住宅の取得にあたっては、原則として物件価格の2割程度の
頭金(ローンの融資限度額は、通常、物件価格の80%)
と、購入時の手続き諸費用(新築の場合、価格の3%から
7%の諸経費が必要)がかかります。

今回は、2割の頭金の必要性を新築マンションを念頭に
おいて考えて見ましょう。

新築マンションの価格は、土地と建物の価格に開発業者
の粗利益や販売コストが2割程度上乗せされています。
そのため、購入直後にまず2割ダウンすることは避けられません。
問題はその後です。マンション価格が上昇するのか、それとも下落
するのか、といった方向により事態はがらっと変わります。

かつてバブルと呼ばれた時代には、土地部分の異常な急騰
により物件価格が大幅に上昇しました。そのため、利殖すら
狙えたのです。

では、地価が下落をたどるバブル後(最近は少し持ち直して
きましたが、地域差は鮮明です)はどうでしょうか。

そもそも建物は、古くなるほど価値が下がるのが自然です。
マンションの場合、価格に占める建物の割合が高いため、
その後の値下がりは避けられません。マンション自体が
よっぽどの付加価値や利便性などで人気の物件とならない
限り、値上がりは無理でしょう。

こうした事情から、頭金が2割に比べて少ないと、購入直後
から借金の額がマンションの時価を上回る「逆ざや」(住宅ローン残高
からマンションの現在価値を引くと、ローン残高が上回る状況です)
状態となります。

頭金が少ないほど、「逆ざや」が激しくなります。仮にマンションを
売却する事情が生じても、ローンだけが残り、売りづらくなります。

以上、見てきたように、2割の頭金の必要性がはっきり
してきたと思います。

家庭を取り巻く経済的な環境が厳しさを増すなかで、
家計に経営感覚を取入れることが重要となってきています。
住宅ローンという人生最大の買い物にあたり、「頭金作り」
は極めて重要であることを改めて強調したいと思います。