阿呆になるということ | 炸熱~歌キチ、愛をうたう~

阿呆になるということ

やっとさー、やっとさ

踊る阿呆に見る阿呆

同じ阿呆なら踊らにゃ損損


というわけで


この映画に行って来ました。


阿波ダンス タイトル


阿波踊りとHip-Hopの融合というところに非常に興味があっての鑑賞。


この映画の中でもっとも核となるのが


阿波踊りにおけるスタンス


阿呆になるということ


阿波ダンス

この映画で描かれる阿呆というのは

バカをやって人を笑わせたりというような外面的なことではない。


何かに夢中になって、一生懸命やること


阿呆=無心になにかをやること(^▽^)V


なのである。


ここに登場する高校生たちはみんな中途半端。


本気で何かをやろうとしていない。


それは寂しさを紛らすためだったり

伝統を守るためであったり

自分の体裁を繕うことのために動いているのだ。


それを阿波ダンスという新しいスタイルの踊りを

することによって彼らは何が自分に欠けているのかを

知ることになる。


人生は一度きりや、阿呆になってみい

という(榮倉奈々)のじっちゃん笑福亭 松之助)の言葉がきっと観た人の心に響くに違いない。

この映画、監督の言いたいことはストレートに伝わってくるのだが

イマイチすっきりしない。


それはきっと、阿波踊り阿波ダンスの明確な違いが描かれていないことに起因するのではないか。


まず最初に阿波踊りの迫力、一体感、こういったものをしっかり提示しなければいけないと思う。

その上でHIP-HOPのリズムとこれらが融合した時にプラスαの踊りになり

我々を圧倒してくれたなら、もっと面白かっただろうに・・・・・・。


何よりも阿波踊りという踊りの魅力を伝え切れていないところが悔やまれてならない。

プロデューサーの森谷雄氏はかつて、、TVドラマ界で『沙粧妙子・最後の事件』などをヒットさせた人。

目の付け所はシャープなだけに、題材の料理の仕方の中途半端さが勿体無い。


物語の中盤で、確かに榮倉奈々扮する主人公が“阿波踊りの素晴らしさ”に心奪われる場面があるのだが

残念ながら、このシーンだけでは阿波踊りのよさは伝え切れていないように私には思われた。

阿波踊りを知らない人にも、「阿波踊りとは何ぞや」ということが伝わらなければ何にもならないと私は思う。


この日は全国公開初日だったらしく、私が観に行った回は終映後、舞台挨拶がありました。

終わってからの舞台挨拶って、ちょっと意外な感じで新鮮でした。

どおりでで真ん中あたりの席に人が密集していた訳です。


プロデューサー森谷 雄氏の進行の下、長江俊和監督榮倉奈々ちゃん、ユッキー役北条隆博くんの3人が登場。


榮倉奈々ちゃんは赤のワンピース姿で、想像以上に背が高く、顔がちっちゃく

眩しかったです。

ちょうど私のいた席は通路の真横で、入退場は脇を通るわけです。

彼女たちを間近に見られてちょっと得した気分です。


先ほど述べたように監督の伝えたいテーマはばっちり伝わって来ました。

榮倉奈々ちゃん、わざとガングロメイクにしたのではなく、自然に日焼けして黒くなったそうです。

似合わないなあと思ったけど、自然になら・・・・・・。

撮影は11月に行われたそうで、日差しはかなり強かった模様。


阿波ダンス

振付はなんとあのKABAちゃん

彼も最初この企画を耳にしたとき

「うーん」という顔をしたそうです。

阿波踊りとヒップホップがドッキングしたらどうなるのか

誰にも想像がつかなかったのでしょうね。


阿波ダンス


コージ(勝地 涼)の父で、阿波踊りの名人役高橋克実さんがほとんど吹き替えだったのに対し

榮倉奈々ちゃんオール・スタントなしだそうで、大したものだと思いました。

ただし踊りは上手かったかというと、そこら辺の素人よりは上手いかなというレベルであったように

私は思います。

クールに踊るよりも彼女の場合、映画後半のように、笑顔で踊る方が素敵かなと思いました。


総じて、冬の撮影のため、水に入ったりといったシーンが辛かったそうです。

しかし、冬場の撮影であったとは感じさせない絵作りは見事だなあと思いました。

お疲れ様でした。


さて、よかったところも綴っておきましょう。


阿波ダンス


何度も言いますが、主演の榮倉奈々ちゃん、彼女の魅力は笑顔

前半の我侭でクールで意地っ張りの役はイライラするほど嵌ってませんでした。

先にも述べましたが、笑顔を取り戻した彼女の演技にこそ本来の持ち味が生きていたと思います。


防波堤でシルエットで踊る茜の絵は美しかった。

それから、チャリンコで海に落ちるシーン

あそこは気持ちいいです。好きなシーンですね。


男2人が海岸で本気で殴り合うシーン


このシーンはジブリの名作『紅の豚』の中で

ポルコとカーティスが殴り合うシーンを彷彿させて

印象に残りました。

男が無我夢中で、拳と拳で語り合うっていいですよね。


阿波ダンス

阿波ダンス


阿波ダンス


コージと茜が同級生たちに嵌められて

阿波ダンスをやることになる件(くだり)は

ベタですが、勝地くんと奈々ちゃんの表情が面白かったです↑


阿波ダンス

阿波ダンス

勝地 涼くんは頑固で不器用な熱血漢を好演していました。

茜を父親から庇うシーンは名シーンですな。

反発し合っているいる相手を初めて庇うこのシーン

本当は彼女のことを一番分かっているんだなあ

というのが彼の演技から滲み出ていて感動しました。

こんな熱い奴、実際いたら気持ち悪いですけど

私は好きですよ、だって同類ですから(笑)
阿波ダンス


そうそうこのコージと父の葛藤茜と母高木沙耶の葛藤対比も見所のひとつです。

阿波ダンス


高橋克実さん、硬軟の使い分けが出来る稀有な役者のひとり

『フラガール』でもそうでしたが、厳格な役も中々。


阿波ダンス

この映画で、特筆すべき大好演岡田義徳くん

彼が一番良かった!

彼の演技を見れただけで、観た甲斐があったというもの。

彼は役を作りこむタイプで

途中まで、余りに自然で彼であることに気づきませんでした。

上手い役者だなあ。

抜群によかったです。

「木更津キャッツアイ」の時とはまるで別人。


今回演じるのは“うずオタク

さて“うずオタク”とは何ぞや?

それは本編を観てのお楽しみ。


星野亜希ちゃんはぶりっ子しすぎでちょっと類型演技になっちゃったかな。


阿波ダンスに新しさを感じられなかったことに無念が残る映画だが、

観て損したとは思わないはず。

榮倉奈々、勝地 涼ファンは文句なく楽しめることでしょう。


青春ムービーが好きな方は・・・。

阿波ダンス チラシ


P・s

そうそう昨日、今日と高円寺で阿波踊り大会がありまして

阿波踊りの真髄が知りたくて、わたしくし本日行って参りました。

レポは後ほど。


おまけ(会場の展示)


阿波ダンス展示  阿波ダンス展示