NYダウは20221月高値から10月安値の半値戻しが33,000ドル割れのところで、想定通りそこで調整したところから上昇(「半値戻しは全値戻し」の格言通り)、で、1114日の週の横ばいは同じ日柄で0.618戻りが34,000ドル割れ程度のところですので、やはりこの波動をもととした計算通りの動きと言えます。今年8月の戻り高値もほぼこの水準でしたので、合わせて戻り売りの出やすい水準だったと言えるでしょう。


 米国の著名なストラテジストの何人かも、足元の株価上昇過程で弱気を言っていたようですが、今のところ大外れということになっています。おそらく、ですが、先月までの株価下落時は債券価格も下落しており、米国では株が下がって債券も下がる(金利が上昇する)ということはあまりありません。ポートフォリオで資産を持っている多くの人にとっては、株のボラティリティが高いので株価下落時には資産価格は減ってしまうものの、保有している債券の価格が上がることで少しは損がましになる、という経験が根強いのだろうと思います。そのため、株、債券のダブルでやられた今回の局面で、今回は違う、という感じになっていると推測します。言ってみれば、いつもと違う動きに取り乱しているのだろうと思います。


 物価指標にしても、そんなに大騒ぎしなくても自動車価格を見ていれば頭打ちになるのはわかるはず。また、コロナの影響が一巡し、出かける需要が高まるとともに、給付金のおかげで職場に戻らない人がいて、需給バランスの悪化から物価が上昇している部分もありますが、それとてもうピークは見えています。それに、金利が充分に上昇すれば、手元にお金があっても使わずに定期預金に回した方が得、となりますし、お金使い続けたところでタンスがいっぱいになったらもう買うものはないのです。そういう意味で、金融政策を非難する人が多いように思いますが、それよりも政府のバラマキ財政政策がやりすぎだった、という方が正確に思います。お金をもらった人にしれ見れば、そこは非難しにくいのかもしれません。


 とはいっても企業業績が肝心ですが、米小売企業の多くは増収となっているようですが、仕入れ価格の上昇を価格に転嫁できていないところは利益面で苦戦しています。その結果の株価下落というのは個別ではあるかもしれません。しかし、トータルで見れば、基本的にインフレは株高要因と見ていいと思います。名目利益が増加するので。ということで、NYダウは米国のベテランストラテジストの、「なんで?」とか、「今に暴落する」というような声を聞きながら37,000ドルを目指すのだろうと思います。ただ、米長期金利がどんどん下がるほど物価は下がらないと思いますし、景気の基調は強いと思うので、ここからまた10年債利回りが4%に乗るような局面も想定され、そうしたときに株価に大きめの調整が入ることはあるかもしれません。が、10月以降の株価上昇が、下落トレンドの中の短期上昇相場、ということはないと思います。


 日本経済は、はっきり言えば多くの日本企業の消極的な経営戦略のせいでバリュエーションが低いままとなっています。それでも成長している企業はありますので、そういう銘柄も一緒に割安となっていると思います。普通に5%以上の配当利回りが見込める増収増益企業を買っておくのが良いと思います。