株価が頭打ちだとどうしても悪材料に目が行きがちです。順序としては悪材料があって株価が調整するというより、株価が調整して悪材料に目が行く、というケースが多いように思います。もちろん、悪材料でトレンドが下落に向かうことはありますが、そもそも中長期トレンドは上がるか下がるか横ばいかであって、トレンド中における日々の材料というのは、それはそれで日々の値動きに影響は与えているものの、必ずしもトレンドに影響を与えるものではない、くらいに見ておいていいように思います。


 現状、普通に想定される相場材料としては、ウクライナ情勢、米国の金融引き締め、世界的インフレ、が3大メインテーマだと思います。その次に引っかかってきそうなのが、中国のゼロコロナ政策、東西冷戦の再燃懸念、環境問題どこまでやるの、といったところかと思います。


 まずウクライナ情勢については、ロシア軍がキエフの包囲を解いて東に向かう、と。これは戦線の縮小ということで相場には好材料と思います。どこまで戦線が拡大するのか、下手したらNATO軍と戦うことになるのではないか、となると世界大戦になるのでは、という懸念があったわけで、そういった懸念が後退する話です。次に、米国の金融引き締めですが、これはFOMC1回の利上げ幅を0.25%として、年内のFOMCあと何回の内、何回利上げ、というようなレポートが多いのですが、ここにきて、1回の利上げ幅は0.5じゃね?という見方が出てきて、それも5月に0.5%上げるだけではなく、何回か0.5%上げる回があるのでは、という見方がメインになりつつあります。しかし、そうした見通しで株価が下落している感じはしません。で、3つ目の世界的インフレですが、とりあえず原油価格の上昇は止まっている感じです。高いことは高いのですが。で、そもそもウクライナ問題以前に物価は上昇基調でした。環境環境って、石炭火力にお金は貸さないとか、そんなこともやるようですが、既存の発電の仕組みを1から0になんて簡単にできるわけはなく、移行期間というものが必要なのは当たり前です。どうもヨーロッパ人はその点ヒステリックというか理想論が過ぎるように思います。あるいは、それぐらいやらないと着地しない、と開き直って進めているのかもしれません。いずれにせよ、こうした環境優先が既存エネルギー資源の需給をひっ迫させている面があるのは否めません。よって、資源価格の上昇あるいは高止まりは当面続くと覚悟した方がよさそうです。


 で、これら3つのメインと思われる相場材料に対し、最近の相場は良くも悪くもあまり反応していないように思います。要するに、いずれ解決しそうなもの、当分解決しないもの、それぞれのくくりでそうなるように織り込みが進んだんだろうと思います。となりますと、その次に引っかかってきそうな中国関係の話が気になるところです。中国のロックダウンで、おそらくまた供給不安が出てくるのではと思います。中国政府は景気に配慮するといっているので、それを信じれば、ロックダウンに伴って中国の景気が落ちることはない(あるいは落ちそうになってもフォローする)ということになりますが、そううまくいきますかどうか。


 で、日経平均は昨年9月以降の高値を結んだ線、ついでに200日移動平均線、ついでに9月高値から3月安値までのの61.8%戻し、と節目の重なる価格まで戻ったところで調整中です。さすがにここは突破しないだろうということでやれやれの売りだの新規空売りだのが入りがちなところと思います。しかし、今年の日本経済は内需中心に強いはずです。コロナが再燃せず、GO TO政策が発動されれば、という条件付きですが。また、中国の供給問題や景気減速がなければ、という条件も付きますが、今年の日本は欧米諸国と比べて(あるいは1年遅れで)景気の勢いは強い、という見方でよいと思います。中国の景気については直近発表された中国のPMIが良くなかったのはよくない兆候。どうも市場は中国発の悪材料に目をつぶっているようですが、たしかに今年の日本経済は内需の回復が注目ポイントなので、外需に不安があっても差し引きで何とか恰好は付くかなと思わなくもないです。が、不安は残りますね。ということで、いわゆる国際優良株というより、内需系の好業績銘柄がいいと思います。個別では結構いけるのではないでしょうか。


 ということで、個人的には調査部からの異動で会社の今の業務は徐々にフェイドアウト中です。来週あたりから新部署です。また、当欄にコメントいただき恐縮です。コメント欄に書かずに本文でお返しするというのもなんですが。思い返せば、直接お客さんの目に触れるものを作らない部署に行くのはほぼ初めてです(若い頃の研修時以来)。