ない!


ない!




マジでない…





買ったばかりの定期券、




そして、



それと一緒になった財布…






どーしよう…










学校にも自宅にも電話を掛けられない…



そ、それよりも、



このホームから出れない…







オイラの高校生活は、


とんでもない船出となってしまった…







しかしどーしよ…





途方にくれるオイラ…



頭の中でこんな曲がリフレインしている…



『そ~して~ぼくは途方にくれる~』 by 稲垣潤一







そんなことをしていても時間は刻一刻と過ぎていく。






もうすでにバスの時間は迫っている。







そこで意を決し、




駅員さんに話してみることにした。









『一番優しそうな人に…』







そこでオイラの白羽の矢が突き刺さったのは、




かなり年長の温厚そうな駅員さん。










「あ、あの~」




「はい?どうしました?」







もうオイラの乗っていたK成線の電車から吐き出された人たちは


乗り換えのためにほとんどいない。




「実は…MMM駅から乗ったんですが…」




「はい、それで?」







「定期がなくなってしまったんです(涙目)」




「え?失くしたの?」





「はい…入るときは見せて入ったんですけど」




一瞬、駅員さんの目が「キラリ」と光る。




「本当に?」






ウソをついてるかどうかを見極めているようだ。




だが、オイラの顔はきっと演技じゃ出せないような



それは緊迫した表情だったはず。





おまけに涙目なのは、心の叫びだww






「落としたのかい?」




「いや、確かに内側の胸ポケットにしまったと思うんですが…」






「多分なんですけど…すられたのかも知れません、混んでいたので…」



「すられたぁ??スリ??」






「MMM駅では見せて入ったので、入ってからここまでの間のことです」



「スリ…スリねぇ…」







「それじゃあ仕方がないね。そのまま出ていいよ」




「あ、ありがとうございます!」







しかし、時は非情にも過ぎ去りバスの発車時刻を過ぎる頃だった。







「実は、その定期に財布もくっついていまして…」




「お金もないの?」







「はい…しかも、もうこのままだと完全に遅刻なんです」




「そうか、じゃあ急がなくちゃね。いいよ、出ちゃって」







「それでお願いがあるんですけど」




「ん?何?」





人間、開き直るとあつかましくもなるもんだ。






「お金を貸して欲しいのですが」





「え?」







「あの~タクシーで学校に行きたんです…もう遅刻してしまうんです」




「千円くらいかい?」







オイラの通う高校は、


冬になると醗酵した湯気が立つ堆肥が点在しているほどww


駅からはかなり遠く離れたど田舎にあった。







「いや、三千円くらいかかると思います…」




「ハイヤーで行くの??(苦笑)」



なぜか駅員さんは「ハイヤー」と言ったw






「は、はい…」






そのとき、



オイラは高校生活で初めて人の優しさを知ることとなる。









「はい、三千円」




いやな顔ひとつせずに自分の財布からお金を差し出す駅員さん。






「ありがとうございます!!」





「あの、必ずすぐに返しに来ますので!!」




もちろん、学生証も定期&財布と共にどこかへ消えてしまった。




「あの、住所と電話番号を書いておきますので」






「いいよ、いいよ、遅刻するから早く行きなさい」






パキパキにテンパっていたので最初は気づかなかったが、



その駅員さんの胸元を見ると、




「駅長」




と書いてあった。









駅長さんの優しい笑顔と厚意に深く頭を下げ、



ダッシュで高校へと向かうオイラでした。














to be continued....