気になるニュース

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2023年7月、札幌ススキノのホテルで当時62歳の男性が首を切断され、頭部を持ち去られた猟奇的な殺人事件が発生した。

逮捕・起訴された親子3人のうち、母親の田村浩子被告(61)の初公判が6月4日に札幌地裁で開かれ、浩子被告は起訴内容を否認し、無罪を主張した。 裁判で検察側は「ススキノの閉店イベントで被害男性と会い、その後ホテルに行き、避妊なしで性行為をされた。瑠奈被告はここで殺害を考えた。瑠奈被告が死体損壊の後、浩子被告は修被告に『よろしかったらお嬢さんの作品をご覧ください』と連絡した」と指摘した。 これに対し、弁護側は「通報しなかったり、とがめないことでほう助になるとの文言はない。ビデオ撮影や頭部損壊は聞いていない。抽象的に修被告に撮影を依頼した」と、犯行への関与を全面的に否定した。

■弁護人の冒頭陳述より (抜粋~凄惨・性的な描写は一部修正)

■弁護人が法廷で立証しようとすること (1)田村瑠奈さんと、両親である浩子さん・修さんの親子関係と生活状況(事実上の主張) (2)頭部が自宅に置かれた経緯と、浩子さんがこれを知ってそのまま生活することになった経緯、損壊の動画の撮影を修さんに依頼することになった経緯(事実上の主張) (3)浩子さんが、頭部があることを知りながら何もせずにそのまま生活していたことが死体遺棄罪の幇助に当たらないこと、瑠奈さんから動画撮影を依頼され、頭部を損壊するということまで具体的にわからずに修さんに撮影行為を依頼したことが死体損壊罪の幇助にあたらないこと(法律上の主張) ■瑠奈さんとの親子関係および生活状況 田村浩子さんの経歴 室蘭市で生まれ、北海道教育大学北海道教育大学旭川校を卒業後、道立旭川美術館に8年間勤務。平成5年3月に田村修さんと結婚し、平成6年2月に長女の瑠奈さん出生。結婚後、専業主婦だった浩子さんは60歳を機にパートの仕事を始める → 本件逮捕勾留で、昨年退職 ■瑠奈さんの生活状況 ・中学入学後は不登校 ・浩子さんと修さんは、中学2年生の頃から瑠奈さんを精神科医に受診させて、中学3年生からはフリースクールに通わせるが、ほとんど通えず ・18歳頃からは自宅で引きこもりの状態になり、昼夜逆転の生活 ・修さんか浩子さんと一緒でなければ外出ができず、そのほとんどは修さんの送迎でドン・キホーテやゲームセンター、趣味のドールショップに行くといった程度 ・瑠奈さんに交際相手がいた、友人とLINEのやりとりがあった等の報道は全て誤報 ■瑠奈さん18歳頃からの変化(1) ・子供の頃の瑠奈さんはハリーポッターを好んだり、友達を家に呼んで遊ぶなど、ごく普通の子供 ・18歳の頃から「田村瑠奈は死んだ」と言い始め、田村瑠奈の死体に複数の人格が入り込んでいるという"ゾンビ妄想"に ・自身が田村瑠奈であるという認識は、10年以上前から現在までない ・「田村瑠奈の体には5~6人の魂が入って、体を借りているだけ」などと言って、自分のことを「ルルー」や「シンシア」などと名乗るようになる ・修さんも浩子さんも「瑠奈」ではなく、「お嬢さん」などと呼ばなければならない ・瑠奈さんも修さんや浩子さんのことを「ドライバーさん」「彼女」と呼ぶ ■瑠奈さん18歳頃からの変化(2) ・その時々で話し方や様子が別人のようになるときがある ・時折虚空を見つめて、妄想上の恋人(ジェフ・ザ・キラー)との会話も繰り返す ・精神が不安定になると、発狂したように意味不明な言葉を叫ぶ、自宅の壁を殴って穴を空ける、さらに自傷行為や自殺未遂をしてしまう ・修さんは瑠奈さんの妄想を肯定も否定もしないというスタンス、浩子さんは瑠奈さんの妄想を否定しないよう細心の注意を払って生活 ・瑠奈さんの希望は可能な範囲でかなえるようにしていた ・瑠奈さんの妄想上の恋人であるジェフとの結婚披露宴(儀式)にも参加 ■瑠奈さんと両親の生活 ・田村家の自宅は、瑠奈さんが小学生の頃までは、普通に整理整頓された家 ・瑠奈さんがゴミも含めて物を捨てるのを嫌がるようになったため、自宅内は瑠奈さんの物やゴミであふれかえるように ・事件直前は、もはや足の踏み場もほとんどない ・居間は浩子さんが寝起きするスペースを確保するのがやっと、修さんは自宅で寝るスペースがなく、ネットカフェで寝泊まり ・修さんは出動前あるいは退勤後必ず自宅によって、浩子さんに頼まれた買い物をしたり、浩子さんの作った食事を受け取る ・一人では外出できない瑠奈さんがゲームセンターやドン・キホーテなどに行きたいと言ったときには、送迎もしていた ■瑠奈さんに対する治療 ・今から6年ほど前、通院先から、多重人格や統合失調症の要素を満たすとされていた ・ただし、障害者年金を受給すること、自殺未遂を繰り返していたこともあり、診断名としては"躁うつ病" ・その後、クリニックにも通わなくなり、修さんが薬を処方するように ・統合失調症の治療薬である抗精神病薬については、体調が悪くなると訴えるため、数回飲んだ程度でやめ、抗うつ薬を服薬 ■弁護人立証予定 ・浩子さんら両親と瑠奈さんは、周囲から見ると非常に特異と評価される親子関係 ・両親が瑠奈さんの言葉を否定したりすることができない状況にあったことについて   →修さんの証人尋問および、浩子さんの被告人質問により立証する予定 ■頭部が自宅にあることを知った経緯 ・令和5年5月28日 瑠奈さんの希望で「キングムー」閉店イベントに修さんが連れて行く ・瑠奈さんがいわゆるクラブという場所に行ったのはこれが初めて ・瑠奈さんは数年前からホラー映画やSMに興味 ・昨年2月頃からは怪談バーにも行くようになったが、うつ症状は変わらず ・修さんと瑠奈さんがイベントに行っている間、浩子さんは自宅 ・午前7時半頃、瑠奈さんがキングムーで知り合った人と意気投合してラウンドワンに行くという連絡 →両親以外の人と交流がない瑠奈さんにとって大きな前進、浩子さんは喜ぶ ■瑠奈さんに起こった出来事(1) ・キングムーでカラオケに誘われて付いていったら、ホテルに連れていかれた ・避妊せずに性行為をされた ・避妊していないことを指摘したら誤魔化された ・ホテルを出た後、修さんにクリニックに連れて行ってもらいアフターピルを処方してもらった ・このときの相手が、本件事件の被害者男性 ■瑠奈さんに起こった出来事(2) ・修さんによると、瑠奈さんは性行為自体には同意 ・相手が避妊しなかったことに対し、落ち込むとともに強い怒りの気持ちを持っていた ・浩子さんに対して瑠奈さんは、相手が「謝ったら許してあげる」と言っていた ・6月中旬、瑠奈さんは修さんとともに、すすきので相手の男性を探した ・男性を見つけて、7月1日に会う約束をした ■瑠奈さんが男性を探した目的 ・会ったらSMプレイをすると言っていた ・瑠奈さんは以前からSMへの興味、女王になりたいと言ってSM関連のグッズを購入していた ・会う約束をした約1週間後、クラブで知り合った男性とSMプレイ ・修さんとSMプレイの練習、浩子さんはSMプレイに使用するスカーフを購入 ・瑠奈さんは男性に会うのを楽しみにしていた ・浩子さんは一度トラブルになった男性と会わせたくなかった ・止めたところで行かないというはずもなく、止められなかった ■瑠奈さんと会わないよう男性に懇願 ・修さんと浩子さんは、瑠奈さんと男性を会わせたくなかった ・浩子さんは、瑠奈さんがやくざの組長の娘であるという架空のシナリオを作り、警告することを考えてメモを作成 ・修さんは何度か男性に電話 ・7月1日の午後、初めて男性に電話がつながり、修さんは持ち合わせ場所に行かないよう頼む →男性は「向こうも会いたがってるわけだから。」と拒否 ・やむなく修さんは、瑠奈さんが嫌がることをしないように男性にお願いした ■事件当日~翌朝 ・修さんと浩子さんは瑠奈さんが男性とSMプレイをしにいくと思っていた ・事件は7月1日23時頃 ・翌日の朝方、浩子さんは浴室に見慣れないプラスチックのケースと、そこに入った黒いゴミ袋のようなものを目撃 ・瑠奈さんが嫌がるので、黒いゴミ袋が何かは確認していない ・瑠奈さんから「おじさんの頭を持って帰ってきた」と聞かされる ・浩子さんは半信半疑だったが、頭部のない遺体発見の報道を見て、瑠奈さんの言葉が本当ではないかと考える ・恐ろしくて袋の中身は確認していない ■浩子さんの見た「地獄」 ・瑠奈さんから「見て。」と言われる ・あまりに普通の言い方だったため警戒せずに浴室へ行く ・浴室洗い場に、皮をはがされた頭部が置いてあった ・「この世の地獄がここにある」深い絶望感 ・瑠奈さんは損壊された頭部の(写真)を浩子さんに見せようとする →浩子さんが手を引っ込めると、「ちゃんと見て!」と強く言ってカメラを持たせる ■動画撮影の依頼 ・7月7日、瑠奈さんが浴室で作業をすると言って、浩子さんに動画の撮影を頼む ・具体的に何をするのかは浩子さんは聞いていない ・浩子さんは頭部を直視できず、理由をつけて断り、修さんに助けを求めたところ、修さんが撮影を了承 ・浩子さんは損壊を撮影するといった具体的なことを伝えていない ・修さんが外出してしまったため、再び瑠奈さんから撮影を求められる恐怖 ・「撮影カメラマンするでしょ?」→ 瑠奈さんに見られてもいいよう平静を装ったLINEを送信 ■浩子さんと修さんの見た 「地獄」 ・瑠奈さんから、顔の一部が入ったガラス瓶を見せられる ・直視できないでいると「ちゃんと見て!」とガラス瓶を持たされる ・このガラス瓶を瑠奈さんは浩子さんの寝床の近くに置いた ・数日後、耐えられなくなり理由をつけて移動してもらう ・7月19日、瑠奈さんから「私の作品見て。」 ・浴室にあったのは、頭部の一部 ・修さんも見せられている ■逮捕されるまでの日々 ・自宅に頭部があることを知ってからの修さんと浩子さんの生活は言葉に尽くしがたいストレス ・二人ともなすすべもなく敢えて日常生活を送るしかない状態 ・修さんは防犯カメラのある場所まで瑠奈さんを送迎、浩子さんも尾行に気づいていた ・娘と一緒に暮らせなくなる日がすぐそこまで来ていることを理解 ・警察が来た時は運命を受け入れようと考える ・その日までのわずかな時間をこれまで通り家族として生活することを選択 ・瑠奈さんだけでなく修さんと浩子さんも逮捕される ■弁護人立証予定(2) ・浩子さんが頭部があることを知りながら通報せず、敢えてそのまま生活するようになったこと、修さんに動画の撮影を依頼することになった経緯や依頼したときの認識、依頼内容について、修さんの証人尋問、浩子さんの被告人質問により立証する予定 ■死体遺棄罪幇助の成否(1) ・死体遺棄罪は状態犯 ・遅くとも瑠奈さんが頭部を自宅内に持ち込んだ時点で、遺棄の実行行為は既遂となり終了 ・浩子さんは、瑠奈さんが頭部を自宅に持ち込んで浴室に置いた後に、この事実を知った →認識後には頭部の場所的移動がなされていない ・隠匿行為を遺棄の実行行為と評価できるのは、場所的な移動を伴う隠匿行為 ・浩子さんによる本件移置行為への関与は、事後従犯であり、罪に問えない ■死体遺棄罪幇助の成否(2) ・仮に同罪が継続犯と解したとして…  瑠奈さんから頭部を自宅内に置き続けることの許可を求められたことはない  瑠奈さんに対して容認するような発言をしたこともない ・検察官の主張は、警察に届けなかったことをもって、不作為による保管行為の幇助と主張するもの ・倫理的な問題は別として、警察に届ける法的義務があるとするのは死体遺棄罪の解釈では不可能であり、罪刑法定主義に反する ■死体遺棄罪幇助の成否(3) ・浩子さんが瑠奈さんの本件保管行為をとがめなかった=容認したという主張? →とがめたとしても瑠奈さんが自ら警察に出頭するとは考えられない ・警察に出頭するまでとがめ続けなければならない? →罪刑法定主義に反する ・以上より、死体遺棄罪の性質の解釈論にかかわらず、死体遺棄罪の幇助は成立しない ■死体損壊罪幇助の成否 ・修さんによる撮影行為は、本件損壊行為を物理的にも心理的にも容易促進するものではない→因果性を欠く ・浩子さんの依頼した行為も、瑠奈さんによる本件損壊行為を促進するものではない→因果性を欠く ・浩子さんが、瑠奈さんによるビデオ撮影しながら被害男性の頭部を損壊する計画を容認した事実はない ・浩子さんの認識において、瑠奈さんが頭部に対して何らかのことをする可能性があることを排除していなかった点をもって「容認」した? →容認は不作為による幇助であり、成立しないのは死体遺棄罪と同様 ■結論 検察官の事実主張を前提としたとしても、浩子さんにはいかなる犯罪も成立せず、無罪

去年9月、北海道室蘭市で、30年以上前の“性的関係”をめぐり、教え子の女ら2人を“千枚通し”で刺し、殺害しようとした罪に問われている75歳の元教諭の裁判…検察と被告、どちらも期限までに控訴せず、懲役3年、執行猶予5年の1審判決が確定しました。起訴状などによりますと、元教諭の野澤俊重(とししげ)被告75歳は、室蘭市在住だった去年9月、当時の自宅前の路上で、教え子だった49歳と46歳の女2人を千枚通しで刺し、殺害しようとした罪に問われています。  49歳の女は中学生と高校生の時、中学時代の教諭だった野澤被告と性的関係で、その関係をめぐり、30年以上経った2021年10月、46歳の友人と共謀し、野澤被告から現金300万円を脅し取りました。  さらに去年9月、再び2人で現金を要求するなどした際、野澤被告に千枚通しで刺され、恐喝と恐喝未遂の罪が発覚。  2月16日の2人の公判で、札幌地裁室蘭支部は49歳の女に「過去の性的関係を利用し、300万円脅し取るのは高額で、1時間半にも渡って脅迫、その2年後、また行ったことは、執拗で悪質」と指摘した一方で「野澤被告の昔の行為がこの事件を招いたのは否定できない」とし、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決。  46歳の友人にも「49歳の被告に巻き込まれたとも言えるが、積極性があり、実刑も視野に入るべきと判断」として、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。  その後、殺人未遂の罪に問われた野澤被告の裁判員裁判が13日午前、札幌地裁で始まり、野澤被告は起訴内容を認めました。  そして、性的関係については「秘密にする。地獄の底まで持っていくからと、何度も言われ、関係を持ってしまった。許されないことだとわかっていたが、自分自身にも弱みがあった。秘密にするならいいだろうと。いずれにしても、私が悪いんです。非常に悪いこと、浅はか、軽率だったと思います」と後悔。  さらに、事件発生時の心境について、性的関係解消後も「父親のような状態だった」のに、現金300万円を恐喝された後も「前回は慰謝料。ジャニーズの問題もあり、今回は病院代」などとくり返されて「もの凄い不安と絶望。1回払ってしまうと、何回も請求されるんだ。殺さないとダメだ。妻や子ども、孫にも危害が加わると思い、とっさにつかんだのが千枚通しだった」と振り返りました。  検察は「2人に抵抗されても刺し続けていて(傷は6か所と13か所)強固な殺意があった。被害者は元加害者であり、落ち度は否定できないが、警察に相談することなく、殺害しようとした動機は、短絡的で非難されるべきであり、原因は自ら招いたものである」と懲役6年を求刑。  一方、弁護人は「300万円もの恐喝は、被害者の落ち度も大きい。くり返し脅迫され、追い詰められ、極限の心理状態で突発的に犯行に及んだ。酌量すべき事情がある。反省の気持ちも強く、深く後悔している」などとして、懲役3年、かつ、執行猶予付きの判決を求めました。  こうして迎えた17日午後の公判で、札幌地裁は懲役3年、執行猶予5年を言い渡したのに対し、検察と被告、どちらも期限までに控訴せず、1審判決が確定しました。 ■判決理由 ・2人を何度も執拗に刺し、体力があったら、もっと刺していた ・殺意は強固なものだが、金銭を脅し取られ、冷静さを失い、突発的に生じたもの ・攻撃的なものより防御的なものと考え、強い非難を向けることはできない ・被告人に非はあるが、30年経った後に脅されたことは汲むべきものがある ・警察に相談しなかったのも、後から考えると良くないが、教師としての功績を考えると、一概には言えない  これまでの女2人、野澤被告の公判で指摘された事実関係などは、下記のようになっていますが(重なる証言などは略)性的関係までの経緯は、証言が異なっています。   ■女2人と野澤被告の初公判で、検察が指摘した経緯、事実関係 ・野澤被告と49歳の女は、同じ中学校で教諭と生徒 ・女が中2時~高2時、性的関係 ・室蘭市外の高校にすすみ、寮生活の女を時おり、野澤被告が車で送迎 ・性的関係解消後も、女が野澤被告に悩み相談 ・1998年に長男誕生、その後も近況などを年賀状で報告 ・長男の高校受験に向けて、野澤被告が家庭教師 ・心筋梗塞を患った女を野澤被告が見舞う ・2021年、女の口座残高2860円、カードローンが約30万円 ・妹分だった46歳の友人の女に性被害、フラッシュバックなどを相談 ・友人が野澤被告に問い質すも、否定される ・同年10月、2人で野澤被告宅へ 「バレたら全国ニュースだね。先生も奥さんも、ここにいられないね」 「弁護士を介して、話し合えば?」 「面倒くさいよね」 「弁護士に払うくらいなら、直接お金を渡す」と野澤被告 「私が大袈裟にしてたら、先生パクられてたよ。誠意だよ、誠意!先生の誠意はいくらなの?誠意を見せろ!」 ・後日、野澤被告の妻から現金300万円 ・2022年8月、再び口座残高4700円ほどになり、カードローン約30万円 ・野澤被告に電話するも「もう、うちには金がない」と着信拒否の設定 ・去年9月26日、女が友人に性被害のフラッシュバック悪化を相談 ・友人が野澤被告に電話するも「もう、うちには金がない」 ・同日、2人で野澤被告宅に行き、千枚通しで刺される ■女2人の弁護人、野澤被告の弁護人の指摘 ・野澤被告は大学同期の女性と24歳で結婚、3人の子ども ・60歳の定年後も再雇用で教壇に立ち、70歳から年金で妻と2人暮らし ・教え子からは「一番厳しいけど、一番優しい」の呼び声 ・不登校生徒と向き合い、不良グループを更生 ・49歳の女は成績悪く、放課後に補習 ・そのうち、女からのアプローチで性的関係になる ・「自分を最後に送って」「先生、大好きなの」「私を女にして欲しい」 ・高3で性的関係は解消 ・その後も女の息子のいじめ被害の相談、高校受験で家庭教師、病気の見舞いなど続ける ・2021年10月、46歳の友人から電話「覚えていますか?(49歳の女と)性的関係あった?」 ・現金300万円脅し取られる ・2023年9月、46歳の友人から「300万は慰謝料、今回は病院代、ジャニーズのこともあるんだからね」 ・「もう逃げられない、この苦しみから逃れられない」と思い、台所の千枚通しを手に犯行 ■野澤被告への被告人質問 ・(どのような教師だと?)非常に恐ろしい教師のイメージ、パンチパーマをかけていたので ・室蘭市で「一番厳しく、優しく、温かい教師」と言われていた ・非行の子どもとひざ詰めで話し合い、40~50人立ち直らせてきた ・49歳の女も、その1人 ・2年生の定期テストで0点、かわいそうに思って放課後や夏休みに1年生の数学から教えた ・(性的関係になったのは?)※上記、弁護人の指摘と同じ ・高校の寮に暴走族の男を入れたことがあり、土下座して許してもらい、何とか卒業させた ・(その後の関係は?)※上記、検察と弁護人の指摘と同じ ・1回目の事件前までは身内、父親のような状態 ・(良好でなくなったのは、いつ?)1回目の事件時から ・3~4年、連絡なかったのに、いきなり友人から性的関係の電話 ・機関銃のように非難を浴びせられ、土下座して謝罪したが「謝って済む話ではない」と ・(300万円渡した時の心境?)老後の生活は厳しくなるが、これで解放されるなら良かったと ・(再度、電話が来た時は?)もの凄い不安と絶望。1回払ってしまうと、何回も請求されるんだと思った ・(2人が直接、来た時は?)殺さないとダメだと思ってしまった。妻や子ども、孫にも危害と思った ・台所に引き返して、とっさにつかんだのが千枚通しだった ・49歳の女を刺した後、46歳の友人に向かった ・どこを刺したかは、覚えていない ・逃げた1人を追いかけようとしたが、血圧が上がって苦しくなり、仰向けにひっくり返った ・妻の「パパ、何やってるの」の声が聞こえ、人生おしまいだ。ママ、急いで警察を呼んでくれと言った ・(2人への思いは?)すまないという気持ちで、勾留中、ずっと眠ることができなかった ・(妻や面会に来てくれた同僚、教え子への気持ちは?)「先生、待ってるよ」と励ましてもらった。ありがたいなと思います ・(恐喝の被害を届け出なかった理由は?)警察が相手にしてくれないだろうと思った。そもそも最初の過ちは私にあるから ・最後の電話で46歳の友人から「先生、ジャニーズの事もあるんだよ」といわれて絶望した ・ずっと、ずっと、長く脅されていくのだろうと思った ・もう逃げられない。怒りよりも、恐怖です。また脅されるんだという ■49歳の女の被告人質問 ・自分が苦しんだことについて、先生に考えて欲しい気持ちがあった ・(金の配分は?)友人にはガソリン代、子どもたちのお菓子代として1万円 ・(2022年に電話した時のやりとりは?)「もう、うちにはお金はないぞ。心臓の手術代も渡したんだから」 ・(2023年、さらに電話の理由は?)ジャニーズの性加害問題が頻繁に出るようになって、辛くて…(泣き出して声にならず) ・(野澤被告側も辛く、圧力を受けたのを理解?)できます。本当に酷いことをした。友人も巻き込んでしまった ・(性行為は強要された?)強要されてないが、子どもだったので大人の圧があった。断れないような… ・(同意はしてた?)私からしたら不同意ですけど、怖くて言えなかった ・(性被害のフラッシュバックとかは、いつから?)鮮明に覚えてないが、30歳すぎてから ・酷くなってきたのは、40歳を過ぎてから ・(当時、嫌な気持ちは?)家に帰って、泣いていた ・(車で送迎してもらってた?)頻繁ではないですけど、片道1時間かかるので ・(嫌な先生に送り迎えは嫌じゃない?)本当に矛盾しているなと思います。“足”に使っていたという感じ ・(心筋梗塞で入院時、連絡とって見舞いに来てもらってますよね?)先生も心臓の病気があったので ・(その時、フラッシュバックはない?何とも思わなかった?)すいません… ・(30歳前後に精神科を受診、フラッシュバックは相談しなかった?)恥ずかしくて、言えなかった

 

去年9月、北海道旭川市で、30代の夫婦を殺傷した罪に問われている58歳の男…1審で、求刑と同じ懲役25年の判決を受けたことを不服とし、11日控訴しました。  起訴状などによりますと、旭川市の無職、川口和人被告58歳は、近くに住んでいた30代の夫婦、Aさん(夫)とBさん(妻)の小学生の娘が玩具の銃の弾=BB弾を被告宅に投げたことをめぐり、訪ねて来たAさんとBさんを折りたたみナイフで何度も突き刺し、Aさんを死亡させた殺人、Bさんに重傷を負わせた殺人未遂の罪に問われています。  11月14日から旭川地裁ですすめられてきた裁判員裁判では、被害者特定事項秘匿制度により、夫婦は匿名にされ、小学生の長女、妻のBさん、川口被告の隣人のXさんとYさん、さらに被告の精神状態などを鑑定した医師の証人尋問なども行われてきました。  検察は「残忍な犯行で、落ち度がない被害者の刺し傷は20か所にも及び、被告に反省の態度は一切、見受けられない」と厳しく指摘し、懲役25年を求刑。  一方、弁護側は「被害者の風貌などからくる恐怖感から、全て自己防衛的であり、正当防衛である。殺すつもりはなく、殺人も殺人未遂も成立しない」と反論。    被告も、検察からの100項目以上の質問について「取り調べで屈辱を味わい、精神が破たんして自殺を考えた」と全て黙秘した上で、Aさんから「いきなり大声で『おまえか!どこだ!どこに傷があるんだ!この野郎!』などと恫喝され、とにかく離れて欲しかった」と話し「胸に切りつけた後の記憶がない」などと主張していました。  検察と被害者側、被告と弁護側の主張、説明する事実関係が異なる中、迎えた1日の判決公判で、旭川地裁は「被告の証言は信用できない。犯行は残忍」として、求刑と同じ懲役25年を言い渡しました。 ■判決理由 ・妻のBさん、小学生の娘、隣人Xさんの証言は一致しており、信用できる ・被告人の証言は信用できない ・人を死亡させる危険性の高い犯行で、殺意が認められる ・犯行時は急性ストレス障害が一定程度あったが、完全責任能力あり ・犯行中もAさん、Bさんを認識できていた ・子どもの“いたずら”があったとはいえ、常軌を逸した犯行 ・真摯な反省は見られない ・犯行は残忍で、結果は重大  これに対し川口被告は、判決を不服とし、11日付で控訴しました。  これまで検察と被害者側、被告と弁護側の主張、説明する事実関係は下記のようになっています。 ■きっかけとなった小学生の娘の“いたずら” <検察> ・Aさんの長女(当時11歳)は友人と下校中、被告宅前で玩具の銃の弾=BB弾を拾う ・直径わずか5~6ミリのプラスチック製 ・カーポート奥の玄関前に投げつける ・被告はカーポートに設置した防犯カメラの映像を自室で見て、外に出る ・「おまえら、何やってるんだ」と2人を怒鳴りつける ・友人のカバンを蹴り、中の水筒を凹ませる ・2人に住所と名前をノートに書かせる <上記以外の長女の証言> ・何度も「ごめんなさい、すみません」と謝った ・算数のノートをちぎられ、名前、電話番号、学校名、担任名まで書かされた ・ママに話すと、謝りに行くことになった <被告> ・2人それぞれ3~4回、振り被って何かを拾って投げてきた ・砂利のところにいたので、石ではないかと思った ・「おまえら、何やってるんだ」と、普通よりは大きな声を出した ・2人は動かず、無言 ・「人の家に物を投げちゃダメでしょ、どうして投げたの?」と問う ・どちらか1人が「ハエのような虫」と答える ・歩道の荷物の上をまたぐように歩くと、左足が当たった ・蹴ってはいない ・もう一度「どうして投げた?」と問うと「ハエのような虫」と答える ・その後、1人が「BB弾」と言って、掌に1つ持っていた ・学校に連絡するつもりで「学校と先生の名前を教えてくれる?」と言った ・手元に紙が無かったので、女の子のノートに書いてもらった ・そのノートを破ってもらい、私がもらった ・「正直に答えてくれたから、お父さんやお母さん、先生には言わないからね」と言った ■夫婦が被告宅を訪れ、最初にAさんが刺されるまでの状況 <検察> ・長女、生後7か月の次女も連れ、4人で被告宅へ ・Aさんがインターフォンを押すと、被告はナイフをポケットなどに隠して玄関へ ・Aさん「娘がBB弾を投げちゃったみたいで?」 ・被告「石を投げられて、傷がついた」 ・Aさん「石って、どの石ですか?傷は、どこについちゃいましたか?」 ・被告「それは、わからないけど」 ・Aさん「住所を書かせるほどのことなんですか?」 ・騒ぎに気づいた隣人Xさんが2人に「やめましょう」と声かけ ・それでもAさんは収まらず「やりすぎだろう!」 ・被告「なに、イキッてんの?やるか」 ・Aさん「何をやるのよ」 ・被告が右手に持ったナイフで、Aさんを切りつける <被告>(質問したのは弁護人) ・陽が落ちて、防犯カメラに「変な動きの車」 ・見覚えない男性が歩いてきて、怪しい感じ ・昼の子どもの件で、どちらかがヤクザかチンピラを雇ったのではと思った ・襲撃に来たと思い、護身用に棚の上のナイフを右ポケットに入れた ・(先に話したのは?)相手です ・いきなり大声で「おまえか!」と怒鳴られた ・(名乗られた?)何も言ってない ・もしかして、昼のことかなと少し思った ・ヤクザかチンピラの方かと思った ・相手の風貌がすごく怖くて、何を言ってるのかわからなかった ・玄関フードからカーポートに移動した ・(どんな感じでした?)「どこだ!どこなんだ!一体どこに傷があるんだ!」と捲し立てられた ・(どう返した?)何のことかわからないと、返した ・(そうするとAさんは?)「だから、どこなんだ、早く言え、この野郎」!と大声でくり返された ・(「イキんなよ」と言った?)意味がわからないので、知らない ・(2人で話している途中、誰が出て来た?)父が玄関ドアを開けて、顔を出した ・私は父に「大丈夫だから、中に入って」と言った ・「あれは、誰だ!」と聞かれて、私は「うちの親父だ」と返した ・くり返し「あれは、誰だ!」と言われ、殴られた後、父が被害を被るのではないかと思った ・(どういう心情だった?)とにかく離れて欲しかった、勘弁して欲しいの一心だった ・(どう行動した?)彼の胸にナイフを切りつけた ■さらに妻のBさんも刺し、逮捕されるまでの状況 <検察> ・Aさんは腕を上げて防御し、後退して逃げる ・隣人Xさんが被告をつかみ、止めようとする ・被告は追いかけて、背中などを何度も刺す ・妻のBさんが被告に体当たり ・被告は、体当たり後に座り込んだBさんの背中を刺す ・隣人Xさんが被告を後ろから羽交い絞め ・被告は「全員、ぶっ殺してやる」と叫びながら、なおもBさんを刺す ・被告はBさんから離れた後、自宅内へ ・隣人Yさんの通報で逮捕 ・Aさんの傷は20か所以上 ・Bさんの傷も10か所 ・長女の目前での犯行で、残酷というほかない <上記以外の長女の証言> ・パパと話をしているとき、被告はずっと右手を隠していた ・パパが「住所を書かせるのは、やりすぎではないか」と言ったところで被告が刺した ・被告はパパを追いかけて何度も刺し、パパが着ていた白いシャツが赤く染まった ・パパやママを襲うとき「みんな、殺してやる」と言っていた <被告> ・当時は、軽く切ったと思った ・(なぜ胸を?)首とか心臓とか内臓とか危険だと思ったから ・(ナイフ出したのはいつ?)父が入って、恫喝止まらなかったから、その時 ・(どういう気持ちで?)恫喝は止めて欲しい、とにかく離れて欲しかった ・パニック、精神的に追い詰められてきた ・(殺してしまう可能性は考えた?)そういうのについては考えてない ・胸に軽く当てただけ、とりあえず恫喝を止めて欲しかった <弁護人> ・「全員、ぶっ殺してやる」などの被告の言葉を隣人Xさん、Yさんは聞いていない ■被告の精神状態を鑑定した医師 ・精神障害、詐病なく、殺意を一貫して否認 ・Aさんの風貌に強い恐怖感、恫喝され、強く逃げたい思い ・最初にナイフで突き刺した後、大部分の記憶がない ・急性ストレス反応(弁護側も主張)の可能性 ・ふだん使わない被告の言葉「イキッてんの?」からも伺える ・善悪の判断能力は、急性ストレス反応で一定の障害あるが、著しく喪失はない