鳴り物入りでドラマ化されたapple tvの『パチンコ』を観て、具合が悪くなってしまった。

アメリカでベストセラーになった『パチンコ』という小説は

ある朝鮮人女性、そしてその家族の三世代に渡る壮大な人生の物語だ。

原作小説の読後感は「韓国版女の一生」だった。

 

それがドラマ版では原作の良さが少しもなく、ただの反日プロパガンダドラマになっていた。

まず、脚本が酷い。

原作を読んでいなければ、登場人物の人間関係はもちろん、

誰が主人公なのかもわからない。

映像ならではを意識しすぎて過去と未来が目まぐるしく交差するため

登場人物の一人に感情移入ができないことも問題であろう。

 

せめて、原作のストーリーをダイジェストしてくれれば良かったのに

朝鮮人が日本人に虐げられたことを強調することにばかり囚われ、

肝心なストーリーすらよくわからない。

そもそもタイトルが『パチンコ』である意味もわからない。

 

戦後の生まれの私でも、日本がかつての朝鮮、そして在日朝鮮人に

酷いことをしたことは歴史的事実として知ってはいるが

21世紀の今、そのことを声高に、ましてや朝鮮を二分したアメリカ人に言われることに疑問がある。

(原作者は在米韓国人だが、ドラマの製作はアメリカのapple tv)

 

もちろん、原作には日本が朝鮮を統治下に置いたことや、

日本人が朝鮮人を差別したり、強制労働させたことは

物語の重要な社会背景、歴史の一部として描かれている。

確かにこの物語はそうした負の部分なしには成立しない。

だが、原作は反日小説ではない。

 

日本でも人気のあるイケメン俳優イ・ミンホが主役の

第7章などは関東大震災を描いているが、原作のストーリーとは関係がなく

製作者の言いたいことはその大震災で多くの朝鮮人が虐殺されたことだけのようだ。

 

反日思想が如実なため、apple tvは日本市場を諦めているという記事も見たが

世界的に見ても、反日プロパガンダドラマを今時お金を払っても見たいという人が

それほど多いとは思えない。

 

朝鮮が二分される前の世代の年配の方々、そして歴史を知る韓国人が

日本に恨みを抱いていることも知っている。

けれど、在日も含めて韓国人全員がいまだに反日かといえばNOだろう。

在米の韓国人は差別されていないのかという答えもNOだ。

 

昔の西部劇のように、白人の騎兵隊がネイティブ・アメリカンのインディアンを虐殺したり、

白人が黒人を徹底的に差別するようなドラマや映画を

日本が製作し、世界配信したら

アメリカ人はどう思うのだろうか。

 

apple tvは何を思って、ある女の一生という普遍の物語を

反日プロパガンダにしてしまったのだろう。

 

イ・ミンホもさることながら、アカデミー賞を受賞したユン・ヨジョンを無駄に使って残念である。

この作品は日本で製作するべきだったと思う。

物語の大半は日本が舞台なのだし、日本人の良心として。