極私的覚え書き -5ページ目

夢で逢えたら

帰る時にはいつも精一杯の笑顔で窓から手を振り続けていた彼女。
ついさっき会っていたばかりなのに、メイルが来る。”夢の中でも逢いたいな”って。アタタカイキモチがじわって広がる。愛おしいという文字で胸一杯になる。




神様からひと言:荻原 浩

大手広告代理店を辞めて中堅食品メーカに転職した佐倉凉平が,新製品開発会議でトラブルを起こして「お客様相談室」に送られる。売ってる商品がホントにまずいから、クレームへの応対がリアル! 登場人物のひとりずつも奇人変人でキャラが立っている。同僚篠崎の奇人ぶりと頑固一徹のラーメン店主光沢が好きなキャラ。ホームレスになってでも自分のやりたいことを貫くという甘さなしも好感度大。楽しく時間を潰すのには最適。何度も吹き出します。

昨日毎日新聞で未成年に殴り殺されたホームレス男性の記事。東北から上京し会社を60才で定年。殴殺されたときポケットからくしゃくしゃになったお兄さんの連絡先がみつかったと。お兄さんは弟のことを心配しながら最近他界したと。ひとひとりの生涯はとても重い。ホームレスとひとくくりにできるはずもない。でもそれに無関心になっている自分がいるのも事実。ひとを総論ではなく(地位、肩書き)各論(生き様、エピソード)でみつめることが必要だと(頭では)思う。生涯の儚さを思い泣きたくなった。




神様からひと言 光文社文庫
荻原 浩 (著) 文庫 (2005/03/10) 光文社
価格: ¥720(税込)
ブックランキング☆
★★


ターミナル

DVDで見終わったTerminal
JFK空港を舞台にした映画。トムハンクス主演。空港をよく利用するヒトにとってはおもしろいはず。空港が嫌いな人にとっては、きっとつまらない。ありえない話だが、もしかしてと思わせる。JFKってあんなあんな賑やかなところがあるんだ。
☆☆☆★★(もう一度見てもいいかも)

クレージーホースのダンサー

8月14日の毎日新聞日曜くらぶで(欧州的成熟ライフ、木立玲子)パリのキャバレー、クレージーホースがベルギー人に買収されたことを記事にしている。東欧諸国の国営オペラ、バレーのバレリーナ達はベルリンの壁崩壊後クレージーホースに就職したという。創業者ベルナルダンが職人的にダンサーを手塩にかけて育て上げたきたが、その創業者も数年前に自害したとのこと。

Sと軽井沢に行く直前にいったパリで、僕はクレージーホースのトップレスショーを見た。ブロンドの踊り子達は、素晴らしいプロポーションと鍛え上げられたダンスをみせていた。しかし矜持をみせながらどこか悲しげにみえた。凛とした表情の裏側に隠されたSの悲しみをどこかで感じていた。

軽井沢文庫;夏の終わりのできごと

2年前の夏の終わりに、Sと軽井沢文庫にいった。どうしようもなく深く惹かれていたのに、それまで二度も裏切られていた。二人は深く愛しあっていた。でもSはずっと一緒にいられることが出来なくて辛いからと、身近にいる誰かとつきあい、僕のことを忘れようとした・・・
また戻ってきたのだけれど。それを許した僕もどうかと思う。

そのときはSは社会人となり二人には珍しく平穏な日々が何ヶ月も続いていた。Sの誕生日にあわせて軽井沢のホテルをとり、おいしい食事に舌鼓をうつ。美しい忘れられない夏の思い出になるはずだった・・・
でもSはまた悲しいことをしていた。1ヶ月程前から職場の同僚と熱烈なメールをやり取りし、わずか1ヶ月の間に二人で何度も逢っていた。毎日連絡を取り合っていた、僕達だったが、僕がわずか一週間パリに行ったその直前からメイルが始まっていた。

パリから帰り久しぶりに二人でいられる時間がとれたこともあり僕とSは激しく愛し合った。その直後に僕はその事実を知る。彼から届いた携帯受信の点滅で。

そのとき、いったのが軽井沢高原文庫、谷川俊太郎が幼少の頃から過ごした軽井沢の写真とともに数々の直筆原稿が展示されている。谷川俊太郎の詩から受ける印象が、彼の人生の出来事と分かちがたく結びついていると感じた。彼が二度目に愛したひとと(不倫のはてに)一緒になった頃から詩の印象が変わりその頃から彼の詩のもつ輝きが(少なくても僕には)失われたように思えた。作者が意図した意味を読み取ることも必要だろうが、僕は詩的なことは私的なことでもあると勝手に解釈している。大切なことは”誰がそのことばを語ったか”ということ。

Sが好きだといったペイネの美術館にもいった。

軽井沢高原文庫