宝塚を観なくなって数十年になるが、浅田次郎の『蒼穹の昴』を上演することが決まったという記事を見て驚いた。
その記事をUPしていた方は「1本物の大作、しかも中国王朝物」とはしゃいでいらしたが
1本物の大作(宝塚は通常、芝居とレビューの2本立て)はさることながら、
中国王朝物といっても『蒼穹の昴』は確か清王朝末期、19世紀末、日本でいうなら明治時代の話で、
しかも貧しさ故に宦官になるしかなかった少年が主役である。
『蒼穹の昴』は私の愛読書の一冊で、大感動した大好きな作品であるが、
それだけに
いかにジェンダーレスの時代とはいえ、あえて宦官役を女性が演じる必要はあるのだろうか。
古今東西数限りなく名作がある中で、あえて宦官主役の作品を上演する意図がわからない。
中国王朝物なら、宝塚には『虞美人』や『皇帝と魔女』といった名作があるではないか・・・
(古すぎかもしれないが)
「チェ・ゲバラ」「マッカーサー」「白洲次郎」という名が出ているポスターを見た時ものけぞったが
今回の「宦官」にはひっくり返りそうになった。
百数年の歴史を持つ宝塚歌劇団ならではの作品をなぜ企画しないのか
とても不思議に思う。
制作側に是非とも企画意図を問いたい。
また、二十年ほど前には原作があるのにオリジナル作品として平気で上演したこともある宝塚だ。
制作側の無知無能無策を疑われても仕方ない思う。
無邪気に宝塚を愛するファンのためにも制作陣の勉強と努力を切に願う。