年を重ねて

今は街が

 

くっきり胸を飾る

降りしきる雨

 

雨の糸すら

静かに踊って

 

この街は

何度来たことだろう

愛する人たちと

 

夢と小さな郷愁の

おごそかに刻印された

街の

 

どこかへ帰って行くような

幾つかのシーンが

幾重にも

 

束の間の追憶に

触れて

 

又今日を生きて

行く

 

あれからもう

そのおかげでしょうか

 

何もかもが

愛おしくなって

 

空が何となく

あかるさを見せ始めていること

 

それひとつにも

感傷がさざめいて