勇者ペルセウスが倒した怪物メデゥーサの血から生まれた天馬ペガサスのように
その目を見たものは石になってしまうという怪物メドゥーサ。
そのメドゥーサは勇者ペルセウスによって倒され、首を落とされる。
その血だまりの中から天翔るペガサスが誕生したという。
有名なギリシャ神話からのお話。
私はこういう荒唐無稽なお話が大好きである。
実はこの伝説が映画の中で語られ、重要な位置を占める。
さて、これまた本広克行監督の作品。
本広監督は「踊る大捜査線」でブレイクした人だが
この『サトラレ』も忘れてはならない彼の代表作のひとつだ。
本広監督の作品で私が大好きなのは『7月7日晴れ』。
七夕伝説をモチーフにアイドルと普通の男の恋をドラマティックに描く。
「踊る」以前にもこんな素敵な作品を撮ってたんですよ、本広さんは。
フジTVの「ぼくたちのドラマ」シリーズの流れを汲む作品。
観月ありさ、荻原聖人主演のこの作品、いずれ語りたいと思っています。
ビデオのみ入手、レンタル可。
何故かDVD未発売。
“サトラレ”というのは考えていることすべてが思念として流れ、周りの人間に筒抜けになってしまうという特異能力の持ち主を指す。
だが本人はそれに気付いていない。
そしていずれも素晴らしいIQの持ち主だという。
安藤政信(里見健一)の真っ直ぐな瞳と素直な演技。
その真っ直ぐさに嫌味がなく好感が持てる。
この人の持ち味なのだろう
女性自衛官洋子を演じる鈴木京香が硬軟巧みに使い分け
人間味溢れる暖かい人物を好演。
寺尾聰,、八千草薫もまた熟練の演技で人間とは何ぞや
ということを教えてくれる。
嫉妬、親心、と正直に胸の内を明かす彼らに共感。
実に人間らしい人間じゃあないですか。
安藤政信の慟哭と咲き誇る満開の桜
涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙・涙
涙なくしては観られなかった。
安藤政信に同化していた、いや、安藤政信ではなく
彼の心のうちを聞く周りの人々の中に紛れていたのかもしれない。
果たして人は自分と違う者の存在を受け入れられるのか?
そんなテーマが根底に流れていて、でもユーモアも忘れず
暖かい視線で、ひとりの一生懸命生きている人間にスポットを当てた快作。
また、人間が人間らしく成長する映画でもある。
小野武彦さんが健一のことを「あの男」と初めて呼ぶシーンもそのひとつ。
とても印象に残った
彼の真摯な生き方が人々の心に影響を与えたことを端的に表現していて私は好きです。
あなたはサトラレを受け入れられますか?
また自分がもし、サトラレだったとしたら?