「脆弱化」を止める「強靭化」 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』 | My Flame

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    『三橋貴明の「新」日本経済新聞』

     2013/12/17


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From 藤井聡@京都大学大学院教授

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安倍政権が誕生して,1年近く,その間,政権ではいろいろな取り組みが進められて参りましたが,その中でも特に大切な取り組みの一つが,巨大地震をはじめとした様々な危機に対する強靭化(あるいは,リスクマネジメント=危機管理)である,

 「国土強靱化」

でありました.

その方針については,ナショナル・レジリエンス懇談会で,様々な領域のご専門の方々と議論を重ねて参りましたが,この度,12月上旬に「基本法」が国会で成立した事を受けまして,

 「国土強靱化政策大綱」(案)

がとりまとめられました.
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/dai6/siryou2_2.pdf

この「大綱」は,基本法の下,内閣の中に設置される

  「国土強靭化推進本部」(本部長:安倍総理大臣)

の初回会合にて改めて最終的に審議され,正式に制定されることになります.

この「大綱」は,来年にまとめられる「強靭化基本計画」のベースになるものですが,その「強靭化基本計画」は,国内の様々な計画(エネルギー基本計画や,食料基本計画,国土形成計画,防災計画など....)の

 「上位計画」

になるものです.つまり,国内の様々な行政の方針に,巨大な影響を及ぼし得る「ポテンシャル」を持った計画として,国土強靱化基本計画が策定されるわけで,そのひな形となるこの「大綱」は,これからの日本の国の形に多大な影響を及ぼし得る「ポテンシャル」を持っている...ということになります.

もちろん,全ての法律,全ての計画がそうであるように,その実効性は,その「運用」に全て依存してしまいますので,上述の「ポテンシャル」は「ポテンシャル」にしか過ぎません.が,そんな「ポテンシャル」がある...というだけでも,当然ながら,私たちの日本の未来にとって,重大な意味を持つものである事は間違いないですよね(笑).

では,そんな「大綱」にどんなものが書かれているのか...と言う点については,詳しくは

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/dai6/siryou2_2.pdf

をご参照頂ければと思いますが,ここでは,その「重要な基本方針」だけでもご紹介したいと思います.

まず,その基本方針ですが,

「我が国のあらゆるレベルの経済社会システムが有する潜在力、抵抗力、回復力を強化すること 」

という事が一番目に明記されています.これはつまり,経済社会システムそのものを,主流派経済学が一般的にそう見なしているような「無機物」と見なすのではなく,伝統的な社会学や社会心理学がそうであるような,「有機物」として見なすという世界観に立って,この大綱がまとめられていることを含意しています.

また,続く二番目の基本方針として書かれているのが,次のものです.

「我が国の強靱性を損なう本質的原因として何が存在しているのかをあらゆる側面から吟味しつつ、取組にあたること 」

これは例えば,特定の「構造改革路線」の様なものが,「我が国の強靱性を損なう本質的原因」であるとするなら,それに対して一定の歯止めをかける必要性があるのではないか,という議論を強靭化の視点から始めることが「可能」という事になります(もちろん「誤解」を避けるために念のために申し添えるなら,その逆も然りですが 笑).

同様に,特定の「貿易政策」が「我が国の強靱性を損なう本質的原因」であるとするなら,それに対する歯止めの議論を,強靭化の視点から始めることが「可能」であるという事になります(繰り返しになりますが,もちろん,そうであれば,というあくまでも仮定の話であります 笑)

さらに三番目の基本方針は次の様なものです.

「市場、統治、社会の力を総合的に踏まえつつ、大局的、システム的な視点を持ち、適正な制度、規制のあり方を見据えながら取り組むこと 」

これはつまり,「局所的な視点」に立ち,そして,「兎に角規制は全て緩和・撤廃すべき」という前提に立って,全てを「市場」に任せるような態度は,強靭化の視点からは,厳に慎むべきであることを含意しています.

続く四番目の基本方針は,

「短期的な視点によらず、時間管理概念を持ちつつ、長期的な視野を持って計画的な取組にあたること」

というもの.これは,決して「短期的な合理性」だけを追求する様な姿勢は持ってはならない事,つまり常に「長期的」な視野にたって,様々な取り組みを進めるべき事を意味しています.

ここで重要な概念となるのが「時間管理概念」です.これは,同じ強靭化施策をやるにしても,それを5年以内に終わらせるのが合理的なのか,それとも20年以内にやっても構わないのか....と言うような「計画時間」を,どの程度にするのが「合理的」なのかを考えるべし,という概念です.

つまり,今の時点では,「強靭化10年計画」の様な,年次入りの計画は残念ながら政府としては策定されていないのですが,これからはそういう方向性を探りながら考えて参りましょう,というのが,第四番目の基本方針です.

そして,第五番目の基本基本方針は,

「多様な地域が自律性を高めつつ諸機能を適切に分担するとともに、これらが連携・協調する国土構造を実現することにより、過剰な一極集中の回避、「自律・分散・協調」型国土の形成につなげていく視点を持つこと 」

というもの.少々長い文章で分かりづらい文章ですが,要するに『東京等への過剰な一極集中を回避し、全国各地に「自律」的な都市が「分散」的に配置され,かつ,それらが統合的に「協調」できるような国土を目指しましょう,という,国土計画の方針そのものに関わるものです.

以上の五つの方針以外にも,ソフトとハードの双方を重視すること,官民連携を図る事や既存のインフラを有効利用する事,環境に配慮する事等様々な点が,その基本方針として記載されていますが....いずれにしても,上記の第一番目から第五番目の方針はいずれも,いわゆる「過剰な新自由主義的な傾向」に「歯止め」をかける可能性を指し示し得るものです.

ですから「適切な運用」さえ叶うのなら,脆弱化を阻止,強靭化を果たす取り組みを粛々と行う事が,日本の新自由主義にそった諸改革に対する歯止めに「自ずと」なっていく「可能性」は理論的に存在する事になります.

....ということで,こうした方針が,いよいよ,総理大臣の下,正式に内閣の(強靭化の)方針として策定される事が予期されています(丁度,本日午前に予定されています!).
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131210/plc13121018420028-n1.htm

もちろん大綱では,こうした「基本方針」だけでなく,エネルギー,金融,食料,救援,医療,経済,産業....等々の各分野について,こうした諸方針に従うより具体的な取り組みの概要についても明記されていますが,ここで記載されていないものでも,強靭化のためになすべきことは,まだまだ存在する可能性があります.

例えば,
http://mainichi.jp/select/news/20131121k0000m020115000c.html
というようなお話(一旦,新自由主義路線で「自由化」されたタクシー市場を,再規制するタクシー特措法の改正)は,「強靭化」の行政とは無縁のところで展開されているものですが,理論的に考えれば,上に述べた「強靭化の5方針」と大きく関連する「強靭化の取り組み」であると「解釈」することができます.

そもそも,全ての立法行為は,我が国の強靱性=レジリエンスに対して,プラスにせよマイナスにせよ,何らかの影響を及ぼすものですから,その法が如何なるものであれ,この例のように「解釈」することが可能です.そしてだからこそ,強靭化を重視する立場に立てば立つほどに,強靱性に及ぼす影響の程度と質を見据えた上で,各立法やその運用が展開されていく事になるはずなのです.

とはいえ繰り返しますがもちろん,そんな事は全て「政府の運用」一つにかかっています.

筆者はもちろん,強靭化,というのは,日本国家の安全保障,危機管理のみならず,あらゆる領域における国力,活力そのものを根底から支え,その帰結として,日本の国民の幸福と文化水準を決定付ける最重要課題の一つであると確信しています.

基本法が成立した今日,総合的な視点に立った,より適切な「運用」がなされるべく,これからも当方個人としましては微力ながらも,尽力して参りたいと思います.

ついては我が国の行く末にご関心の皆様方におかれましては是非(!),本日の「本部決定」を皮切りとした,強靭化行政の展開に,重大なご関心,ご支援をお寄せ頂けますと,大変有り難く存じます.

どうぞよろしく御願い致します!



PS
2014経済ショックと韓国通貨危機のXデーはいつか? …

[続きはコチラから]
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