【アメリカ通信】マッカーサーの作戦における「累積戦略と順次戦略」 | My Flame

My Flame

ブログの説明を入力します。



----- Original Message -----



┠──────────────────────────────────
┃日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信 ┃ http://www.realist.jp
┠──────────────────────────────────
├ 2014年1月28日 マッカーサーの作戦における「累積戦略と順次戦略」
┠──────────────────────────────────

おくやまです。

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はいまから七年ほど前に、J.C.ワイリーという米海軍の軍人の書いた『戦略論の原点』という本を訳して出版しております。

▼戦略論の原点(普及版)
J C ワイリー (著), 奥山 真司 (翻訳)
http://goo.gl/CZ1mNl

この本は私の指導教官であったコリン・グレイという戦略家が、自分の生徒たちに熱心に読むように勧めていたこともあって、たしかに自分で訳してみても非常に勉強になった本でした。

私自身も今でもたまに読み返すことがあるのですが、本当に短い本にもかかわらず、一切無駄なことの書いていない、エッセンスに満ち溢れたスルメのような本だと実感しております。

その内容を簡単にいえば
「戦略には分野にかぎらずに共通項がある」というものなのですが、原著者のワイリーはその中で、あらゆる戦略というものを、その進み方の性格から大きく二つにわける、ということを提案しています。

それが「累積戦略」(cumulative strategy)と「順次戦略」(sequential strategy)というものです。

これについては私はすでに色々なところ(たとえばCD)
http://www.realist.jp/cumseq.html
などで解説しているので詳しい説明はここではしませんが、簡単にいえば、累積戦略は
「コツコツと常にやりつづけて爆発的な効果を狙うもの」。

そしてその反対の順次戦略は
「明確なビジョンをもって段階を踏みながら進めていくプロセス」
を持ったものです。

ちなみにワイリー自身は、この二つの戦略について「どちらが大切だ」ということは決していっておらず、むしろ二つを同時に進めることが肝要だということ、とくに自身が参加した第二次大戦の太平洋戦線におけるアメリカの対日戦略を引き合いに出しながら説明しております。

私はそもそもこの二つの戦略のうち、「累積戦略」の重要性を日本人は忘れつつあるという問題意識を持っておりまして、前述のCDを作ったときの意識もまさにそこにありました。

ところが、私が最近またこの本を読み返して噛み締めたのは、むしろワイリーの「二つの戦略を同時に行うことが肝要だ」という部分。

なぜこういうことを感じたのかというと、実は私が教えている大学の生徒が卒論で、朝鮮戦争開始当時のアメリカ上層部の動きについて分析しているのですが、そういえばマッカーサーが行った仁川上陸作戦というのは、この二つの戦略(というかこの場合は作戦ですが)を同時に働かせたから成功したということに、私自身が気付いたからです。

-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

具体的にいえば、マッカーサーは1950年の9月15日にいわゆる「左フック」と呼ばれる「機動」的な動きで、朝鮮半島中央部へ西側の黄海から一気に米軍(国連軍)を上陸させて、釜山付近まで押し込んでいた北朝鮮軍を南北に分断。
壊滅状態に追い込みました。

この時に重要なのは、北朝鮮側が朝鮮半島南端の釜山で激しい「消耗戦」を行っていたという事実です。

つまり、マッカーサーが鮮やかな上陸作戦(機動)を成功させた裏には、別の場所で膠着した戦い(消耗戦)が行われていた、という対比(コントラスト)があったということです。

戦争にはこのような例がいくつかありまして、たとえばナチス・ドイツが1940年の第二次大戦の時に緒戦でフランスを壊滅させた際には、ベルギー辺りでのろのろと侵攻していたボック将軍率いるB軍集団という存在に対して、グデーリアン将軍の装甲師団が、セダンでミューズ川にものすごい勢いで迫ったという対比があります。

また91年の湾岸戦争の「砂漠の嵐」作戦では、米軍はイラク軍を地上軍によって大きく包囲するために、その5週間ほど前から空爆を集中的に行っており、しっかりと前準備をしております。

-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

さて、今回、これらの事例を引きつつ、私が何を言いたかったのか?と言いますと・・・

ある鮮やかな戦略の背景には、それを鮮やかに見せたり引き立たせたりする、もう一つの別の要素や戦略が必ず存在している。

ということです。

これはボクシングでいえば、派手なフックやアッパーを活かすには、地道なボディーやジャブが必要ということです。

そして成功した戦略というのは、この二つを意識的・無意識的に併用していた、つまり、「戦略では二つのことを同時に行う必要がある」ということですね。

例えば、最近の中国などは、軍拡を着々と進めながら、同時に「中国は正義である、日本は悪である」というプロパガンダを拡散させておりまして、「累積」と「順次」だけに限らず、いくつかのことを並行してやっているわけです。

優れた戦略や成功した戦略には、その背後に別の対照的な要素がある。

我々はこのことをしっかり自覚して、日々の自らの行動にも、積極的に(もちろん、試行錯誤を含みつつですが)取り入れる必要がありますね。

( おくやま )

□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

編集後記

管理人です。

今回おくやまさんがお話されている「累積戦略と順次戦略」ですが、皆様ご存知の通り

▼「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!
「Cumulative & Sequential Strategy」
http://www.realist.jp/cumseq.html

という形で徹底解説して頂いております。

このCD、発売以来だいぶ時間が経つのですが、実は、ジワジワとお求め頂いておりまして皆様、さすがにツボがよく分かっていらっしゃるな・・・
と、管理人は密かに感服しております。

この「累積/順次」という概念のお話は、おくやまさんの「戦略の階層」のお話をご理解頂けた方には、( http://www.realist.jp/strata.html )
その次のステップとして、管理人的にかなりオススメです。

これはいつもおくやまさんが仰っていることなのですが、

「要は、この二つの戦略を両回しにせよ!」

一言で言ってしまうと、身も蓋もない、その通りのことなのですが(笑)
そこはそれだけではない、ということで、まだお聴きになっておられない方は、ぜひ、ご自身でお確かめ頂きたいな、と。

皆様それぞれに、ご自身は「累積派」なのか?それとも、「順次派」なのか?
ということが分かると思います。

ちなみに、管理人は「累積派」です。
皆様は如何でしょうか?

▼「累積戦略と順次戦略」を徹底解説!
「Cumulative & Sequential Strategy」
http://www.realist.jp/cumseq.html

( 管理人 )

□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

戦後、封印された学問となっていた地政学ですが、日本に軍事学部がない以上、防衛大にでも行かないとなかなか学ぶ事ができません。
といいますか、防衛大でもそれほど専門的に教える講座はないと聞いています。

そこで、日本人がより戦略的思考を持つためにと2013年4月よりCD教材で10回に渡る地政学講座を開設しました。

「日本で地政学を本格的に学ぶ教材はこれしかない」

というものです。

今回、「地政学講座の第10回、未来の地政学だけ」を特別に販売することに決めました。

なぜ、第10回だけか?
それは、第10回のテーマが「未来の地政学」だからです。

▼「奥山真司の地政学講座」:未来の地政学
http://www.realist.jp/geopolitics10.html

□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

※このメルマガは転送自由です。(ただし出典を残して下さい)

▼『管理人Twitter』
https://twitter.com/media_otb

▼「THE STANDARD JOURNAL ~『アメリカ通信』」
http://ch.nicovideo.jp/strategy

▼FacebookPage:「THE STANDARD JOURNAL」
 https://www.facebook.com/realist.jp

★奥山真司への講演依頼・執筆依頼は、【webmaster@realist.jp】までお問合せ下さい。

┠──────────────────────────────────
┃日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信 ┃ http://www.realist.jp
◎日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://bn.mobile.mag2.com/bodyView.do?magId=0000110606