法人税の実効税率という数値があります。この数値は、
国と地方を合わせた法人課税における税率を表し、
企業の税負担の高低を示します。

この数値を、経済協力開発機構(OECD)加盟の30カ国
で比較すると、日本が一番高く40.7%で、次いで米国(40.0%)、
ドイツ(38.4%)、イタリア(37.3%)が続き、最も低いのは
アイルランドの12.5%となります。

OECD加盟国の平均は27.8%で、日本との乖離は、約13%と
なりますが、問題はこの乖離がここ6年で約5%ポイント
広がったことです。

こうした中で、高い方から3番手に位置するドイツが08年に
実効税率を29%台に下げる方針を固めました。ヨーロッパにおいて、
企業を誘致するため法人税を引下げる競争が激化していることが
背景にあります。世界経済のつながりが密接になることを「経済の
グローバル化が進む」といいますが、ヨーロッパではそれが顕著と
なっているのです。

日本では、法人税率の引下げを経団連などの財界の首脳が
発言していますが、このままでは優良な企業が日本を脱出して
しまうといった危機感があるのです。

国の財政が苦しいのに、「企業の減税をするのはけしからん」、
「儲け主義の企業を利する必要はない」とのスローガンを
どこかの政党が超え高に叫んでいるのをよく耳にします。
極端ですが、この日本から企業がなくなり、豊かな生活が
営めるのでしょうか。現実を直視する必要があります。

この秋、税制議論が本格化します。方向は、法人税引下げ、
消費税引上げが、みえみえです。

私たち生活者は、消費税引上げという現実を受け止めなければ
ならないとは思います。ただ、それは大きな条件付きであるべきです。
財政の無駄を極限まで絞ったうえで、それでも財政が健全化しないので
最後の手段として消費税を引上げるのだ、といった政府の説得力の
ある説明が欲しいのです。
この点をあいまいにして欲しくないというのが実感です。