今週は日本はゴールデンウィークということですが米国ではいよいよFOMC、利上げ幅は0.5%あるいは0.75%か、といったところです。今朝の日経新聞では、「米株売り招く3つの不安」という見出しで、インフレ、企業業績、世界景気、と書いていましたが、その通りと言えばその通りですが、素人っぽい話ですね。理屈をこねればそういうことになりますが、一言、利上げのせいで株価下落、ということでいいと思います。なぜ利上げすると株価が下落するかというと、利上げによる景気減速懸念とかバリュエーションの低下とか、そういう話になるとは思いますが。

 ここでは手っ取り早く、ロイターの記事のリンクを貼っておきます。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-idJPKCN2LE0DD

この記事にある、「Stock performance as Fed starts to hike」というグラフをご覧いただければ一目瞭然ですが、過去、利上げしたあと1カ月で株価は下落、その後上昇、というパターンがあるのです。はっきり言って毎度のことです。それでは記事にならないので(証券会社としてはレポートやセミナーにならないので)あれこれ理屈を足しますが、現実はもっとシンプルだろうと思います。金融政策、財政政策が株価に影響を与えるのは明らかと言っていいと思います。トランプ当選の時、バイデン当選の時は財政政策期待で株価が上昇しました。そういうものです。そんなに難しい話ではありません。


 あえて言えば、今回は中国景気の減速という悪材料がプラスされています。ゼロコロナ政策による都市のロックダウンの影響です。ロックダウンとかやったら景気に悪影響がありすぎるから駄目だ、という話はとっくに西側では共有されているのに、それでもロックダウンとは中国の医療体制はそれほど貧弱なのでしょうか。日本はあまり人のことを言えませんけれども・・・。もっとも、中国にダメ出しをするのは簡単ですが、中国は資本主義社会と違ってある意味目線が長期的な感じがします。だから常に政策が正しいとは到底言えませんが、まあ世界に対する見方が違うということでしょう。いずれにせよ、今やGDPが世界第2位の大国ですから、そこの景気がよろしくないとなれば世界景気に影響は出ます。米国のように、輸入があまりに多く、米国景気が悪化すると世界中で売り上げが落ちる、というのとは違いますが、それでも世界的に影響はあるでしょう。


 ということで、先週も書きましたが、足元は株価下落はやむなし。しかし、FOMCで利上げが決定されれば、ここから先は買い場探しの局面でいいだろうと思います。景気がいいからこその利上げなわけですから。で、コロナ後の世界需要はおそらくまだまだ本気ではありません。特にサービス業で。したがって、株価の見通しは楽観的でいいと思います。


 為替については、日銀黒田総裁は緩和策を継続しており、円高への反転は望みにくくなっています。以下、個人的な考えですが、黒田総裁はもっと円安になってもいいと考えているのではないかと思っています。とにかく、資本主義社会においてデフレの弊害は大きすぎることは、ここ20年余りの日本を見ていたらよくわかります。で、いちど根付いたデフレマインドはそう簡単に払しょくされないことも骨身にしみてわかりました。となれば、多少の荒療治はやむを得ないのではないでしょうか。短期的につらい目にあっても、デフレマインドが解消されることの方がよほど重要だろうと私は思います。円安がどんどん進んで物価がどんどん上がって、それでデフレマインドが矯正されるなら、この先何十年にわたって、いい意味での大きな変化点となると思います。アベノミクスできっかけをつかんだものの、まだまだ本格的なデフレ脱却には至っていないと思います。ここから総仕上げになれば、日本経済や日本株の未来は明るいと思います。