最近、急激に仕事の能力が低下してきた男性社員がいた。
仕事をさせても、こちらの希望の半分できればいい方だ。
以前は悪くなかったのに、いったい何が起きたのかふしぎに思っていた。
この男が突然、給料を上げてくれと言い出した。
それも尋常ではない額だ。
断ると、そばを離れようとしない。
持ち場に戻らないと、仕事をしないわけだから解雇することもできるぞ、と脅すとしぶしぶ戻っていく。しかし、また来る。
仕事をしないので、同僚との関係も最悪となっているようだ。
またそばにきて給料アップを要求する。
それはできない、と繰り返していると突然彼が叫んだ。
「なぜ、僕みたいなのを雇っている!なぜ『お願いだから辞めてくれ』と言わないのだ!」
この男の目的が、ここではっきりした。
中国では、「お願いだから会社を辞めて出て行って下さい」と勤務先企業に言わせようと努力する社員がたまに登場することに注意が必要だ。
中国の労働法では、自ら会社を退職した従業員に対して企業は補償金を出さなくてもいい。しかし、会社の都合で従業員を辞めさせる場合には、勤務年数1年につき1ヶ月分の給料に相当する補償金を支給しなければならない。
今回のこの男のケースでは、
①うちより給料のいい勤務先が見つかった
②しかし、自分で辞めるというと補償金がもらえない
③だから何とかして会社に自分を追い出させようと目論んだ
ということだ。
彼もあまり過激なことはできない。
「解雇」になったら元も子もないからだ。あくまで「自分には問題はないが」「会社の都合で」「辞めさせられる」形に持っていく必要がある。
それがわかった以上、当然だが給料を上げる必要もないし、辞めて下さいとお願いする必要もない。
のらりくらりと対応しているうちに、新しい勤務先の出勤予定日が迫ってきたのだろう、悔しそうに退職届けを提出してきた。
もちろんこんな奴ばかりではない。
しかし、急激に業績が低下している部署などで、特に他に原因が考えられない場合は、悪企みを持つ人間が紛れ込んでいる可能性を考える必要があることは確かだ。
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