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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2014/05/06
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From 藤井聡@京都大学大学院教授
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●韓国大崩壊 ただ1つの理由
https://www.youtube.com/watch?v=ZK5RY5rIGs8
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この度、政府の財務省の諮問機関である財政制度等審議会にて、「2060年度の国の借金は、GDP(国内総生産)のおよそ4倍の、およそ8,150兆円にのぼる」という試算結果が公表されました。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20140428-00000565-fnn-bus_all
この「8000兆円を上回る借金」という数字、とりわけ、
「GDPの4倍の借金!」
という数字を見た(日本の舵取りをされている)多くの政治家は、「財政を引き締めなきゃならんなぁ。。。。」と感じたのでは無かろうかと想像します。
。。。。
ところで、(恥ずかしながらw)当方の学位論文は、行動経済学的手法、計量経済学的手法を使って、30年後、40年後の都市経済と交通状態の動向を予測し、合理的な公共政策を策定する。。。。というものでした。
ですから、「2060年には、8000兆円を上回る借金だ!」なんて数値計算結果を見ると、昔取った杵柄で、ついついワクワクして、「ほんとかよ.....チェックしちゃうぞこのヤロー」なんて思ってしまうクセが付いてしまっておりますw
。。。ので、今回はこの問題について(少し長いメルマガとなりますがw)、お話いたしたいと思います。
まず、この記事を拝見してスグに、この報道の元ネタの資料を確認いたしました。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia260428/08.pdf
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia260428/07.pdf
が、これを見ても、詳しい事が書いてありません。どうやら、詳しい計算については、
『上田・米田・太田(2014)「日本の財政運営において必要とされる収支調整幅の大きさー動学的な財政不均衡に関する量的分析-」を参考にして推計』
とのことでしたので、早速、ネットで確認した所.....
http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/fr117.htm#ueda
。。。。と、概要しかネット上にしか転がっていません。致し方無く、京大の図書館で取り寄せて確認いたしたところ、おおよそ、どうやって計算されているかが分かりました(注1)。
そんな経緯で確認した所、この計算はどうやら、次の4つの基本的な仮定に基づいているようでした。
■「成長率の仮定」名目で3%、実質で2%の成長率
. (↑これは新聞でも報道されています)
■「金利の仮定」政府は3.7%の金利を払い続ける
. (↑上記上田等論文では、2024年以後の37年間)
■「支出の仮定」政府の社会補償費等の支出はGDPの四分の一前後を支払い続ける
. (↑正確には23~29%程度。
. なお、その水準は、成長率やGDPの水準と無関係!)
■「税収の仮定」政府の税収は19.3%で一定
. (↑上記上田等論文では、2010年代後半からの約40年間)
さて、皆さん!
この4仮定が「真」であれば、日本の借金は雪だるま式に巨大化していく事は火を見るより明らかなのは、お分かり頂けますでしょうか。。。?
そもそも、「支出の仮定」と「税収の仮定」から、政府はGDPの4~10%ずつ赤字となります。しかも、「年率3.7%」っていう今から見ればとてつもなく高い金利での「利息」を、政府は毎年支払い続けなければならなくなりますから、そりゃぁ、8千兆円くらいにはスグなるのです。
実際、当方で簡単なシミュレーションを行うと、当方のPC上でも(簡便計算で)その程度になることは、スグに再現できました(注2)。
。。。。が!
問題は、この4つの「成長率」「金利」「支出」「税収」の4つの仮定が、真っ当なものかそうでないか、という点。
ついてはこれらの4仮定について、考えてきましょう。
まず「金利の仮定」。
仮定されてる「3.7%」は、デフレ&金融緩和中の現時点では、ほとんど考えられない高水準です。なんつったって今は「0.7%」ですし、日本がデフレに突入した98年以降の平均でも「1.3%」にしか過ぎません。
ですがもちろん、インフレになって、金利があがることはあります。実際、80年代は金利は4%以上でありました。ただし(!)、その頃の成長率は名目で4~8%という高い水準だったのです。
ということは。。。。
「将来インフレになると想定するなら、名目3%という成長率率は低すぎる設定だ」
だと考えても不自然ではないように思います。逆に言うなら、
「将来デフレ基調が続くと想定するなら、3.7%という金利は高すぎる設定だ」
と考えても不自然ではないように思います。
ですから、仮に「金利が3.7%だという仮定を受け入れる」とするなら。。。。ある程度経済がインフレ基調だということですから、成長率(名目)は3%どころでなくて、もう少し高く設定することが適当ではないかと、思います。
で、仮に成長率が5%(後は、審議会資料の設定値のまま)と仮定すると、2060年の累積債務は
「GDPの約2倍」
という水準になります。さらに6%だとすると、累積債務は
「GDPの1.5倍以下」
にしかなりません。
逆に、「成長率が名目3%」という仮定を受け入れるとすれば。。。。
経済はデフレではないでしょうが、極めてマイルドなインフレ、ということになります。
日本でそんなマイルドなインフレが続いた期間というのは、ここ最近見当たらないのですが、金利と名目成長率との間の統計的関係を分析すると、大雑把に言って、80年代以降のデータに基づくと「金利(長期国債)=2.00+0.15×名目成長率(%)」という関係が見られますので(注3)、これで考えると、名目成長率3%だとすると、平均的には2.45%程度が適当、ということになります。
この前提で計算すると、2060年の累積債務は。。。
「GDPの約2.6倍」
となります。
なお、今回使ったデータには、金利が随分高かった80年代のバブル景気の頃のデータが含まれてる事を踏まえると、この2.45%という金利水準でもまだ過大であるかも知れません(しかも、積極的な金融政策をさらに継続している。。。。と考えるなら、金利が3.75%程度で高止まり、ということも考えにくいかもしれません)。
ですから、金利が仮に2%(後は、政府の公表値の設定値のまま)だと仮定すると、2060年の累積債務は
「GDPの約2.2倍」
1.5%だと仮定すると、
「GDPの約1.9倍」
という、これもまた、審議会資料の「4倍!」という推計値よりは随分マイルドな結果になります。
次に、「支出」と「税収」の仮定の妥当性について考えましょう。
この両者の差が「プライマリーバランス」(PB)と呼ばれるものとなりますが、「インフレ基調」になれば、税収は上がって支出は減って、最終的に「PBは改善」します(例えば80年代中盤~90年代前半まで、PBはプラスでした!)。
逆にデフレ基調になれば税収は減って支出は増え、最終的に「PBは悪化」します
さて、このPBの設定値は、上記の「上田・米田・太田(2014)論文」で定められているのですが、この論文では、基本的に「デフレ基調」に近い将来予想をたてた上で、求められています(名目成長率は0~1%程度、実質成長率はマイナスも想定)。
その結果、2060年にかけてのPBは、「-5%から-11%」へと、超低空飛行で推移していくと計算されています。
で、今回の審議会資料では、この「デフレ基調」で求められた超ワルイPB値を「名目3%成長」というマイルド・インフレ基調の将来予想図に当てはめて、計算されているようなのです(注4)。
繰り返しますが、PBは、インフレの時は「改善」し、デフレ時は「悪化」します。
なのに!デフレ基調を前提とする「上田・米田・太田(2014)論文」で求めた、ワルイPB水準を、名目3%成長というインフレ基調の未来図に、(無理矢理?)当てはめた上で、計算されている、ということなのです。
ココが、ミソ(笑)。
すなわち、上述の「高すぎる金利」あるは「低すぎる成長率」に加えて、この「悪すぎるPB」というのも、今回の審議会試算の大きな特徴なのではないかと.....感じた次第です(笑)。
。。。。ということで、PBが、公表値よりも「対GDP比で1%だけマシ」であると考えると、2060年の累積債務は
「GDPの約3.6倍」
「2%マシ」だと仮定すると、
「GDPの約3倍」
という、公表値よりもやはり、マイルドな水準となります。
。。。。
さて!
以上の4つの仮定を、当方がより適切なものではないか?という水準に全て同時に変えればどうなるかというと。。。
2060年度の累積債務は、
GDPの0.9倍(金利3.7%、名目成長率5%、PBが2%マシ、という上位シナリオ)…
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