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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年 3月18日(火曜日)
通巻第4186号 <前日発行>
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「島嶼問題を考える」(尖閣、南沙・西沙諸島)シンポ、盛況裡に開催
スプラトリー諸島を中国はいかように強奪したか、これは明日の「尖閣」だ
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3月14日、東京市ヶ谷の「アルカディア市ヶ谷 」において、「島嶼問題を考える」(尖閣、南沙・西沙諸島)と題しての緊急シンポジウムが「日本・ベトナム島嶼会議」(議長 藤井厳喜)主催によって開催され、およそ170名が参加した。
熱心な討論がつづけられ、参加者も克明にメモをとるほど、会場は満員となり、立ち見がでる盛況ぶり、関心の高さをうかがわせた。
このイベントは宮崎正弘氏が司会をつとめ、冒頭の挨拶には、ベトナム視察から帰国したばかりの参議院議員浜田和幸氏から、いかに戦略的にベトナムが重要であり、またベトナム人が日本に抱く親近感などを紹介した。ベトナム経済の発展ぶりとその民族性からも、今後の日本ベトナム関係の緊密さが必要克つ重要であるかを訴えられた。
つづけて「中国軍の南沙侵攻の実態」を記録したドキュメント・フィルムが上映され、具体的な中国艦船の砲撃など衝撃の映像に参加者は慄然となった。
「これが明日の尖閣としないためにも」と宮崎正弘氏の司会により、会は緊急のシンポジウムに移って激論が展開された。
パネリストは有本香さん(ジャーナリスト)、佐々木良昭氏(中東研究者)、高山正之氏(コラムニスト)、藤井厳喜氏(政治学者)、シンポジウムの司会は水島総氏(桜チャンネル代表)だった。
ベトナムが中国に南沙諸島を侵攻されたのは26年前の3月14日。日本は尖閣、竹島、北方領土のことは知っていても、ベトナムの苦しみを知らない。
砲撃と機関銃によりベトナム人64名が犠牲となったが、ベトナム政府は中国に遠慮して、中越戦争を「北の国と戦った」とだけ教え、学生が抗議デモを中国大使館にかけると規制する。
しかしネットの発達によってベトナムの若者らの反中国意識は高まってきた。
このイベントでは、「南沙・西沙諸島問題を尖閣と絡めて考えてみよう」として大きな地図も演壇中央に添えられた。
シンポジウムは佐々木良昭氏が口火をきった。
「これは新しいグレートゲーム。ウクライナ問題はクリミア分離独立に発展しているが、中東でも新しい動きがみられ、トルコのクルド自治区分割の動き、イラク、サウジアラビアの三分割などが観られるように、世界的規模でみれば南沙、西砂問題は共通の現象である」。
▲日本が放棄させられたが、帰属は決まっていない
藤井厳喜氏は「日本時代、『新南群島』として台湾高雄市の管轄下に南沙、西砂があるという行政区分だった。サンフランシスコ条約で日本は領土を放棄させられたものの国際法上、帰属は決まっておらず、日本がこの問題に絡むと対中包囲網を作れる。ベトナムは良きパートナーとなれる」と踏み込んだ発言があった。
さらに藤井氏は続けた。
「ベトナム人は羞恥心がある。同時に強靱で、げんにフランスも米国も叩き出した。いま海洋地政学で世界をみれば核戦略上からも中国は台湾をとらないと安心できない。尖閣諸島をおさえると中国軍は台湾へリーチをかけられる。ベトナムと日本はしたがって領土防衛という文脈から運命共同体であり、海洋地政学的にリンクしている」
有本香氏は「あの映像に衝撃を受けた。日本は島国といわれて教育され、島国根性とか批判されるが、さて日本には6852個の島々があることを教育されていない。有人の島はこのうちの445,のこりが無人島で、海の面積から比較すれば、日本は世界第六位の海洋国家だ。中国は経済大国となってからアジア太平洋を目指したのではなく、すでに毛沢東の時代から海へ出て行く企図があり、陸上での脅威が低下したら、中国は必ず海へでる。1988年に中央アジアとの対峙を終えて陸での安定を得たと認識してから中国は海洋に進出し始めたのであり、このことを認識する必要がある」と述べた。
高山正之氏は「何回となく、ベトナムを新聞記者時代に取材した。羞恥心のある民族だが、同時にハノイにはラブホもあるように、両面性がある。ベトナムと日本との絆は深く、阿倍仲麻呂が流されて時代までさかのぼらなくとも、両国関係は深い」などとして以下のように続けた。
「日露戦争に勝利した直後に東遊運動の指導者で『ベトナムの吉田松陰』と云われるリーダが日本に来た。かれは反政府運動家だったので上海で捕まるが、これを当局に通告したのがホーチミンだった。私塾の門下生にボーグエンザップ将軍がいた。このいきさつを知っているからこそ、ホーチミンはボーグエンザップに日本人を殺すなと命じた。マウントバッテン卿の回想録には『日本人のこころとベトナム人指導者とは心が通じていた』と書いているように、心が通い合える民族がベトナム人であるという、この民族の特性を知ることは重要である」。
映画監督でもある水島総氏は司会をされながらも、「かつてベトナム少女の映画をつくった。ベトナム人とは心が通じ合えるが、同時にしたたかな民族であり、歴史的にみてもシナからの圧力に耐え、中国共産党とベトナム労働労は『兄弟』の絆がある。したがって日本は『対等なパートナー』という認識をするべきである。ベトナムは経済改革開放を中国モデルにもとめて所謂『ドイモイ政策』に転じてきたが、中国の変容をみていて、『ドイモイ』路線を変更する可能性が高い。東南アジアを米国がどう扱うかという視点も見落とせない。そしてもし日本が尖閣諸島を失ったらアジア全体が変わる。今後の趨勢を決定づけることになり、尖閣をなんとしても阻止せねばならない」と訴えた。
佐々木良昭氏に再びマイクが戻され、「過去の事例をみれば米国は『油田のおいしいところ』をとる。だからリビア分割、トルコ分割を米国がのぞむわけである」と地政学的な資源戦争の関連性、列強の思惑を説いた。
▲ランドパワーはシーパワーにはなり得ない
藤井氏の追加発言は次の通り。
「シナの侵略と戦うためにベトナムとも組むべきであり、いまのオバマ政権は何もできないように、たとえマケイン政権となっても米国は何もできないだろう。ディエンビエンフーの勝利は背後に日本兵が残留してベトナムを訓練したからだ。インドネシアでも独立戦争のため二千名の日本兵が残留し、千名が戦死している。ベトナム戦争は、日本がまけたあとも闘い、民族解放、独立という意味で結局、大東亜戦争は勝利した。ベトナムの社会主義はおおいに問題だが、カストロのキューバとて第一義的に民族解放闘争だったのであり、ベトナム人はずるくてしたたかな側面がある。
長期的にいえばランドパワーがシーパワーをめざすと、ロシア、ドイツが失敗したように中国はシー&ランドパワーにはなり得ない」
有本さんの追加発言は以下の通り。
「シナは経済的にもいよいよ雲行きが怪しい。ともかく中国はずるくて汚い手段がもっとも得意技であり、諜報、謀略で日本は劣位にあり、プロパガンダ戦争の渦中にある認識が日本人には希薄である。シナの宣伝戦争ではウィグル人が『テロリスト』というイメージ、これでウィグルへの弾圧を合法化し、一般の中国人もウィグル人への差別が強い。民族を差別し統括しているのは米国がテロ戦争で中国を利用するためにウィグルの或るセクトをテロリストに認定してしまったことである」。
佐々木良昭氏。
「とはいえウィグルの若者がシリア内戦に参加している。ウィグル過激派の一部にアルカィーダとの連携がみられ、今後、イスラムの動きには注目しなければならない」
▲中国は新彊ウイグル自治区の資源とチベットの水を手放さないだろう
水島総氏。
「中国は偽装漁民をよそおわせて尖閣上陸を着々と美準備している。米国のアジア政策の中身は空白であり、中国はウィグルの資源、チベットの水を手放すことはないが、米国は中国とG2共存を考えているようでもある」
高山正之氏。
「米国の戦略とは仮想敵を徹底的につぶすのだ。リビアに5000回の空爆を行ってカダフィをつぶし、サダム政権を倒壊させてきたように、日本を脅威と認識すればつぶしにかかる。だから中国、朝鮮をたきつけて反日を展開させているように、アジアの安定を言いつのりながら、じつはアジアの不安的化をねらっている」。
藤井厳喜氏がまとめた。
「尖閣を奪われたら、台湾へ、とアジアは『大中華経済圏』になるドミノ現象がおきる。日米が『奪回作戦』などと(とられることを前提に)軍事演習をするのはおかしい、日本はやはりまともな国ではないのではないか」。
こうして熱心な討議が続き、最後に司会の宮崎正弘氏が領土防衛、アジア諸国との連帯を強調し、アンケートへの協力を要請して盛況裡に終わった。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)西村真悟先生のブログを下記に引用します。
「西村眞悟の時事通信 ——クリミヤ情勢が繰り返しもたらすものと我が国の覚悟」(No.950 平成26年 3月17日)からです。
(引用開始)
「二十一世紀初頭の今、ウクライナそしてクリミヤで起こっていることを観ると、歴史は、直線を進んでいるのではなく螺旋状に循環しているのだと思える。百六十年前のクリミヤ戦争は、クリミヤ半島に南下するロシアとそれを阻止しようとするイギリス・フランス連合軍との大規模な戦いであった。ロシア対西欧の闘いという図式だ。そしてこの図式は、百六十年を経た現在も変わらない。
また、このクリミヤ戦争を、我が国から遙か遠い地の局地戦と思ってはならない。イギリス、フランスそしてロシアが、この戦争にかかり切っている間隙を突いて、アメリカは百以上の大砲を搭載した黒い軍艦四隻で浦賀に入ってきた。ここから幕末そして明治維新が始まる。
では、この度のウクライナ・クリミヤ情勢は、我が国及び世界に、如何なる影響をもたらすのか。それは、本日明らかになるクリミヤの住民投票の結果と、そこから動き始めるロシアとアメリカの動向、即ち、プーチンとオバマの動向によって決まってゆく。特に、オバマが何をするか、さらに、何をしないか、が我が国に大きな影響を与えることは確かである。即ち、中共は、オバマのアメリカをじっと注視していること確実である。
つまりオバマが、昨年暮れのシリヤに対するように腰が砕けて何もしないならば、中共は、南シナ海と東シナ海において、海洋覇権を拡張強化する為の軍事行動開始のチャンスがきたと判断するだろう。百六十年前に、アメリカが我が国に黒船を出してきたように、今度は、中国共産党が我が国に攻勢をかけてくる可能性が広がる。
いずれにしても、本年の二月から三月にかけての国会で行われていたような憲法や防衛に関する「のんびりした」、「ぼけた」、「慎重な」議論に貴重な時間を浪費していた架空空間とは、全く異なる厳しい現実に我が国は囲まれているのだ。
よって、これからの状況次第では、国民は、本年中に、我が国家の自衛権に制限を加えることが良心的で平和を維持する方策であると吹聴してきた与野党内の議員達こそが、
「中共の暴力への協力者」であり、「戦争を生み出す要因」であったと、危機の中で得心することになるかも知れない。
かつて阪神淡路大震災に遭遇して、社会党の村山富市的反自衛隊思想が、かえって国民の救助を遅らせ犠牲者を増やしてしまったことを知ったようにだ。
三年前の東日本大震災の時も昨年の伊豆大島の豪雨と土砂崩れの時も、突然襲ってくる危機に対して、現在ある装備と能力を動員して立ち向かうしかなかった。従って、本年においても、何が起ころうとも、現在ある装備と能力を総動員して立ち向かう覚悟を確立し、同時に制空権と制海権確保の為の、さらなる人員と装備の増強と充実に励むことが死活的に必要である。
これが中共の軍事行動を抑止する唯一の方策である!
ロシアのプーチンは、昨年来、アメリカのオバマの態度を観察して本年の行動を決定してきている。特に、プーチンは、オバマがシリヤで腰が砕けたことを観てほくそ笑んだであろう。同様に今、中共の習近平は、オバマと共に我が国の安倍総理と日本国民の動向を観察している。そして、アメリカの国防予算削減に対して、二桁の国防費増額を見せ付けている。
第二次世界大戦を阻止するために、かつてチャーチルは言った(回顧録より)。
「我々は、ヒットラーの野心に、必要な抑制を加えることができるだけの空軍、あるいは、ドイツ軍部の指導者達に、ヒットラーの暴力行為を阻止させることが出来るだけの空軍を造ることが必要である。」
しかし、「イギリスの労働党と自由党の平和主義は、相変わらず平和の名において、イギリスの軍縮を推し進めた。」
この軍縮によって、「起こらなくてもよかった戦争(第二次世界大戦)が起こった。」
このチャーチルが残した歴史の教訓を、 我が国は、クリミヤが激動する本年の今こそ噛みしめて、我が国とアジアの平和を確保するために、中国共産党の暴力を抑止するだけの軍備増強の実践に移らねばならない」
(引用止め)。
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