新宿区四谷若葉町は

坂の多いところです

 

その谷間に住んでいた

ことがある

 

もう遥か前のこと

自分が自分が小学低学年の

頃までのこと

 

思い出はその年頃に

集約されて

 

当時は至るところに

空き地があった

 

幼いながらも

広々した感覚があった

 

だから思い切りあかくく

遊び呆けることが出来たと

今では思う

 

あれからすでに

半世紀は過ぎている

 

風景は当然のように

様変わって

 

増して東京

変わりに変わり続けて

今もなおである

 

でも建物が増え

空き地が消えて行く中

基本的な町の構図は

変わらずにあって

 

それが記憶の中の景色と

自然相まって行き

 

わたしはいつからか

詩を書くようになって

 

でもあの頃の風景と

自身の幼心の一体感とも言える

透明なほがらかさのような

心象としての画像が

詩には生かされてはいないと

 

それは多分新しい原動力と

なり得るもの

 

そう信じて疑いなく

書き続けているのだが

 

あの当時のあかるさと言うのは

それだけ貴重なものと言えるのです

 

坂道の谷間にいて

近所の大勢の子供たちと

空き地から空き地へと遊び続け

 

あの谷間から

坂の上にある小学校に通っていました