重要な経済統計の一つに「消費者物価指数」がありますが、
5月まで4カ月連続のマイナスが続いています。

こうした中で、日銀がまとめた6月の「生活意識に関する
アンケート調査」では、半数以上の人が、昨年に比べて
物価が上がったと実感しているようです。

それによる、1年前に比べて物価が「上がった」と回答した人は
53・0%と、前回3月調査の38・4%から大幅に増え、
原油価格が高騰した07年9月調査以来9カ月ぶりに
半数を超えました。

1年後の物価予想でも、「上がる」と答えた人が71・8%を占め、
前回の58・6%を大きく上回り、生鮮食品のほか、食用油や
ティッシュペーパーなど生活必需品が値上がりしており、
消費者が敏感に変化を感じとったようです。

統計と実感のずれはしばしば指摘されますが、今回の
アンケート調査結果は一般生活者の目線で潜在的な
インフレ・リスクが忍び寄ってきていることを物語って
いると思われます。

好調な企業収益がうまく「家計」に還流しない中での物価の
上昇は、豊かさを取り逃がすことに繋がります。

これまで「家計」は、ゼロ金利政策により預金の「利息収入」を
取り逃がしてきました。これは、正常な姿ではありません。

家計にとってかつては、「利息収入」はあてにされた大事な
収入源でした。それがいつのまにか忘れ去られています。
特に退職金を殖やして使うといった計画を持っていた方などは、
生活水準を下げざるを得なかったのではないでしょうか。

今回の物価上昇を予想するアンケート調査結果は、利上げの
タイミングがきたことを知らせ、それを促しているのではないでしょうか。