第三者に対する偶然防衛は、果たして錯誤論で処理してよいのでしょうか?
この場合、正対不正になり既遂を認めるべきかとも思われます。
確かに、行為者は結果的、事後的には正ではありますが。
防衛の意思必要説をとりながら、第三者に対する偶然防衛の場合には不要とするのは論理的に一貫しません。
防衛の意思が転用されるということでしょうが、故意の場合と果たして同じ扱いをするのに釈然としないものがあります。
事実の錯誤の場合、故意を転用して犯罪を成立させた方が、被害者にとっても便でありますし、加害者にとっても量刑で考慮できると思われます。
他面、防衛の意思を転用してしまうと、何ら関係のない第三者に対する犯罪が成立せず、被害感情的に納得できないですし、正当防衛で無罪となる以上、行為者も処罰を免れます。
それに、本来向けられた不正な侵害者に対する関係ではどうなるのでしょうか?
行為者は構成要件の段階では不正な行為に着手していますので、第三者に防衛の意思が転用されると未遂の罪責を負いそうですが、個数を錯誤論と同じく認めずに侵害者に対しても正当防衛として処理するのでしょうかね。
転用を認めず、第三者に対する既遂を認定すると、侵害者に対しては未遂の構成要件には該当するが、正当防衛となり違法性が阻却されます。
このように見てくると、この問題はそもそもオーソドックスに処理すれば足りることになりますね。