時代に入ってきたようです。となると、コロナ特需、人手不足からのインフレは落ち着くと見ていたものの、コロナだ何だとか言っている間に着実に日本の高齢化は進み、時代として人が足りない部分がいよいよ顕在化してきた、と見た方がいいように思います。


 103万円の壁とか、本当にばかばかしい話で、時給が上がった結果、逆に働く日数を減らす人がそこら中にいるわけで、ということは時給が上がっても家計の所得は増えず、したがって時給の上昇が消費につながらないというアホなことになっています。税金を取る財務省ってホントにバカだなと思います。もちろん、こっちを整えるとこっちが整わない、という調整の結果の今の政策だろうと思いますが、103万円の設定で取ろうとしている税金が、結局もっと大きな税金を取り損なっている、という可能性は考えた方がいいと思います。


 もっとも、個人的には、官僚や警察、自衛隊の設備はもっとよくして給料も上げた方がいいと思います。上記批判に対する順番は、その後だろうと思っていますので念のため。

 ということで、給与引き上げは物価上昇の後に来ますので、今年はもちろん、来年も賃上げ基調は継続すると思います。年功序列とかも制度的に厳しくなってくると思いますので、非常に大きな意味で、日本経済はこれから良くなってくると思います。長い目で見ても日本株は有望だなと思います。