クラブDIYは楽しいけれど・・・ | クラブ職人の徒然草~2

クラブDIYは楽しいけれど・・・

先日、チューンナップでお預かりした市販ブランドのアイアンセット。

事前計測してみると・・・
各番手の長さが異常に長かったり普通だったりでピッチはバラバラ、
スイングバランスが異常に大きかったり小さかったりでバラバラ、
ライ角も全然カタログ値に合ってない(これはいつもの事やけど)、

伺うところによればお知り合いの方がクラブDIYがご趣味で、作って下さった物だとのこと。

分解してみて理由が分かりました。

元々販売されていた商品の時点でネックの中(正確には空洞になっているシャフト先端の中)に長さ(重量)がバラバラの真鍮棒が詰められています。
(これはどのメーカーによらず市販ブランド品のアイアンセットはほぼ100%です。)

で、シャフトを抜くとその真鍮棒がネック穴の底にくっついたまま残ることが多いんです。
シャフトと一緒に抜けることもあります。

従って本来29mm~30mmシャフト先端が挿し込まれるはずのネック穴の深さはその真鍮棒の長さの分バラバラに浅くなっていたり、通常通り30mmの深さが合ったり。
ということはヘッドの重さも真鍮で調整された状態の物があったり真鍮が取れて軽い状態の物があったり。

このMr.DIYはこの真鍮棒を除去せずにどっかのアイアンセットから抜いたシャフトをそのまま挿したという訳です。

おそらく、ほとんどまともな工具も持たないためにネック内に残った真鍮棒を取り出す術が無かったのでしょう。

どっかから抜かれたシャフトはまあまあ長さのピッチは揃っているでしょうから、挿し込むネック穴の深さがバラバラに底上げされた状態に挿したら接着長は危険水域まで浅くなり、長さは長くなり、重くなってるヘッドに長くシャフトを挿すからその番手はとんでもないバランスになり、普通の深さになってるヘッドにシャフトを挿した番手は普通の長さでヘッドが軽い分バランスも軽い。

かくして長さとバランスがとんでもなくバラバラなセットが出来たわけです。

よくぞ今までヘッドが抜けて飛んで行かなかったものです。

シロウト仕事、と笑っていられません。怪我でもさせたら誰が責任を負うのでしょう。

このMr.DIYは真鍮が残っていて接着長が浅くなってもそれが危険だとは思わなかったのでしょうか。
長さを測るルーラーもバランスを測る簡易なバランス計さえも持たずにただ接着するだけでクラブの姿になりさえすればそれで良いと考えたのでしょうか。

クラブDIYは楽しい趣味だと思います。

でも、最低でも組み立てに関することだけでも良いから正しい知識と常識を持たないと取り返しのつかないことになりかねません。

書店に行けばクラブDIYについて書かれた雑誌や本があると思います。
ネットでググればそれに関する内容が閲覧できるはずです。

正しく趣味を楽しんでください。