厚生労働省では、2004年に「100年の安心」を掲げた年金改革を
行いました。各年金の保険料率と給付率(現役時の所得額に
対する、定年退職後の年金給付額の割合)のバランスをとる
仕組みです。厚生年金や、国民年金保険料を若干引上げる一方、
年金給付率を下げてバランスをとる形となっています。これに
より、モデル年金の給付水準は、それまでの59.3%から、
50.2%に引き下げられて今に至ります。3年前の新聞報道等の
記憶が蘇ってきたでしょうか。

実はこの保険料率と給付率の見直しは、5年毎に景気動向などを
みてさらに見直すことが前提となっています。2年後の2009年が
その年に当りますが、「年金の大改革」が着々と準備されているのです。

現在、約5,000万件(追加1,430万件)にもおよぶ該当者不明な
年金記録の照合が進んでいますが、その結果、本人確認できた
年金分については、政府は支払い義務を負うことになります。

先日、共産党が約5,000万件の「消えた年金」総額は約20兆円という
試算を発表しました。数字の確かさはさておき、現在の年金
積立金総額は150兆円なので、仮に20兆円も政府が新たに支払う
とすれば、積立金総額の7分の1強となります。

こうした状況を見ると、現役世代の50.2%の給付水準の維持は
もう既に破綻しているようにも思われます。かなりショッキングな
給付水準引下げ(もしくは保険料引上げ)が示されても不思議
ではありません。

厚生労働省の年金局では、公的年金の長期見通しを死に
物狂いで計算しているはずです。私たち一般生活者も
「ない袖はふれない」ことを認識し、厳しい現実に対処していく
必要がありそうです。