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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2014/01/31
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From 古谷経衡(評論家/著述家 月刊三橋ナビゲーター)
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最近、“脱成長”というキーワードを掲げ、東京都知事選を戦っている候補がいるという。あえて名指しはしませんが、その候補は東京都庁前の第一声の演説で次のようなことを語っているので、そのまま引用したいと思います。
例えば、日本の人口は今、1億3000万人ですが、あと50年すると9000万人になる。100年たったら4000万人になる。4000万人と言えば江戸時代の人口です。江戸時代の人口とほぼ近い。そういうことになると、これは今までのような大量生産・大量消費、そういう経済成長至上主義というもので、果たして日本という国はやっていけるのかどうか。私は難しいと思います。(2014年東京都知事選挙 細川護煕候補 第一声 <演説全文>THE PAGE 2014.1.23)
これを聞いたときに、あ、また来た。と思いました。また来たというのはどういう意味かというと、「資本主義的な経済成長ではなく、たとえ成長しなくとも心の豊かな国や社会を目指して行こう」という、この手の夢想主義的なことを言う人のイメージの先にあるのが、必ず江戸時代の日本である、という点で、「あ、また来た(笑)」と思った次第です。
必ず絶対確実に、この国の社民的な傾向の言説を持つ人(経済よりも豊かな心(笑)とか)は、日本の未来像を人口が3300万人くらいでそこそこの生活水準で、いわゆる「循環型社会」だったとされる江戸時代をイメージしています。
「江戸時代は人間のし尿も無駄なく肥料に使われ、資本主義や大量消費とは程遠い、ひとびとが何処かのんびりと暮らしていて、時価やお金に追われる現代人よりも心が豊かだった社会」という文脈の中で、「低成長時代」とか「人口減少時代」とか「エコロジー・リサイクル社会」の模範として、必ず江戸時代が引き合いに出されます。
上記の候補の中にある江戸時代のイメージとは、前述したとおり「資本主義とはかけ離れた、脱成長的な心の豊かな社会」だったと思い込んでいるのでしょう。そのようなイメージの刷り込みから、この候補は「脱成長」の具体的な目標を江戸時代に求めたのです。
本コラムの過去号の中でも、私は繰り返し繰り返し強調しておりますが、江戸時代はこういった「脱成長」を良とする人々が思い描く、「牧歌的で、資本主義的な競争のない世界」とは全く逆の時代でした。江戸時代は大開発の時代で、特に江戸時代が始まる17世紀初頭から約100年弱で、全国各地で大規模な新田開発と治水事業が行われ、日本の耕地面積は2倍以上に、人口も2倍近くに増加しました。江戸時代はそもそも、「成長と無縁な時代」なのではなく、日本史上稀にみる「高度成長の時代」であったことをまず前提にしなければなりません。
この候補が言っている江戸時代については、人口の数字の部分だけが間違っていないだけで、他すべてが間違いだらけです。「江戸時代は心の豊かなエコ社会で、資本主義とは無縁」な社会とでも思っているのでしょう。大きな違いです。
当時の大坂(大阪)は、日本中から運び込まれた物資の集積地で、世界初の商品先物取取引が始まっていました。京都・大坂は両市で100万人弱の大都市圏人口(当時のロンドンや、パリ以上)で、日本屈指の大消費地であり、この地域の「大量消費」が日本経済をけん引しました。「江戸時代は大量消費とは無縁」というのは全くのウソでたらめです。
この消費を支えたのは、網の目の物流路です。北は蝦夷(松前)、南は琉球に至る海・陸の大物流網が整えられ、幕府の各種政策によってアジアで最初の近代的資本主義が展開されたのは、何を隠そう江戸時代です。17世紀の段階から日本はすでに農業国ではなく、半工業国の色彩を強く帯びていたのです。
確かに人間のし尿が無駄なく循環してリサイクルされていたのは事実です。ただしそれは現代人の考えるエコロジーの観点から行われていたものではなく、当時の農民(兼業)やし尿業者が商売としてやっていた肥料ビジネスの一環であり、資本主義的な利潤を追求して行っていたものです。江戸時代人の心の優しさが循環型社会を作ったのではありません。
江戸時代は貨幣経済が猛烈に浸潤した時代でした。大まかにいうと東日本は金本位制、西日本は銀本位制で、それぞれが変動相場で交換比率が決定されておりました。しかし、全般的に京都・大坂の近畿地方が日本経済の中心地だったので、銀が優位的でした。その交換を扱ったのが江戸では「銀座」でありまして、いわゆる「両替商」の誕生です。当然そこから「銀行」という単語が出てきます。
「江戸時代は資本主義とは無縁な、心の優しい脱成長社会だった」みたいなイメージは、ほとんど40年前位の考え方で、現在、当然のことですが、歴史学者でこんなことを言う人は存在していません(いたとしたら学会追放か?笑)。当たり前ですが、大学の歴史学科レベルの、近世史学の基礎でも、まずこの定説の否定から始まります。
しかし教科書を含めた、いろいろな教材や映画やドラマ、漫画の中で、「江戸時代は農業社会で貧しかった」みたいなイメージが一般にて定着しているのでしょう。この候補の頭の中も、40年前のイメージでそのまま止まっているのでしょう。だから平然と「脱成長の手本に江戸時代」みたいなことをいう。馬鹿らしくて話になりません。
きたる2月16日(日曜日)14:00 ー17:00に、三橋貴明経済塾第二回のゲスト講師(私も塾生ですが)としての講演では、このあたりの話をやりたいと思い、現在準備中です。お題は『本当はすごい江戸時代-17世紀から経済大国だった徳川日本-』で考えています。教材には、『カムイ伝』という漫画を用いる予定です。この漫画は、江戸時代に関する大変に間違ったイメージを拡散した世紀の大悪書ですが(笑)、このへんをじっくりと。
江戸時代の間違った認識を覆すことは、日本という国を理解するうえで、絶対に避けて通れないものです。ぜひ、興味のある方は2月16日の講演にご参集ください。場所等の詳細は、塾の掲示などをご覧くださいませ。
※本コラムは古谷経衡個人による、市井人が持つ江戸時代観に関する批評的文章であり、公選法が規定する選挙運動等では当然ありません。
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