普段は恵比寿はあまり行かないけど、気になったBARがあったので恵比寿駅で降りてみた。
改札を出で西口のエスカレーターを降り、Google Mapで出た青いドットの通りに歩いていく。
駅から徒歩5分と書いてあったが、3分ぐらい歩くとBarの看板が見えてきた。入口は地下に有り、地上からでも見える木製のドアがライトに照らされて縁のあたりが輝いて見えた。
階段を降りてドアを開けるとカウンター席が10席ぐらいと奥に背の高いテーブル席が3つ置いてあった。既にサラリーマン風の男性3人組がビールを飲んでいた。時計を見るとまだ19時。バーで飲むには早い時間だなと思いながら、バーのマスターらしき人に促されて、入口から3番目の席に座った。
ギムレットを注文すると、3人組以外の客がいないせいかすぐにシェイクされたカクテルが目の前のグラスに注がれた。一口目を口にすると、少し浅い溜息がでた。ここのところ、出張続きだったせいか、なんとなく体がだるい気がする。バーの奥に並べられたリキュールやウィスキーの瓶を見ていると少しぼーっと見てしまう。
ギムレットが注がれたグラスに目をやると、バーの上のライトがギムレットを照らして少し緑色に見える。
ギムレットを飲みながら10分ぐらい考え事をしていると、新しいお客さんが立て続けに入店してきた。恵比寿で人気のBarとトリップアドバイザーで出てきただけあって、もっと人が増えそうな雰囲気だった。あまり人が増えて五月蠅くなる前に帰ろうとぼんやり考えた。
「横に座ってもいいですか?」
ふと声を掛けられ右を見ると、20代後半ぐらいの女性がハンドバックを型に掛けて立っていた。すこし笑みを浮かべ、首を傾けながらこっちを見ている。
「どうぞ。どこに座るのも自由ですから。」
少し驚いたが、断る理由もないし、何も考えずに答えた。
「失礼します。」
少し軽く会釈をして、彼女は横に座った。バーカウンターに肘をつき、並べられたリキュールやウイスキーの瓶を眺めている。ふいに私のグラスに目をやり、
「すいません。何を飲まれているんですか?」
「ギムレットです。」
「ギムレット。飲んだ事ないです。ジンベースですよね。美味しいですか。」
「さっばりしていて、美味しいですよ。」
「じゃあ、私もそれにしよう。すいません、ギムレットを下さい。」
バーのマスターは軽く会釈をして、すぐにシェイカー振り始めた。
彼女のギムレットが彼女の眼の前のグラスになみなみと注がれた。彼女は少し自分の目線より高く持ち上げて、ギムレットを一口だけ口にした。