ミシェル・ルグランのピアノの音色は

スクリーンをあざやかに飾ってくれます

 

そこには映像の広さが

夢と悲しみを散りばめて

 

『シェルブールの雨傘』

『おもいでの夏』

『華麗なる賭け』

 

ひとつのストーリーが終わるたび

夢がそれぞれの心の奥底に

戻って行くような

 

ピアノの弾き語りも

又風を感じさせてくれます

 

『カサブランカ』の中で歌われる

「アズ タイム ゴウズ バイ」

ボギーの何ともシブい格好良さと

匂やかなバーグマンの美しさが

その歌で自ずと蘇って来て

 

ピアノの名手カーメン・キャバレロの

奏でるメインテーマの『愛情物語』

それは或る意味では

キム・ノバックと言う花を

大らかなそして細やかな画像にして

くれました

 

『いそしぎ』

作品としては今ひとつでしたが

音楽は

とりわけピアノソロで

ふたりの大物俳優の存在を

底の方から盛り上げる効果はあったと

思うのです

 

『昼下がりの情事』の

ラストシーン

ホームで見送るオードリーを

クーパーは

さり気なく手を差し伸べて

動き始めた列車の入口に

乗せる

「魅惑のワルツ」の流麗なピアノの

テンポは思い浮かべるだけで

自分はもう全身が熱くなってしまいます