ここ5、6年、新しい服が欲しいと思うことも、買いたいという気も起こらなかった。
母の介護中はそれどころではなかったし、母を亡くしてからはコロナ禍になり、
自粛を余儀なくされ、母ロスと自粛でますます引き籠もりになったのがその理由だ。
そんな私だが、先日ネットの記事で見たユニクロUのメンズ・デニムオーバーシャツジャケットが
欲しくてたまらなくなった。
母ロス以来、初めて生まれた物欲も、引き籠もりからのある種の前進と都合よく解釈して
早速近くのユニクロに出かけた。
ユニクロに買物に行くことは何年ぶりだろうと感慨にふけりながら、
商品を探したが見つからず、店員さんに尋ねたところ、当店にはないが通販ならすぐ購入できるとのこと。
買う前に試着をしたい古いタイプの私は、その扱っている他店から取り寄せてもらいたいとお願いした。
数日後、近くの店舗に届いたという連絡をもらったので、すぐその店舗に向かい、
試着し、記事の通りだったので気に入って購入した。
値札は\6990だったが、なぜか\1000引きの\5990だったのでラッキー大満足。
家に帰り、鏡の前で再度試着し、ボタンを全部とめてみた。
そして、ささやかな幸福感を味わった。
その夜、いつものように韓流ドラマを観た。
前日から観始めた『ある日~真実のベール』という殺人犯に仕立てられた無実の青年の
刑務所を舞台にしたドラマである。
観ているうちに、韓国の囚人服がどことなく見覚えがある気がしてきた。
主人公の痩せ型の青年が、その囚人服の上着のボタンを全部とめて立っている姿を見て、
既視感・・・
今日買ったユニクロUのメンズデニムオーバーシャツジャケットを
ボタンを全部とめて満足気な鏡の中の自分だ。
ちなみに韓国の囚人服は上下デニムなので、囚人服の方は洗いざらしで薄いブルー。
購入したユニクロはインディゴブルーで、ポケットはステッチがあり、プケットの位置も
囚人服とは違う。が、しかし、型は似ているどころかほとんど同じだ。
店で試着した時はボタンをとめなかったし、ほとんどの囚人がボタンをとめておらず、
体格の良い人が多かったので、ここまで似ているとは感じなかったのだ。
数年ぶりに私が買ったのは、韓国の囚人服だったのか・・・。
余談だが、その刑務所で一番権力を握っている別格の囚人だけ
なぜかインディゴブルーのデニムオーバーシャツだった。