OTOHIME金魚図鑑 金魚の品種 出雲南京 | 金魚屋 Golden-Fish-Farm-OTOHIME

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今回は前回に続き天然記念物金魚のご紹介です。日本三大地金の

 

最終回は出雲南京を紹介します。

 

ランチュウによく似ていますが、その歴史は古く、出雲南京と言

 

うだけあって島根県で大切に守られてきた品種です。

 

出雲なんきんの特徴として、頭部が小さく肉瘤が出ない、背ビレ

 

がなく、四つ尾、 目先が細長く目幅が狭い、などが挙げられま

 

す。多くの他の金魚の品種では赤い色彩が好まれる傾向がありま

 

すが、出雲なんきんに関してはあてはまらなく、白勝ち更紗(赤

 

と白)の体色が良いとされています。赤と白の色合いは、梅酢を

 

用いて人工的に調色されることも多く、愛知の地金、高知の土佐

 

錦と同じように膨大な手間をかけられて成長していきます(梅酢

 

が塗られたところは色素が破壊され、白くなります)。

 

大型化する金魚で、飼育には「生まれ三分、飼い七分」という言

 

葉があるほど、飼育の仕方が、成長に影響してくる品種と言われ

 

ています。丸々とした身体はとても愛らしく、愛嬌があると同時

 

に、綺麗な鱗目から上品さ、気品を感じさせてくれるのが、出雲

 

なんきんの魅力です。

 

出雲なんきんの品評会では、容姿にすぐれた上品さが最も重要視

 

され、「口先が小さく 眼幅狭く、しかも目先が長く腹部は丸く

 

左右均等に張っているもの」という、口の先端から腹部までの線

 

が、上品さを持つかどうかが審査されます。

 

歴史の古い金魚ですが、確たる資料はなく、「なんきん」のルー

 

ツについては良く分かっていません。背ビレがなく、肉瘤の発達

 

しないランチュウの原始形となった「マルコ」を改良したものと

 

考えられています。「なんきん」の名の由来についても、中国の

 

南京に由来する説や、江戸時代に中国渡来のかわいい物を 「な

 

んきん」と呼んでいたことに由来する説など、諸説あるようです

 

がはっきりしたことは分かっていません。

 

江戸時代中期に現在の島根県にあたる出雲地方で改良が加えら

 

れ、松江藩主・松平不昧の推奨により藩士たちが飼育に励み、特

 

有の地金魚「出雲なんきん」が形成されていったといいます。松

 

平不昧は、とても金魚を愛したお殿様だったようで、部屋の天井

 

に硝子を張り月光で金魚を眺めたとか、金魚の色変わりについて

 

藩士を他国に派遣してその秘法を会得させた、といった逸話が残

 

されています。以来、出雲地方のみで飼育されてきて現在に至る

 

歴史ある出雲なんきんは、昭和57年に島根県の天然記念物に指定

 

されました。以前はなかなか見ることが出来なかったようです

 

が、現在では流通ルートにのり、金魚の専門店などでは扱われる

 

ことも多くなっています。

 

 

前述の通り、飼い方次第で、その後の成長が大きく変わるといわ

 

れており、基本的な飼育法は、150cm×90cmの広さの池で30匹

 

を飼育することだといわれています。多数で飼育しないと、餌を

 

食べる量が少なくなるとのこと。私を含め、通常の金魚飼育者に

 

とっては、なかなか整えられる環境ではないと思います。出雲な

 

んきんを楽しみたい場合は、すでに成長したものを購入し、大き

 

な飼育槽で飼育することをおすすめします。

 

 

出典:菊池 洋明 氏

金魚ガイド