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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』
2014/01/06
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From 三橋貴明
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【今週のNewsピックアップ】
●「壁の中」と「壁の外」 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11739967198.html
●「壁の中」と「壁の外」 後編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11740823693.html
大晦日から元旦にかけ、「壁の中」と「壁の外」というタイトルでエントリーを書いたのですが、「前編」における「壁」とは、文字通り物理的な壁、すなわちアメリカなどで流行しているゲーティッド・コミュニティを囲む「壁」を意味しています。それに対し、「後編」の「壁」は、藤井聡先生が年末の討論で仰っていた「inability to think」(思考停止)の「壁」になります。
いきなり話が変わりますが、日本をほとんど唯一の例外として、古代から近世にかけたユーラシア大陸の都市は「壁」に囲まれていました。無論、日本もお城は石垣などの壁で囲まれていますが、「城下町」という言葉が示す通り、都市自体は壁で囲まれているわけではありませんでした。
欧州にせよ、中国にせよ、中東にせよ、インドにせよ、ユーラシアの文化は「壁」とは切っても切り離せない関係にあります。
塩野七海の大著「十字軍の物語」は、「城壁に囲まれた都市」であるエルサレムを奪い合う、キリスト教徒とイスラム教徒の戦いでした。また、壁は都市を守るのみならず、国家防衛にも活用されます。秦の始皇帝は万里の長城を築き、ローマ帝国のハドリアヌス帝やアントニヌス帝は、やはり長城によりブリテン島(現イギリス)を南北に分断しました。
パリはフィリップ尊厳王により城壁に囲まれ、その後、何度も何度も繰り返し、外側に城壁が拡張されていきます。要するに、都市住民が増え、壁の内部が手狭になったという話です。そうであるならば壁を無視して都市を築けばよさそうなものと、日本人は思うわけですが、彼らは壁の外にさらに壁を築くという選択をしました。
オスマン帝国が欧州に対し攻勢に出ていた時期、ハプスブルク側はウィーンを二度も包囲されることになるわけですが、城壁を巡る攻城戦に勝利し、何とか耐え抜きました。後金の順治帝の軍隊は、呉三桂の要請に応じ、山海関の城壁を抜け、北京に殺到。大清帝国が成立しました。北京にせよ、長安(現、西安)にせよ、洛陽にせよ、中国の大都市は分厚い城壁で囲まれており、「壁の中」と「壁の外」は全く違う世界でした。これは、欧州や中東もインドも同じです。
ユーラシアの歴史は「壁の構築」と「壁の突破」の繰り返しなのですが、要するにそういうことです。そういうこととは、大陸の歴史は、
「いつ何時、地平線の彼方(あるいは水平線の彼方)から異民族(あるいは同胞)の軍隊が押し寄せてくるか分からない」
という環境で積み重ねられてきたわけで、都市の住民と都市外の住民とは明確に「区別」されていたわけでございます。当たり前ですが、壁の中と外を比べると、壁の中の方が「安全」です。都市部に暮らす住民は、壁の外と比べて「より安全」という特権を持ち続けていたことになります。
それに対し、我が国は元寇を除き、終ぞ「異民族の侵略」を受けたためしがありません。結果的に、都市を分厚い城壁で囲む文化は発展しませんでした。支那大陸の影響を受けた奈良・平安時代、都は一応、囲郭都市の体裁を採っていましたが、平城京も平安京も「分厚い城壁」で囲まれていたわけではありません。京都は何度も戦場になりましたが、「攻城戦」が発生したことは一度もありません。無論、日本にも城や寺を守るための城壁文化は存在し、攻城戦もありましたが、「都市に対する攻城戦」は無かったわけです。
というわけで、歴史を振り返ったとき、「壁の中の都市で安全を守らざるを得なかった人々」と「都市に壁が不要だった人々」とでは、これはもう価値観が異なって当たり前という話になります。壁で都市を囲むとは、常に「外敵」を意識して生きざるを得ないというわけで、大陸の人々が「金(きん)」や「宝石」といった形で財産を保有することを好むのは、ある意味で当然です。壁の内側に住んでいたとしても、いざ事あらば、「自分で手持ち出来る財産」を抱えて逃げることを想定していたわけです。
また、アメリカの超富裕層が「壁の中」に住み、「壁の外」に暮らす人々との間に利益の乖離が発生している状況について、日本国民は(少なくとも三橋は)奇妙に思うわけですが、彼らにしてみれば、
「奇妙に思う方が奇妙」
という話なのだと思います。
帝国主義の時代、欧米人は「植民地」において「壁の中の支配者」として振る舞いました。彼らにとって、植民地の現地住民など、「壁の中」に所得を捧げてくれる「機能」でしかなかったわけです。
それに対し、日本は割譲を受けた台湾、併合した朝鮮半島にインフラを整備し、現地の住民に教育をほどこし、彼らの所得増大のために力を尽くしました。台湾や朝鮮で、日本人が「壁の中」に住むことはありませんでした。
当時の中国各地に存在した「租界(外国人居留地)」は、外国人にとっては「壁の中」でした。安全が守られない壁の外とは異なり、治安が維持され、しかも中国人の富裕層までもが「安全な租界」で暮らしていたわけでございます。
「壁」一つ考えても、日本人と「世界のほとんどの人々」との間には、真逆と言っても過言ではないほどの価値観の乖離があるというのが現実なわけでございます。ならば、どうするべきなのでしょうか。
「壁の中」と「壁の外」を意識しない、日本的な価値観を世界に広めるべきなのか(そもそも、そんなことが可能かどうかすら分かりませんが)。あるいは、我が国も「同じ国民」が壁の中と外を意識して生きる国へと「構造改革」するべきなのか。
現在の日本に突きつけられた問いは、まさに「歴史」「価値観」「文化」「生き方」の問題というわけでございます。三橋は、たとえ結果がどうなろうとも、あるいは「きれいごとを(笑)」とバカにされようとも、日本国民が「壁の中」と「壁の外」を意識して生きざるを得なくなるような「改革」はお断りでございます。皆さんは、いかがですか?
PS
「改革」が韓国にもたらした壮絶な格差の実態とは
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