1年後は1ドル121円より、円高ドル安それとも円安ドル高?
タイムカプセルに乗せて、来年の6月1日に見ることにしましょう。

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米ドル/円相場は、円高に向かうものと思われます。
その理由は次の3点となります。

第一は、米国経済の足取りが不安定な局面に入り、
国際金融市場におけるドルに対する信認が
揺らぎやすくなる可能性が挙げられます。
貿易収支の赤字拡大基調になかなか変化は見られず、
ドル安要因としてマグマのようにエネルギーを
蓄えている感があります。

一方、多額の貿易黒字を抱えた日本は、
構造的に円高に向かいやすい状況となっており、
丁度反対方向にベクトルが向かっている姿が
浮び上がります。

第二に、円安の最大のファクターとなっている
日米金利差ですが、今後少しずつ縮小に向かう
ものと思われます。現在、政策金利(中央銀行
の市場誘導目標)の水準は、米国5.25%
に対して日本は0.7%台です。参議員選後に、
政策金利が引上げられるとの見通しがマスコミ論調
から形成され既定事実化していますが、
おそらく福井日銀総裁の退任時期である来年3月
までには2回の引き上げがあり、円高シフトが
見られるものと思われます。

第三に、通貨としての「円の安全性」を高めるような
政治イベントの到来です。今後実現される国民投票を通じて、
「日本の安全」に対するコンセンサスが問われることに
なります。これまで「ただ(無料)」とされていた安全を、
正々堂々と議論する素地ができたことは大きな前進です。
結論はどうであれ、国際社会からは少なくとも信任され、
円高要因となるのではないでしょうか。

以上の三点から、今後1年間の米ドル/円レートは
「円高」に向かうものと見られます。過去1年以内の
利上げでは、すかさずFX等による円売りドル買いが進み、
円高を抑えました。しかし、第一に掲げた貿易のアンバランスは、
ドル安要因をマグマのように蓄積しています。
日本の金利引上げをトリガーに、マグマが噴出す可能性を
注意深く見守っていく必要があると思われます。
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