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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2014/03/18
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From 藤井聡@京都大学大学院教授
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●三橋貴明の無料Video「韓国経済の悲惨な現状」
http://www.youtube.com/watch?v=cJ5ZkH04hwE
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先週は,原田氏,岩田氏,浜田氏が「活字」として残している言説を,より豊富(長期的等)なデータで検証したところ,彼等の主張が「否定」される結果となった,という指摘をいたしました.その後,いくつかの感想やコメント,つぶやきなどがあったようですが,当方が指摘した疑念を晴らす明快な反論,説明は,今のところ,拝見してございません.
万一そうしたものがございましたら,(ウェブのコメント欄等通しまして)是非,お知らせいただけますと幸いです.
丁度今,STAP細胞論文の主張がホントかどうかが新聞テレビを賑わしておりますが(←無論,他機関でも再現されればホントと認定される見通しです),本件についての当方からの指摘も,その基本的な問題構造は同じではないかと感じております.すなわち,今,問われているのは,知性や知識量以前に,「研究者/学者の誠実性」なのではないか,という次第であります.
....
さて,それはさておき,以前,飯田氏との討論の中で,飯田氏が言及しておられましたが,いわゆる,「建設業の供給力問題」が,様々な論者,メディアで指摘されています.
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/02/25/fujii-77/(飯田氏)
http://news.goo.ne.jp/article/php/business/communications/php-20140218-03.html?pageIndex=2(原田氏)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014021802000134.html(東京新聞))
http://mainichi.jp/select/news/20140221k0000m020141000c.html(毎日新聞) 等
そして国会でも,そうした議論を受けて,同様の議論が展開されているようです.例えば,福田昭夫衆議院議員は,今年の2月18日の衆議院本会議で,次の様に国交大臣に質問しておられます.
「国土強靱化、消費税の引き上げの際の景気対策の名のもとに、公共事業予算を急激に増加させたことで、資材高騰や人手不足などによる、公共事業の中止がふえています。国土強靱化も景気対策も看板倒れとなるおそれが強く、建設業界の実情を無視した公共事業偏重の予算編成に、無理があるのではないでしょうか。」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/186/0001/main.html
ついては今週は,この「建設業の供給力問題」について,改めてお話したいと思います.
なお,このひっじょーに(!)複雑な問題で,数行のコメントや数百字程度のメッセージでは,その全容を浮かび上がらせることはほとんど不可能です
ついては通常のメルマガよりは少々ややこしい内容となりますが(というか,当方のメルマガは最近その傾向が強いですね 笑),重要な問題ですので,少々しっかり目に記述したいと思います.是非,最後までお付き合い下さい.
【1】実際の契約率から見れば,「公共事業の制約問題」は生じていない!
上記の様に,福田氏は「資材高騰や人手不足などによる、公共事業の中止がふえています」とおっしゃっています.
たしかに,公共事業を矢って欲しい,という政府の呼びかけ(いわゆる入札)に「誰も手を挙げない」等のケースは増えています(これが,不調・不落,というものです).
しかし,一端,不調・不落となった案件は,もう一度,政府は,呼びかけの条件を見直して,再び「入札」することが一般的です.
で,何度入札しても,不調不落が続けば,最後は「公共事業が中止」されることになりますが,二度目,三度目で誰かがその仕事を請け負うことになれば(=「契約が成立」すれば),「中止」されることはありません.
では,そんな「中止」が多いのかどいうと....決してそんな事は無いようなのです!
先の福田氏の質問に対して,太田国土交通大臣は,次の様に回答しておられます.
「実際に、国土交通省の公共事業予算につきましては、十一月末時点で約七〇%が契約済みであり、昨年度同時期を上回る水準で予算の執行がされているところであります。」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/186/0001/main.html
昨年度11月と言えば,「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げた民主党政権下で,予算額が,今よりも1.5兆円以上も少なかった時代です.
そんな公共事業が少なかった時代よりも,今年度の方が,実際に,「契約が成立」しているのです!
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=490719411029007&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&stream_ref=10
これは,福田氏を含めた多くの方々が,「事実誤認」をしておられることを意味しています.
この「事実誤認」は,「不調・不落」というものと「最終的な契約成立/不成立」とは,少々異なっていることからくる誤解だと言えるでしょう.
(なお,不調・不落が起きているのは,「大型建築工事や条件の厳しい工事」(太田大臣談)などが中心のようです(http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/186/0001/main.html).
ちなみに,大型「建築」工事は,実際に受注して工事をしている間に,追加作業が増えていく危険性が高い案件だそうです.つまり,不調・不落は,「受注すると,結局,損するんじゃないか?」というリスクが高い案件に集中しているようです.
なお,今年に限って,そんな不調不落が多いのは,去年よりも1.5兆円分発注が多いので,建設業者ができるだけ利益率の高い案件を受注したいと考え,業者が「選り好み」をしているからのようです.
ですが,不調不落に終わった場合,政府は,より業者にとってリスクが少ない方向に条件を見直して,再入札するようです.で,結果,それを2,3回繰り返せば,誰かが応札し(手を挙げ),最終的に契約が成立するケースが多いようです.その結果,昨年よりも,契約率が上回る程の円滑な発注が可能となっているようです).
【2】建設業者は,相当無理をしつつ「人手不足」をギリギリ,クリアしている
とは言え,建設業者の人手不足は明確に存在しており,「人集め」には,相当苦労をしておられるのは,紛う事なき事実のようです.
人手不足なのに,政府案件の「契約率」は高水準を保っているというのは,どういうことかというと....建設業者が,相当「無理」をして人をどうにかこうにか集めて,ナントカ工事を進めている,ということが実態のようです.
同様に,資材調達,機材調達についても,建設業者が「無理」をして集めているようです.
では,建設業者が,どの様に「無理」をしているのかというと(筆者がゼネコンさん,地方ゼネコンさん,下請け業者さん等,様々な業者さんのお話を伺ったところ)要するに,
「ナントカ人や資材を集めるために,本来なら自分の儲けとしてもらえる分を削って,労働者に高い賃金を払ったり,高い金額を資材に払ったりして,凌いでいる」
ということが平均的な実情のようです.つまり,建設業者が必死にムリをしながら対応をして,供給力不足はぎりぎりのところで回避されている,という次第です.
ただし,その「ムリの仕方」には,いくつかのパターンがある様です.
筆者が行ったヒアリング調査によりますと,少なくとも,元請けが「大手ゼネコン」の場合と「地方建設業」の場合とで,大きく事情が異なるようですし,職種によっても異なります.
以下,それぞれ説明したいと思いますが,それに先だって,基礎知識として,建設業の人材には,少なくとも以下の三種類の人材がおられることをご理解いただきたいと思います.
・「事務員」(オフィスでペーパーワークする方)
・「技術者」(正式には施工管理技術者.現場監督)
・「職人さん」(左官屋さん,鉄筋工さん等含む,現場で働く労働者)
これらの内,「事務員」さんは,必ずしも不足しているわけではなく,問題となっているのは,「技術者」と「職人さん」の両者であります.
(A)「職人不足」をクリアするための業者対応(地方建設業の場合)
まずは「職人さんの不足問題」について,かつ,地方建設業が受注したケースについて考えてみましょう.このケースでは,この「職人不足問題」をクリアするために,地方建設業者さんが,致し方無く「よい条件(高い賃金)」を提示して,どうにか職人さんをかき集めておられるのが一般的なようです.
しかし,政府が建設業者に支払う「人件費」は,そうした事情を反映したものではなく,あくまでも「定額」となっています.
したがって,「ナントカ仕事を終わらせなきゃ」と考る建設業者は,「自分の利益」を削って,無理をして人集めをしているという次第です.
同様に,高騰した資材についても,半ば「自腹を切る」ようにして,高いオカネを支払って集めているようです.
なお,こうした状況があるが故に,「良い条件でなければ受注しない業者」が増え,条件の悪い案件を中心に,不調・不落が増えているようです.
したがって,的確に発注ができるようにするためには,「設計労働単価」(政府が支払う人件費を計算する際の単価)をあげることが必要となります.また,それ以前に,実際に使った「のべ労働者数」を,きちんと勘案して発注するこ…
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