JOG-mel No.827 自衛隊の使命、メディ アの使命 ~ ベストセラ ー小説『空飛ぶ広報 | My Flame

My Flame

ブログの説明を入力します。

--------
↓全文読めない等の場合はバックナンバーでご覧下さい↓
http://melma.com/backnumber_115/
--------


■■ Japan On the Globe(82) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

Media Watch: 自衛隊の使命、メディアの使命
~ ベストセラー小説『空飛ぶ広報室』から

 国民に安心安全を届けている自衛隊を、メディアはいかに伝えているのか。

■転送歓迎■ H25.12.08 ■ 44,669 Copies ■ 3,773,626Views■
無料購読申込・取消: http://blog.jog-net.jp/


■1.「だって戦闘機って人殺しのための機械でしょう?」

「何かお勧めの題材はありませんか。できれば画になるような」と帝都テレビのディレクター・稲葉リカが聞いた。所は東京・市ヶ谷の航空自衛隊の広報室である。

「じゃあ、いっそのこと戦闘機パイロットはいかがですか?」と、広報室に新人として配属された空井大祐(そらい・だいすけ)二尉が提案した。空井は小さい頃から憧れていたアクロバット飛行チーム・ブルーインパルスへの配属が内示された矢先に交通事故に巻き込まれて、その道を断念して、広報室に配属されたのだった。

 稲葉リカは険しい顔つきで、「興味ありません。だって戦闘機って人殺しのための機械でしょう? そんな願望がある人のドラマなんか、なんでわたしが」

 それを聞いた途端、空井の脳細胞が沸騰した。「人を殺したい、なんて、思ったこと、一度もありませんッ! 俺たちが人を殺したくて戦闘機に乗っているとでも」

 大きな声に、先輩が飛んできて「アホッ! お客様に何て口の利き方だ!」と、脳天にガツンとげんこつを落とされ、襟首を掴まれて、部屋から引きずり出された。

 後で、空井は広報室長から、こう諭された。「自衛官やってりゃ、なんでこんなこと言われなきゃならないんだと思うことはいくらでもある。だが、そんなことを言われるのは広報の努力が足りてないせいだ。」

 多くのマスコミが垂れ流す反自衛隊報道の偏見・偏向と戦い続けることが、自衛隊広報マンたちの孤独な任務だった。


■2.「津波が来る前に何機かでも飛ばすことはできなかったんでしょうか」

 この後、空井とリカは二人で力を合わせて、ある企画を成功させ、その過程で二人は心を通わせ合い、リカの左巻きも徐々に治っていく、というのが、テレビ化もされたベストセラー小説『空飛ぶ広報室』[1]の本筋なのだが、それは本を読んでのお楽しみとして、ここでは心に残るエピローグのみ紹介しよう。

 空井はその後、宮城県の航空自衛隊松島基地の広報担当に異動になり、そこで東日本大震災に出くわす。そして震災の10ヶ月後、リカが取材で松島基地を訪れ、二人は再会する、という設定だ。

 松島基地にも、人の背丈ほどの津波が押し寄せ、駐機場にあった戦闘機や救難ジェットがぷかぷか流されて、格納庫に突っ込んでしまった。

「津波が来る前に何機かでも飛ばすことはできなかったんでしょうか」とリカは聞いた。この質問自体がリカの変貌ぶりをよく表している。左巻きの頃だったら、「人殺しのための機械が使えなくなったって問題ないでしょ」などと言ったかも知れない。

 この質問には、空井の上司の広報班長が答えてくれた。余震が続き、しかもあれだけの大地震のあとは滑走路を総点検する必要があった。30分後と予想されていた津波には到底、間に合わない。

__________
 当時の基地司令が人命優先を即断して避難指示を出したからこそ、松島基地は勤務中の隊員に一人の犠牲者も出さずに済んだのです。その後、無事だった隊員を全投入して災害救助活動に乗り出しました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

■3.「自分たちは自衛官に被災者の資格を認めていないのだ」

 その説明に、ふとよぎった違和感が、そのままリカの口を衝いて出た。「松島基地も被災しているのに、ですか」

 その質問に広報班長の口元が揺るんだ。「そこに気づいてくださる方は稀です」

 リカは思った。

__________
 松島基地の自衛官たちが被災者として扱われていた報道など今まであっただろうか。少なくとも帝都テレビのニュースでは見かけたことがない。F-2が流された、救援ジェットが流された、甚大な損害が出たとそちらばかりを宣伝していた。

 基地が完全に水没するような被害を受けてさえ、自分たちは自衛官である彼らに被災者の資格を認めていないのだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「でも、、、隊員にもこちらに家族のある方がいるでしょう。心配じゃないんですか」

「もちろん心配です」と頷く広報班長に、リカは愚問だったと頬が火照(ほて)る。

__________
 ですが、自衛官はみんな妻や子に言い聞かせていると思いますよ。もし何かあっても俺は家にいないから何とかやってくれ、とね。それが自衛官と所帯を持つということです。

 だから、災害が起きたら真っ先に家族に連絡をとります。お互い無事だと分かったら憂いなく出動できますから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「もし、、、ご家族が無事じゃなかったら」

__________
 死亡や危篤なら隊の配慮があるでしょう。しかし、家族の死に目に立ち会えないことも、家族に看取ってもらえないことも誰もが覚悟はしています。そうでなければ、海外派遣などに志願することはできません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 税金で訓練するのだから当然だ、と言う者もいるだろう。しかし、いくら給料をもらっているとは言え、そこまで見知らぬ他人に尽くせるものだろうか。


■4.瓦礫の撤去や泥掻きが、なぜ「思いきった活動」なのか

 広報班長は、隊員の救助活動の写真を数枚、見せてくれた。市街地や田畑での瓦礫の撤去や泥掻きの様子が映っている。「これもかなり思いきった活動の一つで、、、」

 瓦礫の撤去や泥掻きが、なぜ「思いきった活動」なのか、リカには理解できなかった。

__________
 よく見て下さい。隊員が民家の敷地内に立ち入っているでしょう。田んぼや畑にも。自衛官は救助活動以外で私有地に立ち入ることを許可されていないんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「そんな、、、じゃあどうやって街の復興を」

 起死回生の策を打ったのは、当時の基地司令だった。「基地から危険物や機密保持に関わる物品が近隣に流れ出している恐れがある」という名目で、私有地に入り込んでの救援活動を命じた。基地司令は、それが問題になっても自分一人で責任をとればいい、と決断したのだろう。

「そんな無理矢理な理屈付けをしないと田畑の泥掻きもできないなんて」と、リカは目眩(めまい)のような絶望を覚えた。

 報道関係者には、「報道の仕方で問題になったら、この活動は打ち切らざるを得ない」と説明した。その結果、マスコミ各社のほとんどが「流出物の捜索」という名目を添えた報道をしてくれたので、問題にはならなかった。リカは、ほっと胸をなで下ろした。報道の良心が少しでも信じられる結果であってくれたことに感謝した。

__________
 隊員たちはよく頑張ってくれたと思います。辛い光景もたくさん見たと思います。だけどあいつら、基地に戻って休んでも、すぐにまた出て行こうとするんですよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 広報班長が俯(うつむ)いて、目頭を抑えた。「空井、後を頼む」と、ようやくそれだけ言って、部屋を出て行った。


■5.「あなたたちって人は」

「女性隊員にも会ってみますか?」との空井の言葉に、「ぜひ」とリカは答えた。

 空井の職場に居合わせたのは、リカと同年代の女性だった。「当日はどのような状態でしたか」と尋ねたリカに「揺れが収まってから真っ先に保育所に連絡を入れました」

「お子さんがいらっしゃるんですか。ご心配だったでしょうね。」

「幸いすぐに連絡が取れましたから。おかげさまで怪我一つなく、、、その日は保育所で預かってくれることになったので、子供を引き取りに行ったのは翌日です」

 保育所から引き取った後は、近所の実家に子供を預け、そのまま隊務に復帰したという。「何かあったとき、家にいないのが自衛官だ」という広報班長の言葉をリカは思い出した。それは子供を持つ女性自衛官にとっても例外ではないのだ。

「何か特に困ったことは」とのリカの質問に、「おむつが心配だった」と言う。「支援物資にはおむつは入ってなかったんですか?」と聞くと、

__________
 支援物資は被災者に届けるものですから。基本的に自衛官は受け取らないようにしてました。おむつは分けてもらわなきゃいけなくなるかもと思ったけど、差し入れが間に合ったし。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「あなたたちだって被災者なのに」との言葉が喉までこみ上げたが、自衛隊員を被災者扱いしてこなかったマスコミの人間が言えるセリフではなかった。

「差し入れ」とは、全国の基地で隊員が自発的にカンパ物資を提供したものだった。自衛官が支援物資を受け取らないと分かっているからこそ、自然発生的にカンパが始まったのだろう。

 ただ、そのカンパ物資に中のお菓子は、地元の小学校を慰問してプレゼントしたという。

「あなたたちって人は」と言いかけたリカは、涙がこみ上げて慌ててそっぽを向いた。胸にこみ上げる思いが波打つ。

 あなたたちは一体、どこまで私たちに差し出したら気が済むんだろう、、、


■6.「自衛官をヒーローにしてほしくないな、と思います」

 夕方まで取材を続け、駅までは空井が車で送ってくれた。車の中で、リカは聞いた。「わたしがどんな特集を作ったら嬉しいですか?」

「そうですね、、、」 空井はしばらく考え込んでから言った。「自衛官をヒーローにしてほしくないな、と思います」

__________
 ときどき、自衛官は被災地でとても苦労してますって伝え方をされちゃうことがあるんです。家にもろくに帰れず、冷たい缶メシをかじりながら被災者のために頑張っています、って。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「それ、何か問題があるんでしょうか?」 自衛官の献身を知らずに無責任に批判する声の多さを思えば、多少は自衛官びいきの報道をしたほうがバランスが取れるくらいだ。

__________
 もちろん、そのお気持ちはありがたいんです。でも、それは報道の皆さんが分かってくれてたら十分なんです。分かってくれてたら自然と報道が公正になるでしょう?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


■7.自衛官の使命、ジャーナリストの使命

「もう少し望んでもいいんじゃないですか」と聞くリカに、

__________
 もちろん望みはあります。僕たちに肩入れしれくれる代わりに、僕たちの活動が国民の安心になるように伝えてほしいんです。

 自衛官の冷たい缶メシを強調されて、国民は安心できますか? 被災者のごはんも同じように冷たいのかって心配しちゃうでしょう?自衛官の缶メシが冷たいのは、被災者の食事を温めるために燃料を節約しているからです。

 僕等が冷たい缶メシを食べていることをクローズアップするんじゃなくて、自衛隊がいたら被災者は暖かいごはんが食べられるということをクローズアップしてほしいんです。自衛隊は被災地に温かい食事を届ける能力があるって伝えてほしいんです。それはマスコミの皆さんにしかできないことです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ヒーロー扱いされることは、自衛官たちの自尊心を満たすだろう。しかし、それは自己満足でしかない。

 自衛官の任務は、国民に安心安全を届けることだという、自らの自尊心までも捨て去った、無私の使命感がそこにあった。

 そして、それをマスコミにも手助けして欲しいという。気がつくと、リカの頬に涙が伝わっていた。

「ああ、ごめんなさい。責めているわけじゃないんです」と、慌てる空井に、「責められたなんて思っていません。ただ、、、」

 この言葉があれば、きっと一生大丈夫だ。ジャーナリストとして、迷っても、悩んでも、この言葉に立ち戻れば、正しい道が見える。

「ありがとうございます。一生の指針をいただきました。」

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(739) 気は優しくて力持ち ~ 自衛隊の人づくり
 自衛隊員たちは、被災地の過酷な環境の中で、なぜこんなに優しくできるのか。
http://blog.jog-net.jp/201203/article_2.html

b. JOG(699) 国柄は非常の時に現れる(上)~ それぞれの「奉公」 自衛隊員、消防隊員は言うに及ばず、スーパーのおばさんから宅配便のおにいさんまで、それぞれの場で立派な「奉公」をしている。
http://blog.jog-net.jp/201105/article_4.html


■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 有川浩『空飛ぶ広報室』★★★、幻冬舎、H24
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4344022173/japanontheg01-22/

■前号「『反日』で漢字まで追放した韓国」へのおたより

■将行さんより

 漢字排斥は残念ながら、日本でも進行しているとおもいます。新聞を読んでいて「牽引」を「けん引」などと記載していることに強い違和感を感じるのは私だけでしょうか?

 昔は常用(当用)漢字に指定されていなくても、一般に定着した熟語はすべて漢字表記するのが常識でしたが、今は熟語の一部を常用漢字でないという理由だけでひらがなで書く愚行が進行しています。

 伊勢様の指摘されている「千鳥足」ぶりが日本にも伝染してしまったように思え、嘆かわしく思います。

■伊勢雅臣より

「けん引」では意味も想像できませんね。こういう表記に対する違和感を大事にしたいものです。


■学さんより

 今回のテーマも興味深く読ませていただきました。韓国が漢字を廃止したことが学際分野でも問題になっているという指摘は聞いておりましたが、まさか反日が直接的原因だったとは・・・大変驚きました。

 今回感想を送りたいと思ったのは、伊勢様が空港で経験されたエピソードについて。成田や羽田の国際便ターミナルでこのような経験はありませんでしたが、私が同じ驚きと苛立ちを感じたのは都内の京王電鉄の車内でした。

 仕事のため慣れない京王線に乗った私は、目的地の駅までどのように行くべきか、どの駅で普通電車に乗り換えるべきか迷い、車両内の電光掲示板を見ておりました。しかし中国語やハングル語の表示時間が長く、ちょっと目を離した隙に日本語を見落とすとまた延々と掲示板をにらみ続けなければならない・・・

 沿線に中国人や韓国人が多く住んでいるからなのかも知れませんが、乗客の大多数は日本人だろうし、外国人でもアルファベット表記で十分に対応できるはずです。

 乗客へのサービスというものをはき違えているのではないかと思いました。京王電鉄の社員には是非JOGを読んでいただき、本当の国際化・国際人とはなになのかを考え直してもらいたいと思います。

■伊勢雅臣より

 京王電鉄の掲示板から、ハングル、中国語表示が消えた、というニュースがTwitterで流れました。

■泉幸男さんより

 10年前になりますが、ソウルで朝のワイドショーを見ていたら農家のおばあちゃんへのインタビュー中継放送がありました。

 おばあちゃんが“タマネギ”という言葉を使った途端、インタビューしていたアナウンサーは焦りにあせって、「ヤンパ、ヤンパ、ヤンパといいますね」と韓国語で言い換え単語を何度も言っていました。

“タマネギ”という日本語起源の単語は、放送禁止用語になっていたのでしょう。言い換えの“ヤンパ”の“ヤン”は漢字の“洋”の韓国語読み。“パ”は韓国固有語でネギのことです。

“フミキリ”、“ノリカエ”、“ベントー”のような単語は同じ流儀で次々に置き換えられ、今の韓国語からは(少なくとも文章語からは)消えています。若い世代は使わないはずです。

 会長、会場、会葬が同じ発音になってしまうというのは同音異義語の分かりやすい例ではありますが、補足すると、韓国語は日本語よりも母音・子音の数が多いので、漢字の音読みの同音字は日本語に比べると少なめです。つまり、漢字熟語の同音異義は日本語よりは少なめです。記者、汽車、帰社は、キジャ、キチャ、クィサという別の発音になります。

 漢字を廃止しても韓国語がなんとかもっているのは、そのせいです。

 また、韓国語は分かち書きをします。貴誌で、文章をひらがなで分かち書きなしで連ねて書いてみせ、「たとえて言えばこれが韓国語だ」というのはフェアでないと思います。

 いずれにせよ、漢字の知識をもった世代が消えつつありますので、韓国語も膨大な漢字熟語起源の単語の言い換えがさらに進んでいくでしょう。

 漢字は日常的に目にしていないととてもマスターできないので、中等教育に漢字を取り入れたとしても韓国・朝鮮に漢字は帰ってこないでしょう。韓国・朝鮮にとって悲劇的な文明喪失でした。それもまた「日本人のせい」というファンタジーを、十年後には聞かされることになるかもしれませんよ。

■伊勢雅臣より

 同音異義語については、韓国語は日本語より母音・子音が多いのですが、日本語では訓読み、重箱読み(じゅうばこ、音+訓)、湯桶読み(ゆとう、訓+音)と自在な読み方で同音異義語を避けています。このあたりの伝統的な智恵は日本らしい所です。

 ひらがな書き、および、韓国語のカタカナ表記に関しての誤りを指摘いただきました。確認できたものについては、ホームページでは訂正してあります。ありがとうございました。

 読者からのご意見をお待ちします。
 本誌への返信、またはTwitterで、@ise_masaomi あて、お送り下さい。

====================
Mail: ise.masaomi@gmail.com
Twitter: https://twitter.com/#!/ise_masaomi
または本メールへの返信で
姉妹誌「国際派日本人のための情報ファイル」JOG Wing
http://blog.jog-net.jp/
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm
相互広告: 弊誌読者の参考になるメルマガとの相互広告歓迎。
====================


--------
メルマガ解除やバックナンバーは↓
http://melma.com/backnumber_115/