ロシアによるウクライナ侵攻は、数日で終結するとの見方が多かったように思いますが、案外長引いています。長引いているといってもまだ1カ月もたっていないわけですが。で、株式や債券、為替の各市場は戦争の行方については織り込み切れず、一方で資源価格は上昇していることから、インフレ懸念ばかりが先行する展開となっています。戦争が織り込み切れないのは、そもそも織り込むべき先行きが見えないからにほかなりません。

つまり、織り込めないというより見通せないといった方が正確でしょう。したがって、戦況がさらに悪化すると見る投資家は株を売り、間もなく何らかの形で決着すると見る投資家は買い、という状況になっていると思われます。仮に今後解決に向かえば、ほどなく株価は上がり、結果的に買っていた投資家が勝つ、ということになるのでしょう。

 個人投資家の場合は自分のお金で好きに勝負ができるので、株で持つのも現金で持つのも本人次第と言えます。個人的には2月の月初にマザーズ銘柄と東証1部上場の小型株を買い、現在は二つ合わせれば儲かっている状態です。しかし全く油断はできません。例えば、もし何かの勢いでNATO軍とロシア軍が直接交戦ともなれば、株価はおそらく大きく下げるでしょう。そうなったら目も当てられません。


 インフレの行方は先行きの予測がつきそうな感じがするところがまたじれったいところです。しかし、現状では結局のところ戦争次第なので、これも判断が難しいところです。ただ、足元で原油価格等が上昇しているのはすでに起こった事実なので、それに応じて利益の出ている会社、損をしている会社はわかっています。要するに資源関連企業は儲かっているのですが、これとて、紛争終結でエネルギー価格が急落したら目も当てられません。結局のところ勇気を出して買い、エネルギー価格が強いままなら結果ラッキーということです。


 個人的には、原油等の供給はおそらくそう簡単には大きく増やせないと思うので、資源関連銘柄への投資は間に合うように思います。ヨーロッパはおそらく苦労していない人たちが環境重視の政策を進めたと思いますが、環境重視で石炭火力を使用せず、結果電力不足で凍死する人が出るようでは困ります。ロシア抜きの方向性は簡単には元に戻らないと思うので、いずれ原油価格の上昇は止まるかもしれませんが、高い水準で膠着すると見るのが順当かと思います。一方、今週のFOMCは波乱なしと見ます。米国では仕事がないというより、コロナの影響で仕事に戻る人が少ない結果、労働供給が足りていない状況です。しかし、物価上昇の要因の一つである中古車価格の上昇は鈍化の兆しが見えてきました。家賃が上昇している点はよくないのですが、インフレの先行きは悲観する材料ばかりではないといえるでしょう。ただ、米国の物価上昇率が前年比の関係で頭打ちになることが見込まれるのは4‐6月期なので、物価高の沈静化までもう少し時間がかかりそうです。