今年を振り返るにあたって。願いと船で釣りをされる皆様へ。 | Golden Eagle 

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尾鷲の遊漁船 Golden Eagleです。
日常から釣果をゆるく書いています。
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今年1年を振り返るにあたり、忘れてはいけない事があります。

1年間無事故で終わる事が今年は出来ませんでした。
ご存知の方もおられると思いますが、夏に当船にて大怪我をされたお客様がおられます。

あえて書く必要もないと思われる方もあるかと思いますが、隠すよりちゃんと事実を述べた上で、同じ事が起こって欲しくない。


ですが、私達だけの問題ではなく、お客様のプライバシーにも関わるので躊躇していましたが、ご家族様とお話しをする中で、ご家族様の強い気持ちもあり、ブログで書かせて頂く事にしました。

その日はほぼベタ凪。キャスティングチャーター便でした。

鳥山でキハダが頭を上げ沈み・・・

船の後方でまた頭を上げたので、Uターンしてそちらに行こうと加速しようとしたその時でした。

まだ加速もしてなければ、ほぼ船も動いていない。

お客様はまだ船は動いていなかった。と海上保安庁の聴取で話されていますが、体感としては動いてるかどうか。と言う時です。

お客様はみよしに3人。

前方から急に掘りの深い波?が目前に迫って来ました。そこだけ真っ黒と言うか、濃紺と言うか、明らかに恐怖を感じる波でした。

主人と私はフライブリッジに居ました。

3人中、お2人はとっさに手摺りを握り、やや腰を落としておられました。

そしてもうお一人様は波を見て、とっさに船後方に移動しようと手すりから手を離して歩いてこようとされました。

とっさに「危ないっ!」と私も叫んでいましたが、船の後方に来られる前に波が来て、そして今度は突き上げる様な波で、身体が50cm程浮き転倒された所にイカリ巻きがありそこで強打されました。

私も10年以上船で釣りをし、ここ2年はほぼ毎日船に乗っていますが、初めての波でした。
その波は、その一発だけです。俗に言う一発波の様な感じだと思います。


私も看護師なので全身チェックを行い、外傷もあり、これは近くの港に入って救急車を呼んだ方が良い。と判断。

結果 複雑骨折されていました。

そして今回、事故後に怪我をされたお客様がビールを1本飲んでいた。と言う事が分かりました。
(あとのお二人は呑んで無い。)

この事故を受け、乗船時における遵守事項も見直し、移動中の注意事項など、一部付け足し乗船前にお客様にも注意事項を口頭でも説明する時間を設けています。


私自身も長く釣りをしている中で、船から転落した。転落して行方不明になった。
引き波で転倒して障害が残った。
乗ってる船が衝突した。
いねむり運転の船がふつかって来た。
等、話しを聞いたり、実際一緒に釣りをしていた知り合いが、船で移動中横になってる時に、ちょっとした波で頭を打ち、その日は大丈夫でしたがじわじわと脳内出血を起こしていて、後日亡くなられた。と言うとても悲しく、辛い事もありました。


命が一番なのは、百も承知です。

その上でここからが問題です。

皆様も船でもしケガをしたら??

船が保険入ってるやろ。と思っておられる方も多いと思います。


実際、遊漁船業を営むにあたり、乗客損害賠償保険(保険契約額が乗客定員1人あたリ3千万円以上)に加入していること。と定められています。

ですが、船の上でのケガ等について全て支払われる訳ではありません。

船長に過失がない場合。

また、酒、覚醒剤及び麻薬等の影響下にある事故は免責とされています。

軽傷から、麻痺の残る様な怪我でも、後遺症の残る怪我でも、全てにおいて飲酒された場合は免責となります。

当船でも他のお客様に迷惑となる程の飲酒じゃなく、運転手もおられる場合、休みの日に船に乗って1本ぐらいビール等飲んで、リフレッシュされたら・・・海で呑むビール🍺は最高に美味しいと思います。

なので、適量であれば禁止もしていません。


釣りに送り出されるご家族としては、船でお酒を飲んで大怪我をすれば、保険も適用されず、それで仕事を長期休んで収入もなく、治療費も掛かる。(ご自身でレジャー保険等に入っていても、飲酒における事故は殆ど免責です)
そこを分かっている方がどこまで居るのか?

出船前に船での飲酒で万一事故にあっても、保険も適用されない。と言う事を知らない方も多いのではないか?

万一、何かあっても保障も無いし、判断能力も鈍る。やっぱり呑むはやめよう。家族にも迷惑がかかる。と、船での飲酒を思い留まるアングラーが1人でも増えて欲しい。また、そんな事を考えずに飲酒するアングラーの為にも、ちゃんと出船前にその事を伝えて欲しい。
知ってたら呑まないアングラーも居るのではないか?

と言うのが、今回のご家族様の強い思いです。

今回の件で他の船長様にも数人お聴きしましたが、やはり同じ様に飲酒では保険は出ない。と仰る方が殆どです。

皆、事故が無い様に舵を握っていますが、実際船舶事故は0ではありません。


今回、この様なご家族様の希望もあり、飲酒についてもお客様にきちんと説明し、遵守事項にも追加させて頂い、船内に掲示するだけでなく、出船前に必ず目を通して頂いています。


今回の事で私自身、その場面が何度も思い出され、脳裏に焼きつき、表現出来ない程の気分でいた事は確かです。
そんな時怪我を治して、必ずまた乗りに行く!と仰って下さってるお客様。そして、それを見守って頂いてる奥様、ご両親に本当にとても救われました。

お客様も船釣りに行けるまでに回復され、本当に良かったです。

事故のあと、何度か海上保安庁からの調査も終え先日、避けれない青波によるもので当船の過失(違反)は無いと言う結果にいたりました。

いくら過失が無くとも、怪我をされたお客様が居られる事は事実で二度と同じ事が起こらない様に
出来る限りの対策は講じています。


最後に、当日他の港に入港するにあたり色々と手配をして下さいました漁業関係者の方々。

色々と支えて下さいました皆様に心から御礼申し上げます。