まずは祝アカデミー賞受賞。
アメリカでは上映館を増やすほどの人気らしいが、日本での評判がイマイチという記事を見た。
その中に「日本人には合わない」というのがあって、これはちょっとと思った。
ならば村上春樹も日本人には合わないのだろうか・・・
もともと私は原作主義で、原作を超える映画や芝居はないと思っている。
原作、つまり小説、文学は文字だけなので個人個人のイマジネーション、感性で
いくらでも自由に膨らませ、解釈することができるが
映画や芝居になると自分以外の人の感性によって、文字が具現化するからだ。
かつて、その自論を映画演劇評論家の知人に話したら、
「原作の小説と映画、芝居は別物」という答えが返ってきた。
目から鱗の返答以来、できるだけ別物として観るよう心がけているが
未だに原作を超えた作品は『風と共に去りぬ』だけだと思っている。
もちろん、独断と偏見、主観である。
しかし、原作を超えないにしても、映画たがら、芝居だから面白いという作品はある。
私にとって『ドライブ・マイ・カー』はその一つだ。
映画オタクどころか、若い頃は芝居、演劇こそが瞬間の芸術と信じ、映像を毛嫌いしていたので
私にとって映画は面白いか、面白くないか、ワクワクしたりハラハラしたり、
泣いたり、笑ったりして心に響いたかどうか、感動したかどうかだけである。
ちなみに、映像の仕事に携わることになって初めて映画も瞬間の芸術だということがわかったが、
あのアングルからのカットが素晴らしいなどとという「通」の見方はできないので
いまだに面白いかどうか、心に響くかどうか、感動するかどうか、
泣けるか笑えるかなど低レベルなところで評価している。
そんな私でも『ドライブ・マイ・カー』は良い映画だと思った。
もちろん、万人、観た人すべてが良いという作品はない。
一人一人感性も生活も性別も年齢も国籍も体調も違うのだから当然である。
つまり、何を言いたいかというと、
「日本人には合わない」ではなく、「自分には合わない」ではないかということだ。
もちろん、「日本人には合わない」と実際思ったのだろう。
そして、そう思うのは自由だが。