ドライバーのヘッド考 | クラブ職人の徒然草~2

ドライバーのヘッド考

テーラーメード社がR9で可変式スリーブのヘッドを世に出し、

今や市販ブランドはもとより、別注用のコンポーネンツブランド品にも可変スリーブモデルが沢山あります。

これをカチャカチャやってどのポジションが良いのか分からなくなってドツボにはまった、という経験のある方も少なくないと思います。

球の高さ自体は悪くないがイマイチ掴まらないのでロフトを上げれば掴まるだろう、という理由でノーマルからロフトアップのポジションにしたら掴まるようになったけど球が上がり過ぎるようになった。

球が上がらないのでロフトアップのポジションにしたら左巻きの球ばっかり出るようになった。

球が高すぎるのでロフトダウンのポジションにしたら高さが抑えられるどころか高いままで掴まらなくなった。

思い当たりませんか?

どういう構造・理屈でロフトが増えたり減ったりするのか、というところに理由があります。


ここでスリーブポジションが言う「球が高い=ロフトが増える」「球が低い=ロフトが減る」とは「リアルロフト」が増える、減る、という考え方に基づいています。

言い換えれば、シャフトの装着方向が真っ直ぐよりもフェイス側に傾くようにしてフックフェイスにすることでロフトを増やし、バックフェイス側に傾くようにしてオープンフェイスにすることでロフトを減らす。
という考え方です。

「それって逆ちゃうの!?フェイス閉じたらロフト減って開いたらロフト増えるやん!」って思いますよね。SWのロフトを増やすときはフェイス開きますからね。

それは「オリジナルロフト」の話なんです。



ドライバー、FWウッド、ユーティリティといった「ウッド系ヘッド」は広いソールをもつ形状ゆえに「座り」があり、それゆえにフェイス角という要素が生まれます。

「ロフト」には「オリジナルロフト」と「リアルロフト」の2種類のロフトが存在します。

ヘッドをソールが地面に水平になるように座らせたとき、フェイスは右向いたり左向いたり、真っ直ぐ向いたりしますが、このフェイス向きに関係なくソール(地面)とフェイスが作るロフト角。
これをオリジナルロフト(ソール基準のロフト)と呼びます。

フェイス角がフックになった状態で座っていればフックフェイスのヘッドという事になりますが、このまま打ったのでは球はそのロフトに応じた角度で飛び出し、球は左に曲がります。
ソールの座りを無視してフェイスが真っ直ぐ向く(球が真っ直ぐ飛ぶフェイス向き)までシャフトを時計回りに回してやるとフェイスが真っ直ぐ向いた時にはロフトが増えています。

このフェイス角±0度の時のロフトをリアルロフト(シャフト中心軸線基準のロフト)と呼びます。

ですからフック角が大きければ大きいほどフェイス角をゼロまで開いたときのロフトの増え方が大きいわけです。

この、「最もシャフトがフェイス側に傾くポジション」を「HIGHER」としているわけです。

「LOWER」はこの逆の理屈になります。


LOWERにしたとき、理論的にはアドレスでオープンフェイスな状態からインパクトではスクエアフェイスになるまでシャフトをしならせ、フェイスを被せたインパクトが出来れば球は低く真っ直ぐ飛ぶことになりますが、適度なオープン角ならまだしも、ここまで無理なこねくりインパクトをするというのは無理がありますし、その感覚のままセカンドショットでアイアン振ったら多分ドヒッカケですよね。

実際、そういう経験ありませんか?

もっと深刻なのはHIGHERで、ゴルフクラブのフェイスというのは正しくスイングすればそのヘッド軌道線に対して開いた状態から閉じてきて(時計逆回りに回転して)インパクトしますからフックフェイスのヘッドでまっすぐ打つという事はこのフェイスターンをわざとしない振り方をしなければならないことになります。

つまり押し出したり、「下から入る」軌道で振ったりしなければならないことになります。

このクラブが上手くまっすぐ打てる頃にはアイアンはダフって右フケしか出なくなり、ゴルフは下手になるでしょうね。

それに、可変スリーブ式ヘッドの(特に外資系ブランド)モデルはほとんどがノーマルポジションで相当なオープンフェイスです(実績から言って3.5~5.0度)。
ですからスクエアに構えやすく、スクエアに球が飛びやすいポジションに調整するにはスリーブポジションをHIGHER方向に動かす必要があるのでロフトが増えることになります。

これも実績から言いますが、9.5表示で大体11.0~12.0に、10.5表示で12.0~13.0に、ほとんどのケースなってます。


別注用コンポーネンツブランドのヘッドでもやはりフェイス角と実測ロフトには個体差があります。

ですからメーカーさんサイドできっちり個体差の数値管理が出来ている場合はまだ安心ですが、そこまで管理精度が高くない場合は「一応そのロフトとして管理しているヘッド」を数個送ってもらって当方で実測し、ネックのホーゼル孔にシャフトを真っ直ぐ挿せば希望するスペック(ロフト、フェイス角、ライ角)になるものを選ぶし、それが無い場合はシャフトをどの方向にどのくらい傾けて装着すればそのスペックになるかを考え、そういう「当方での料理シロ」のあるものを選びます。

9.5って書いてあれば9.5度だし、10.5度って書いてあれば10.5度ですわ。多少の誤差はありますわ。そんなんお客さんには分からへん関係ないレベルでしょう?

などとほざいたいい加減なメーカーさんとは即刻縁を切ったのは言うまでもありません。(良く飛ぶと評判だったので惜しかったですけどね^^;)

先の記事でFWウッドセットを組む、というお話をしましたがドライバーだって同様です。
実測ロフトが9.5と10.0が同じや、そのくらい関係ない。とは僕には口が裂けても言えませんし、そんなクラブを知らん顔して売るくらいならもう足洗います。

ここまで精密な仕事を提供できるのも絶対信頼できるゴルフギャレーヂ製の測定機があればこそなんです。