沈黙の波を感じる

みずうみの深い底に

それはもうひとつの波となって

光っているかも知れない

どうしても明かせないこと

うしろめたいような

苦しくもある空域

 

時々誰かに打ち明けることも

そう思うこともたしかに

でもその後の虚しい風の音を

思うと

たとえ波風立てる騒ぎに

なっても

くっきり残る虚しさが

 

黙っている

そしてやり過ごす

夏のぎらつく日々の所謂過ちは

わたしだけのストーリー

大事な調べだから

頷いては少し不平をいつものように

夫の前で