別れには

雨が

 

雨が降っていれば

少しは

 

わずかでも何かに

すがりたい気持ちが

 

あまり話さなかったけど

最後にしんみりと

今日でここを去りますと

女の子の方から言われると

 

それは安売りのコンビニが

おしまいになる二日前の

ことだった

 

ちょうど買ったものを

精算してもらう時だった

 

その女の子の言うことを

頷いて聴いていた

 

そして最後にははにかみながらも

彼女の目を見ながら

お疲れ様

元気でね

と言うのが精一杯だった

 

ウエーブががった

ショートカットの

中学生のような笑みを見せる

彼女だっや

 

なんとなく忘れられない顔

だからこれからも長く

覚えていられるだろうと思った

 

他の子たちとも

親しいわけではなかった

 

この二年殆ど毎日

通った

 

その思いが

やはりこの店が終わることへ

グッと傾斜して行くのを

 

ひとつの映画のシーンを

眺めるように

或る種じっと見入るような

時が不思議と自分に表れて

 

でもそれをうまく口には

出来ずに

 

別れには

雨がと思っている

 

あの子の小さなさみしい

笑い顔と

棚の上の商品があらかた無くなって

ほぼ形骸化した様を

見てしまうと