サガンという生き方 (新人物往来社文庫)/山口 路子
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「好きな作家は誰ですか?」と聞かれて、「サガンです。」と答えても、20人に1人くらいしかすぐにわかってくれません。その1人も、おそらく『悲しみよこんにちは (新潮文庫) 』のタイトルを知っているくらいで、読んだことがあるかどうかは微妙です(ノ_・。)


フランソワ―ズ・サガンは処女作の『悲しみよこんにちは (新潮文庫) 』を若干18歳で書き、世界中にその名を知らしめました。私は17歳のときに『悲しみよこんにちは (新潮文庫) 』を読んで、その実力に圧倒されました。自分とほぼ同じ年齢の女性が書いた作品だとは到底思えない大人の世界、その自由でほどよく力の抜けたアンニュイな雰囲気が、私にはとっても新鮮で魅力的でした。


当時、新潮文庫のサガンシリーズは朝吹登水子さんが翻訳していました。私は朝吹登水子さんの日本語の表現が好きだったとも言えます。翻訳本は翻訳者によって雰囲気が全く異なりますが、朝吹登水子さんの使う日本語は本当に美しく、情緒的で、サガンの世界を如実に表していたのではないかと感じます。


「サガンの小説を原書で読みたい!」と血迷った願望も持ち、大学受験では仏文も受けたりしましたが、大学に入学して二外に仏語を選択し、仏文に行かなくてよかったと思いました(●´ω`●)ゞ


サガンという生き方 (新人物往来社文庫) 』で久しぶりにサガンに触れて、改めてサガンが好きだと実感しました。


サガンはプライベートではお騒がせ作家で、その破天荒でスキャンダラスな生き方が取りざたされることが多かったのですが、私は知的で、ユーモアがあり、ピュアで子供っぽく、シャイで、自由を愛し、自分に正直な女性だと思います。


そして私が一番好きなのは、彼女の深く柔らかい優しさと繊細さ、いつもどこかに漂う孤独感です。


"ennui"というフランス語がぴったりくるサガン作品独特の雰囲気も、ときには生死をさまよう程のスキャンダラスな事故や出来事も、そんな彼女の壊れやすいガラス細工のような繊細な一面から来ているのではないでしょうか。


人は誰もが基本的には孤独な存在です。だからこそ、人とのつながりを求め、人を愛し、たとえ傷付くことがあっても人との関わり合いの中で生きていくような気がします。サガンはそんな人間の孤独感を静かに受け入れ、温かく包み込める人だったのではないかと思います。だからサガンの作品にはどこか孤独感が漂うのですが、さびしいという気持ちより、ほんわか温かく、優しい気持ちになれるような気がします。