「目を細める」というと日本語ではいい意味に使われますね。
たとえば、
「おじいさんは、孫娘のかわいい仕草を見て目を細めた。」
という具合です。
ところが、英語で
"narrow one's eyes"
というと、訳は「目を細める」ですが、意味は日本語の場合とむしろ逆転してしまいます。
次の文をお読み下さい。
"She took a long , deliberate drink of wine and eyed him suspiciously. Her brown eyes narrowed and glowed..."
Her brown eyesが主語ですから、「目が細まった」ということですが、ニュアンスとしては一緒です。
最初の文の"She....eyed him suspiciously"がヒントになりますが、要するに
この場合の"narrow one's eyes"あるいは"one's eyes narrow"は決して良い意味ではなく、疑いの目をもってみる、という意味ですね。
先ほど引用した場面は、主人公がjob interviewからの帰り道にワインを買ってきたので、奥さんが何ごとかと、いぶかしがっている、やや疑いの目で見ている、という場面なのです。
「目が細くなって、光を帯びた」
なんだか、決闘に臨む時代小説の主人公みたいですね。
(Source: John Grisham "The Firm" (Arrow Books, 1991, p.15)