あの頃の時間の匂いが

今も胸を震わせる

小学三年生

はじめての恋のときめき

夏休みはほぼ毎日通い詰めた

小さい頃から知っていた

隣の家の高校生のお姉さんの

元へ

傍に少しでも長くいたかった

憧れる心がお姉さんを眩しく

し続けて

 

風景は今も

すでに廃線となった電車の

レールが自分の中で続いている

それが光る

匂いはそのむこうのなだらかな山並みと

共に

日の光の強さで少しぼやけて見えて

彼女のその後は知らない

わたしはその年の冬 転校したから

でもあの時の花の香りは

一段と香りを放って

それはあの島を覆い尽くす

風景に