7月7日、今夜は七夕なんだけど、二十四節気では小暑。
梅雨明けがまだのこの時期、なかなか牽牛と織姫は会えないんですよね。本来の七夕は旧暦の7月7日なので今の暦なら8月半ば。その時期なら雨もあんまり降らなくて、宵の口には白鳥座が天の川にかかって、牽牛と織姫は年に一度の逢瀬をたっぷりと楽しめるのにね。
「小暑」というのは文字通り、「大暑」と比較してのこと。小さいというよりはLess Thanという意味合いでの「小」。いよいよこれからどんどん暑くなってきますよ、って時期だ。
 
今じゃ考えられないことだけど、実家にはクーラーという文明の利器が存在しなかった。
真夏といえばシャツ一枚で汗だくで首にタオル巻いて過ごすのが慣れっこで、それでもやたら暑くてたまらないから、真夏の夜といえばいつも外で過ごしていたような気がする。
昼間の熱を帯びたアスファルトは夜とともに冷え始め、田舎だったせいもあるんだろうけど山から涼しい風が吹いてきてそれなりに涼しかったような気がする。
蚊に食われたり蛾を追い払ったりしながら、だらだらと何時間もツレと話こんだり、とても暑くてたまらないときは自転車でおもいっきり下り坂を飛ばして風を浴びたり。
田舎なりに遠くでチカチカ光る団地の灯りや、田んぼの中を貫ぬく幹線道路の街灯がきれいだったり。
牽牛や織姫みたいなロマンチックなことなんてなーんにもなかったけどね。
 
さて、そんな暑い夏の夜に似合う一枚ということで、これを。
 
Volume 1 /The Honeydrippers
 
収録されている曲はすべて50年代後半~60年代前半のいわゆるオールドスタイルのロックンロールとリズム&ブルース。
ツェッペリンを解散して隠居同然だったロバート・プラントが、ジミー・ペイジやジェフ・ベックを呼んで、、、なんてことはこの際どうでもいい。このレコードにパッケージされているのは、そういうロック伝説みたいなものとは遠いところにある、青春の熱気みたいなものだと思うから。
ノリノリのレイ・チャールズの“I Got A Woman”やロイ・ブラウンの“Rockin' At Midnight”のゾクゾクするようなセクシーさ。甘ぁーくロマンチックな“Sea Of Love”。そしてベン・E・キングの“Young Boy Blues”のキュンとするようなせつなさ、たった5曲の収録曲がぜーんぶかっこいい。
青春っぽいっていうか、とろけるような甘さも、胸締め付けられるようなせつなさも、熱く迸るようなドキドキも、ぜーんぶ制御できないような心の底から迸りだったり疼きだったりするようなね、そんな感じ。
 
いよいよクソ暑いド真夏へと向かう小暑の夜。
疼くような熱気をたまには思い出しながら、ロッキン・アット・ミッドナイト。